男性の育休取得率について、政府は2025年までに「30%」達成を目標に掲げ、あらゆる施策を講じているところです。そんな中、先日、厚生労働省が公開した「令和2年度雇用均等基本調査の結果」において、2020年度の男性育休取得率が示されました。
- 2020年度の男性育休取得率は、前年度+5.17ポイントの「12.65%」に大幅引き上げ
- 「男性版産休」の施行は2022年10月1日の見込み
- 今後の課題は、男性の長期育休取得に向けた職場環境の整備
- まとめ
2020年度の男性育休取得率は、前年度+5.17ポイントの「12.65%」に大幅引き上げ
2018年10月1日から2019年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2020年10月1日までに育児休業を開始した者(育児休業の申出をしている者を含む)の割合は「12.65%」となり、前回調査(2020年度「7.48%」)より「5.17」ポイントも上昇しました。
併せて、特筆すべきは、「有期契約労働者の育休取得率向上」です。同じく2018年10月1日から2019年9月30日までの1年間に配偶者が出産した男性のうち、2020年10月1日までに育児休業を開始した有期契約労働者(育児休業の申出をしている者を含む)の育児休業取得率は「11.81%」で、前回調査(2020年度「3.07%」)から「8.74」ポイントも上昇していることが分かっています。
出典:厚生労働省「令和2年度雇用均等基本調査」
「男性版産休」の施行は2022年10月1日の見込み
政府の様々な働きかけの甲斐もあり、着実に向上する男性育休取得率ですが、今後、男性版産休(出生時育児休業)の施行によりさらなる引き上げが予想されます。出生時育児休業制度の施行時期については「2021年6月9日に公布された改正育児・介護休業法の公布後1年6ヶ月以内の政令で定める日」とされており、明らかにされていませんでした。この点、厚生労働省の第39回労働政策審議会雇用環境・均等分科会資料「育児・介護休業法の改正に伴う政令で定める施行期日(案)」において、「2022年10月1日」の施行期日案が示されています。以前の記事でお伝えした内容と相違はなさそうです。参考:『「男性版産休」を盛り込んだ改正育児・介護休業法が成立!2022年10月施行へ』
今後の課題は、男性の長期育休取得に向けた職場環境の整備
男性の育休取得率向上を追い風に、今後、現場においては「男性育休の期間」が課題となりそうです。「令和2年度雇用均等基本調査の結果」によると、男性育休取得者のうち、育休期間が5日未満の取得者の割合は「28.33%」と依然として高い数字となっているとのこと。5日間の休暇が果たして育休本来の趣旨に沿うものなのか、この点に目向けなければ、どんなに制度が整っていても、男性の育休取得を奨励する目的が見えなくなってしまいそうです。育児休業の目的は、「男女共同参画社会の実現」「少子化対策」そして「持続可能な社会の維持」にあります。これに鑑みれば、ただ「会社の義務として少しでも取得させれば良い」というのではなく、個々の現場が育休本来の目的を念頭に置いて、意味ある育休取得が実現するような職場環境の整備に取り組んでいけるのが理想です。