「ワクチン未接種」を理由とする解雇は権利の濫用!「ワクチンハラスメント」は認められません
労務


新型コロナウイルスの新たな変異種・オミクロン株の感染拡大が広がる中、企業におけるワクチン未接種者に対する接種強制や差別が問題視されています。ワクチン接種が任意のものである以上、いわゆる「ワクチンハラスメント(ワクハラ)」は認められるものではありません。
ワクチンに関してはすでに3回目接種が話題になり始めていますが、職場におけるコロナ対策強化に取り組む中で、ワクチン未接種の従業員に対して不当な取扱いをしないようご留意ください。

この記事の目次

ワクチン未接種者への解雇予告が横行

第6波ともいわれる新型コロナウイルス感染の拡大下において、ワクチン未接種者への不当な取扱いが増加傾向にあります。最近では、測量機器の納入・点検に従事する労働者に対する解雇予告に関わる報道がありました。この労働者は業務上、顧客の事務所や機器を取り付けた現場に出向くことが多かったそうですが、昨年の夏に突然「ワクチンを打ってないと現場に連れていけない」と言われ、接種強制を受けるようになったとのこと。それから間もなく社内清掃等の業務に転換させられた後、年末に解雇を告げられました。
労働者は幼少期から身体が弱く、これまで受けてきたインフルエンザワクチン等でも体調を崩すことが多かったため、コロナワクチン接種に伴う副反応に不安があったため、接種を控えているそうです。

諸外国に目を向ければ、アメリカの金融大手・シティグループが新型コロナウイルスワクチン未接種の従業員を解雇する方針を打ち出し、注目を集めています。しかしながら、日本においては新型コロナウイルスワクチンの接種を拒否したことのみを理由として解雇、雇止めを行うことは認められません。

ワクチンの接種推奨が、ワクチンハラスメントへと発展しているかも

とはいえ、従業員の安全確保、さらには事業継続の観点から、従業員のワクチン接種を推奨する方針を打ち出している企業も多いと思います。この場合、企業が従業員に対してワクチン接種を「推奨」すること自体に何ら問題はありません。ただし、接種しないことを理由に、解雇や雇い止め、本人に十分な説明がないままの配置転換、いじめや差別などの不当な取扱いをすることは権利の濫用やパワーハラスメントに該当する可能性があります。現場においては、接種推奨への取り組み方に十分にご注意ください。

ワクチン接種を強制するより、「安心して接種できる体制の整備」を

ワクチン接種を推奨する企業が取り組むべきは、従業員に対して直接的にワクチン接種を呼びかけることではなく、ワクチン接種に不安のある従業員が安心して接種を検討できる様な体制整備です。具体的な取り組みは、すでに以下の記事でも解説していますが、ワクチン接種当日の中抜け制度や副反応に備えた休暇制度といった新たな制度の創設、ワクチン接種日やその後の年次有給休暇の取得奨励、テレワーク制度の導入等が代表的です。

※関連記事:
「2021年夏より開始予定の新型コロナウイルスワクチン一般接種!企業は「年次有給休暇付与状況」の再確認を」

「厚生労働省Q&Aから確認!新型コロナウイルスワクチン接種に伴う労務管理上の取り扱い」

もちろん、従業員の中には、宗教上や医療上の理由から接種ができない方もいらっしゃると思います。こうした方々への接種強制はできません。一方で、会社が体制整備に乗り出すことで、「健康だが副反応に不安がある」という従業員への接種奨励につながることは多々あります。無理なく取り組める範囲で、御社のワクチン接種奨励策を前向きに検討しましょう。

まとめ

新型コロナウイルス感染拡大から2年が経過しますが、マスクなしで過ごせる日常を取り戻すまでにはまだまだ時間がかかりそうです。ワクチン接種に関しても、今後継続的な接種が必要になるかもしれません。長期化するコロナ禍への対応のひとつとして、「ワクチンハラスメントを生じさせない職場づくり」に目を向けてみてはいかがでしょうか?
社内体制の整備は、労務管理の専門家である社会保険労務士にお任せください。

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