最低賃金大幅引き上げ目前!その賃金額設定、意図せず障がい者に対する「経済的虐待」になっていませんか?
労務

地域別最低賃金の大幅引き上げを目前に、労働者に対する給与改定を行った現場も多いと思います。賃金額の見直しに際し、注意すべきは「障がい者に対する約定賃金」でしょう。「令和2年度使用者による障がい者虐待の状況等」によると、虐待事例で最も多いのが、障がい者に対する賃金不払い等の「経済的虐待」であったとのこと。最低賃金は、原則として障がい者にも適用される点に留意しましょう。

この記事の目次

障がい者虐待に対して労働局がとった措置、最多は「最低賃金関係の指導」

厚生労働省では、都道府県労働局で行われている「使用者による障がい者虐待の是正指導」等の状況を取りまとめ、その結果を「使用者による障がい者虐待の状況等」として毎年公開しています。令和3年8月27日に公開された令和2年度結果によると、障がい者が使用者から受けた虐待の種別について「経済的虐待(80.1%)」が最も多く、虐待に対して労働局がとった措置として最多の「労働基準関係法令に基づく指導等(82%)」のうち40.7%が「最低賃金関係」であることが分かりました。


出典:厚生労働省「令和2年度使用者による障がい者虐待の状況等の結果を公表します」

結果詳細は、上記よりご確認いただけます。

障がい者虐待の具体事例を確認

厚生労働省から公開されている「令和2年度における使用者による障がい者虐待の事例」によると、障がい者に対する経済的虐待の事例として挙げられているのは、「休業手当未払い」「最低賃金を下回る賃金設定」です。

後者については、法定の除外事由なく、当該障がい者について最低賃金額未満の賃金を支払っていたことが認められ、事業主は最低賃金の減額特例許可申請の必要性を理解していなかったとのこと。本人や親族等の同意があれば、最低賃金を下回る賃金設定も可能になると誤認していたようです。

障がい者に対する最低賃金の減額には「特例許可申請」が必要

障がい者雇用に際し、まず検討すべきは「賃金額設定」です。雇用した障がい者を、「精神又は身体の障がいにより著しく労働能力の低い者」として最低賃金の減額対象とするためには、特例許可申請が必要になりますのでご注意ください。

特例許可申請は、単に障がい者であることのみを理由として認められるものではありません。その障がいが業務の遂行に、直接的に著しく支障を与えていることが明白である必要があります。ただし、特例許可を受けていても、対象労働者が許可された業務以外の業務に従事する場合には、一般の労働者と同じ最低賃金額が適用される点にも注意が必要です。

障がい者に対する最低賃金減額特例許可、適用される減額率の考え方、支払おうとする賃金の額の設定等については、以下よりご確認いただけます。

参考:京都労働局「最低賃金の減額の特例許可申請について ~「精神又は身体の障がいにより著しく労働能力の低い者」(最賃法第7 条第1 号)~」

まとめ

民間企業における障がい者の法定雇用率は、令和3年3月より2.3%に引き上げられており、これによって新たに障がい者雇用義務に対応することとなった企業もあると思います。障がい者に対して意図せず経済的虐待を行うことのないよう、障がい者に対する正しい賃金設定の考え方を理解しておきましょう。

参考:厚生労働省「障がい者の法定雇用率の引き上げについて」

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