コロナ労災をメリット収支率の算定に反映させない旨の省令が公布・施行(2022年1月31日)
労務


新型コロナウイルスの感染急拡大を背景に、今なお、いつどこで感染してしまってもおかしくない、不安な状況が続きます。学校や職場、家庭等の人が集まる場所では、もはや十分に感染防止に努めても、完全に感染を防止することは困難であると考えられます。こうした状況に鑑み、労災保険におけるメリット収支率算定にかかるコロナ特例を盛り込んだ省令が、正式に公布・施行されました。

この記事の目次

労災保険のメリット制とは?

通常、労災保険料は業種ごとに設定された労災保険料率によって算出されます。この点、事業主の労働災害防止努力の促進や保険料負担の公平性の確保を目的に、要件を満たす事業では「メリット制」が適用され、過去の労災給付実績に応じて保険料率を増減させる措置が講じられています。つまり、メリット制の適用を受ける事業において、労災事故を発生させていなければ保険料率が低くなり、一方で労災事故が多発していれば保険料率が高くなるというわけです。

メリット制の詳細については、以下よりご確認いただけます。

参考:厚生労働省「労災保険のメリット制について(概要)」

コロナ労災に係る保険給付額・特別支給金額は、特例的にメリット収支率算定に反映されません

メリット制の適用を受ける事業では、コロナ労災発生状況によっては、大幅な保険料負担増となる可能性がありました。しかしながら、「事業主が十分に衛生環境の整備に努めても、新型コロナウイルス感染症の感染を完全に防ぐことは難しいこと」、「医療・介護の事業はもとより、幅広い業種について政府が緊急事態宣言時の業務継続を要請していること」から、新型コロナウイルス感染症に関する保険給付及び特別支給金の額について、メリット収支率の算定に反映させない特例措置が講じられます。

本措置の具体的な内容は、以下の通りです。

✓ メリット収支率の算定にあたり、新型コロナウイルス感染症に関する業務災害について支給された保険給付について、その額に新型コロナウイルス感染症に係る調整率(調整率は「0」とする)を乗じて得た額を算入する

✓ 新型コロナウイルス感染症に関する特別支給金の額については、メリット収支率の算定に当たり算入しない


参考:厚生労働省「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案について」

コロナ労災には適正な申請を

今号で解説した通り、メリット制適用事業においても、コロナ労災による保険料額・特別支給金額についてはメリット収支率の算定に組み込まないこととされました。万が一、職場でコロナ感染者が発生した際には、労災申請を渋ることのないよう、適切に対応しましょう。

従業員の新型コロナウイルス感染を労災適用とするかどうかに関して、厚生労働省からの通達によると、業種や労働環境に応じて適切に判断すべきとされています。特に、医療従事者等については、業務外で感染したことが明らかである場合を除き、原則として労災保険給付の対象とする旨が明記されました。

参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱いについて」

関連記事:『新型コロナウイルス感染症による労災認定 スーパー店員等は柔軟に判断』

まとめ

企業において、コロナ労災が発生しないに越したことはありません。しかしながら、万が一発生してしまった際に適切に対応できるよう、今号で解説した「メリット制に係るコロナ特例」「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」等をあらかじめ把握しておかれると良いでしょう。労災申請に関わるご相談は、SHARES公認の社会保険労務士までお気軽にお寄せください。

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