2021年度創設!人材確保等支援助成金(テレワークコース)とは
労務

2021年4月に、人材確保等支援助成金(テレワークコース)が創設されました。厚生労働省が支給を行う雇用関係助成金のひとつです。
従前から国の取り組みとして行われてきた働き方改革としてのテレワークの導入、また新型コロナウイルス感染症の影響により事業者にとって急務となったテレワークの導入に対しての支援です。
今回は、人材確保等支援助成金(テレワークコース)についてご紹介致します。

この記事の目次

1.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の目的

人材確保等支援助成金(テレワークコース)とは、良質なテレワークを新規導入し、実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主に対し助成するものです。
この助成により、一層のテレワークの普及を目的としています。

2.人材確保等支援助成金(テレワークコース)を受給することが出来る事業主

雇用関係助成金を受け取るための共通要件としての雇用保険適用事業所の事業主であること、支給のための審査に協力をすること等を満たした事業主が人材確保等支援助成金(テレワークコース)を受給することが出来ます。

3.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の機械等導入助成を受給するための要件

人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、テレワークの導入段階により、機器等導入助成と、目標達成助成があります。
下記①から③を実施し、④を達成した場合に、人材確保等支援助成金(テレワークコース)の機械等導入助成を受給することが出来ます。

①テレワーク実施計画の認定


労働者の人材確保や雇用管理改善等に資する下記のいずれかの取組を1つ以上実施すること等を内容とするテレワーク実施計画を作成し、管轄の労働局に提出してその認定を受けることが必要です。下記の取り組みに対する費用が助成対象となります。

・就業規則等の作成、変更
・外部専門家によるコンサルティング
・テレワーク用通信機器の導入、運用
・労務管理担当者に対する研修
・労働者に対する研修


②就業規則等への規定

テレワークに関する制度として、下記の内容を規定した労働協約または就業規則を新たに整備することが必要です。

・テレワークの定義、テレワーク勤務の対象者の範囲、テレワーク勤務を行う際の手続、テレワーク勤務を行う際の留意事項に関する規定
・テレワーク勤務の対象者やテレワークを実施した労働者に適用する労働時間、人事評価、人材育成、費用負担、手当に関する取扱いが、その他の労働者に適用する取扱いと異なる場合、その取扱いに関する規定


③取り組みの実施

上記①の認定を受けたテレワーク実施計画に基づき、実際にその取組を実施することが必要です。

④テレワークの実績に係る基準の達成

3ヶ月の評価期間におけるテレワーク実施対象労働者のテレワーク実施状況が、下記のいずれかの基準を満たすことで、人材確保等支援助成金(テレワークコース)の 機械等導入助成を受給することが出来ます。

・評価期間において、1回以上、対象労働者全員がテレワークを実施すること
・評価期間に対象労働者が週平均1回以上テレワークを実施すること


4.人材
確保等支援助成金(テレワークコース)の目標達成助成を受給するための要件

上記に加え、下記①、②の達成をすると、人材確保等支援助成金(テレワークコース)の目標達成助成を受給することが出来ます。

①離職率に係る目標の達成

・テレワークに関する制度の整備の結果、評価期間の末日の翌日から1年を経過するまでの期間の離職率が、テレワーク実施計画を提出する前1年間の離職率以下であること

1年を経過するまでの期間の離職率とは、評価期間の末日の翌日から起算して12ヶ月経過する日までの期間における離職者数を、当該期間の初日におけるテレワーク実施対象労働者が属する事業所の労働者数で除して得た離職率をいいます。離職者数には、定年退職、重責解雇、役員昇格および労働者の個人的な事情による労働時間の短縮による者は含みません。

前1年間の離職率とは、テレワーク実施計画認定申請日の12ヶ月前の日の属する月の初日から当該計画認定申請日の属する月の前月末までの期間における離職者数を、当該期間の初日における、テレワーク実施対象労働者が属する事業所の労働者数で除して得た離職率をいいます。離職者数には、定年退職、重責解雇、役員昇格および労働者の個人的な事情による労働時間の短縮による者は含みません。
・テレワークに関する制度の整備の結果、評価期間の末日の翌日から1年を経過するまでの期間の離職率が、30%以下であること

②テレワークの実績に係る基準の達成

評価期間初日から1年を経過した日からの3ヶ月間に1回以上テレワークを実施した労働者数が、評価期間初日から1年を経過した日における対象事業所の労働者数に、計画認定時点における対象事業所の労働者全体に占める対象労働者の割合を掛け合わせた人数以上であることが必要です。

5.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の支給額

各段階の支給額は下記のとおりです。

①機器等導入助成

1企業あたり、支給対象となる経費の30%です。ただし、1企業あたり100万円又は 対象労働者1人あたり20万円のいずれか低い金額が上限です。

②目標達成助成

1企業あたり、支給対象となる経費の20%、生産性要件を満たす場合は35%です。ただし、1企業あたり100万円又は 対象労働者1人あたり20万円のいずれか低い金額が上限です。

生産性要件を満たす場合とは、直近の会計年度の生産性がその3年度前に比べて6%以上伸びていること又はその3年度前に比べて1%以上伸びていることが金融機関から一定の事業性評価を得ていることを満たした場合のことをいいます。

6.人材確保等支援助成金(テレワークコース)の受給手続き

下記の順に手続きを行います。添付すべき書類や期日の詳細は、各労働局やハローワークへお問い合わせください。

①テレワーク実施計画の認定申請

テレワーク実施計画を作成し、テレワークを可能とする取組の実施予定日のうち最も早い日の1ヶ月前の前日または評価期間開始予定日1か月前の前日のいずれか早い日までに、必要な書類を添えて管轄の労働局へ認定申請をします。
また、計画に変更が生じる場合は、変更内容に応じて変更書を提出し、変更の認定を受ける必要があります。

②支給申請(機器等導入助成)

上記①によって認定を受けた後、計画に基づいて取組を行うとともに、計画認定日から7ヶ月が経過する日までに、支給申請書に必要な書類を添えて、管轄の労働局に支給申請を行います。

③支給申請(目標達成助成)

達成した場合、評価時離職率算定期間の末日の翌日から起算して1ヶ月以内に、支給申請書に必要な書類を添えて、管轄の労働局に支給申請を行います。

7.まとめ

上記のように、人材確保等支援助成金(テレワークコース)は、事業者のテレワーク導入に対して適切な取り組みを行うことで、テレワークの導入のための費用に対して、機器等導入助成を受けることが出来、更に離職率に対して効果を得ることで、目標達成助成を受けることが出来ます。テレワークの導入や運用に対して、資金繰りの観点で頭を悩ませている中小企業者には、是非ご利用を頂きたい助成金です。

上記の内容や手続きについてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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