懲戒後に新たな事実がわかったらどうするか。懲戒をするなら知っておきたい、懲戒処分後のこと。
労務


問題を起こした社員を懲戒処分にした後、その事件について、新たに何かわかることもあります。その懲戒処分が正しかったのか、後から検討し直したいと考えることもあるでしょう。

それでは、懲戒処分を行った後に、何かしらの理由で、さらに会社から追加の処分を行うことは可能なのでしょうか。

今回は、懲戒後の追加処分について、解説をさせていただきます。

この記事の目次

1、パワハラで処分した後、さらに重い処分を加えられるか?

AさんはBさんに対して異様に厳しく、Bさんからパワハラで訴えがありました。会社は調査を行い、その行為をパワーハラスメントとして認定しました。一方でAさんにも情状酌量の余地があり、Aさんには懲戒の中では一番軽い戒告処分を下したとします。

当件を社長に報告したところ、「私はハラスメントを許さない。他の社員にも悪影響があるから、降格にしなさい」と指示を受けました。この場合、Aさんのパワハラ行為に対して降格処分を科すことができるでしょうか?

ここでぜひご理解いただきたいのが「二重処罰禁止の原則」です。一度判決が出た案件は、その罪で二度と罰することができない、という法律上の原則です。このケースでは、既にAさんはパワハラによる処分を受けているので、同じパワハラで処分をすることはできない、ということになります。

Aさんは既に懲戒処分を受けて反省をしているはずなのです。その反省にもかかわらず、同じ案件で追加処分を受けるのもまた理不尽というものです。

なお、この懲戒処分後に新たなパワハラを犯した場合はこれにあたりません。あくまで懲戒を受けた案件について、二重処罰ができないということです。また、Aさんがパワハラだけでなくタイムカードの虚偽報告を行っていたなど、別案件であれば、二重処罰禁止にはあたりません。

2、懲戒解雇した後、新たな問題行為が発覚したら?

暴力行為で懲戒解雇した社員Cから、その処分を不服として、解雇無効を訴えられたとします。そこで調べていくと、Cは経理不正も行っていた、ということがわかりました。この場合、懲戒解雇の理由に経理不正も加えることはできるでしょうか。

会社としても、その暴力行為が解雇理由として弱かった場合に、経理不正の行為を加えることでその有効性を強化したい、という気持ちもわかります。しかし、一度定まった懲戒解雇理由を後付けで追加することはできません。

懲戒が正しいかどうかは、その理由とされた非違行為でのみ判断されるべきです。このケースの場合、懲戒解雇時に経理不正は発覚していないので、懲戒解雇の理由としてあたりません。あくまで暴力行為のみをもってその懲戒解雇の有効性が判断されなければいけないことになります。

3、どのように対応すべきか?

Aさん、Cさんのケースで、その非違行為を懲戒処分に追加できないなら、その案件に対応することに意味が無いと感じるかもしれません。

しかし、例え懲戒には追加できなくても、次の処分時の参考事例として検証しておくことで、同様のケースに対応できますし、会社での抑止力にも繋がります。被害者の納得感も上がるでしょう。

Cさんのケースの場合、仮に解雇は無効になっても、経理不正行為は別案件です。理屈では会社に戻ってきた時に、この件での懲戒は可能です。現実的に和解となった際は、経理不正を行っていた事実が会社側に有利に働くかもしれません。

懲戒にできるかどうかは別として、今後の会社のために、事実は明らかにしておく、という姿勢が会社には求めらるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

二重処罰禁止により、既に処分を行った案件については、追加で処罰できない。


一度懲戒解雇したら、それ以外の理由を後から付け足すこともできない。


懲戒に追加できなくても、真実を追及しておくことが会社にとって重要である。


なお、実際には個々の案件に関して、その案件ごとの処罰について検討されるべきであり、上記はあくまで一般論であることをご留意ください。

一度処罰が確定してしまうと、追加の処分は難しいので、処罰を確定させる前にできるだけ事実を集める努力が必要であることも意味します。非違行為があった社員の処罰は慎重に行いましょう。

社員とのトラブルでお困りであれば、お気軽に社会保険労務士にご相談ください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。