従業員に適切なアナウンスを!コロナ感染の就労不能期間について申請可能な健康保険「傷病手当金」
労務


新型コロナウイルス感染拡大を背景に、会社が従業員からコロナ陽性の報告を受けるケースも珍しいものではなくなってきているようです。従業員からコロナ陽性者が発生した際、会社として対応すべきことは多岐に渡りますが、そのうちのひとつに「健康保険傷病手当金申請」に関わるアナウンスが挙げられます。

この記事の目次

健康保険「傷病手当金」とは?

健康保険法の「傷病手当金」とは、健康保険の被保険者が病気やケガ等で働けなくなった際、被保険者やその家族の生活を保障するために支給されるものです。病気やケガが業務上のものであれば労災保険の休業補償給付を受けることになりますが、業務外の私傷病であれば健康保険の傷病手当金の申請が可能です。
傷病手当金は、健康保険の被保険者が以下の要件を満たす場合に支給されます。

✓ 業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
✓ 仕事に就くことができないこと
✓ 連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
✓ 休業した期間について給与の支払いがないこと


支給期間は、現状、支給開始日から最長1年6ヵ月ですが、2022年1月1日より「支給期間を通算して1年6ヵ月時点まで」となります。

関連:「2022年1月1日施行!改正健康保険法「傷病手当金の支給期間通算化」を解説」

1日あたりの傷病手当金額は原則として以下の計算式によって算出されます。
支給開始日以前の継続した12ヵ月間の各月の標準月額を平均した額÷30×2/3

各要件、支給期間・額に関わる詳細は、協会けんぽウェブサイトよりご確認いただけます。

参考:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)」

新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金のQ&Aをチェック

傷病手当金は、新型コロナウイルス感染症によって療養のために休業し、その間の報酬が受けられない場合に支給されます。このほどの感染拡大状況に鑑み、厚生労働省から新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給についてのQ&Aが公開されていますので、申請に先立ち確認されておくと安心です。

以下は、傷病手当金の支給が認められない場合の一例です。

Q. 事業所内で新型コロナウイルス感染症に感染した者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を行っていない期間については、傷病手当金は支給されるのか。
A. 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されない。
なお、法律等に基づかない使用者の独自の判断により、一律に労働者に休んでいただく措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の60/100以上)を支払わなければならないとされている。

Q. 本人には自覚症状がないものの、家族が感染し濃厚接触者になった等の事由において、本人が休暇を取得した場合には傷病手当金は支給されるのか。
A. 傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されない。

出典:全国健康保険協会「新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金の支給について」

国民健康保険でも、新型コロナウイルス感染症に係る傷病手当金制度が幅広く創設

傷病手当金は、原則として国民健康保険には設けられていない制度です。しかしながら、新型コロナウイルス感染症への対応に限り、国民健康保険の被保険者に適用可能な傷病手当金制度が幅広く創設されています。会社として、社会保険に加入していないパート・アルバイトの方にアナウンスできるようにしましょう。ただし、具体的な要件等の確認、申請については、各自治体にお問い合わせの上、労働者ご本人に行っていただくことになります。
以下は、新宿区国民健康保険の傷病手当金の例です。


出典:新宿区「新型コロナウイルスに感染した新宿区国民健康保険の被保険者等に係る傷病手当金の支給について」

まとめ

傷病手当金は、従業員が安心して療養に専念するために必要な手当のひとつです。まずは事業主様やご担当者様が制度を正しく理解し、いつでも会社として適切な情報提供が行える様に備えておきましょう。実際の申請に先立つご相談や申請手続きについては、SHARES公認社会保険労務士までお問い合わせください。

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