ワクチン接種に伴って生じた健康被害にも、労災が適用されるケースがあります
労務

長引く新型コロナウイルス感染症への対策として、現在、ワクチンの3回目接種が進められています。ワクチン接種はそもそも任意のものですが、仕事柄、接種が望ましいとされる業務に従事している方であれば、本人の意思以前に「受けなければならないもの」としてワクチン接種を受け入れているケースもあろうかと思います。そのような事例を踏まえ、ワクチン接種に伴う健康被害について労災適用となる場合があることをご存じでしょうか?すでに昨春に示されている方針ですが、今一度、確認しておきましょう。

この記事の目次

「新型コロナウイルス感染症等への対応」は、2022年度も労災補償行政上の留意事項に

厚生労働省は、都道府県労働局長宛ての2022年2月15日付の通達で、2022年度における「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」を示しました。労災補償行政を推進するにあたり、2022年度中に留意すべき事項として挙げられたのは、以下の4点です。

① 新型コロナウイルス感染症等への迅速・的確な対応
② 過労死等事案などの的確な労災認定
③ 迅速かつ公正な保険給付を行うための事務処理等の徹底
④ 業務実施体制の確保及び人材育成、デジタル化の推進


今号では、①のコロナ関連で示されている「ワクチン接種を受けたことにより健康被害が生じた場合の労災保険給付」の取扱いについて解説します。

参考:厚生労働省「労災補償業務の運営に当たって留意すべき事項について」

原則として、ワクチン接種に伴う健康被害は労災の対象外

基本的な考え方としておさえておきたいのは、ワクチン接種に伴う健康被害は労災適用の対象とはならないということです。というのも、ワクチンを接種するか否かの判断は、通常、労働者の自由意思に基づくものであることから、業務として行われるものとは認められないからです。

例外的に、ワクチン接種に伴う健康被害が労災適用となるケースとは?

ただし例外的に、以下の方々については、ワクチン接種を受けたことで生じた健康被害について、労災保険給付の対象として取り扱われます。

✓ 医療従事者等、職業上の理由などによりウイルス曝露リスクが高い方
✓ 高齢者施設等の介護従事者等、重症化リスクが高い方との接触が多い方


ちなみに、医療従事者や介護従事者等以外の場合、事業主からの業務命令によるものか否かなどを調査した上、業務遂行性の有無を判断することとされています。

まとめ

ワクチン接種を巡っては、職場において労使紛争の火種となるケースが少なくないようです。コロナ禍では、ワクチン接種を強要する「ワクチンハラスメント」という言葉が登場し、労務管理上の課題とされています。また、会社の方針に応じて労働者がワクチンを接種したところ健康被害が生じたとなれば、労災適用の件も含め、問題はさらに大きなものへと発展するでしょう。依然として長引く新型コロナウイルス感染拡大の状況を踏まえ、企業として、どのような取り組みが求められるかに目を向けることが肝心です。

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