ジョブ型雇用とは?ジョブ型雇用のメリットは?会社がジョブ型雇用制度を採用するためには?
労務


ジョブ型雇用とはどのような雇用システムなのか?
最近、大手企業が相次いで導入をすすめるジョブ型雇用とは、欧米諸国で行われている雇用システムです。
1つの職務に対して1人の労働者をあてがう雇用システムをいいます。労働者にとっては、何をすればいいのかが明確になることがメリットのひとつとなります。また、学生の約7割がこの「ジョブ型雇用」に興味があるという調査があります。そのため「ジョブ型雇用」のシステムの興味がある会社も多いのではないでしょうか。

この記事の目次

今までの日本の雇用システムはどうだったのか?

日本の雇用システムを語るとき、終身雇用・年功(序列)賃金・企業別労働組合の3つ、いわゆる「日本的雇用の3種の神器」が特徴であるとされていました。そして、日本的経営の別の特徴である大正時代に確立したとされる「新規学卒一括採用」があります。
これは長期雇用を前提とした雇用制度であり、いわゆる企業内教育訓練(OJT:On the Job Training)や企業外教育訓練(Off-JT:Off the Job Training)加えて「ジョブローテーション」(様々な職務を計画的に経験させること)を通じ、その会社で一人前の正社員にするものとされます。

このような日本的雇用システムを「メンバーシップ型雇用」と呼ばれ1人の労働者に対し様々な職務を与え、異動、転勤等も頻繁に行われます。職務も限定されず、「いつでも、どこでも、何でも」しなければならないため、長時間労働の温床となってしまいます。

しかし、現代の日本では、日本的雇用の3種の神器である終身雇用・年功(序列)賃金の継続が難しくなり、日本的雇用システムのデメリットが出てきてしまい、「ジョブ型雇用」に注目が集まることとなりました。


ジョブ型雇用のメリット、デメリット

ジョブ型雇用を採用した際にはメリットだけではなく、デメリットもあります。代表的なものを掲げてみました。

メリット

会社にとってのメリットは、求めている職務に近い人材を採用しやすく、また、その職務に適した人材を育てやすい。
労働者にとってのメリットは、希望の職務に専門性を生かしてさらにスキルを磨くことができ、また、転勤や異動がないこと。

デメリット

会社にとってのデメリットは、ジョブ型雇用を採用している労働者の職務が事業縮小等でなくなった場合の対応。
労働者にとってのデメリットも同様に、メンバーシップ型雇用と異なり、転勤、異動ができないため、職務が事業縮小等でなくなった場合、離職しなければならない可能性もある。

ジョブ型雇用を採用する際の会社として必要なこと

1.従業員にジョブ型雇用について、メリットだけではなくデメリットを話し、理解を得る。


ジョブ型雇用は、従来からのメンバーシップ型雇用と異なり、本社の人事から、一定の業務、裁量権を現場に移譲することになります。また、労働者にとっても働くことの意識改革も必要となります。話し合いをし、理解を得ること、これが何より重要です。

2.各職務の職務記述書(ジョブディスクリプション)の作成


職務記述書(ジョブディスクリプション)とは、各職務の職務内容や、職務をこなすための経験、スキル等を記載したものです。

3.就業規則等の規定の見直し


制度の変更に伴い、就業規則、賃金規程、人事評価基準等が変更しなければならないことが出てきます。

最後に

ジョブ型雇用制度については、会社によっては、なじまない会社もあります。また、採用するにしても時間をかけて移行していく必要があります。この機会に自身の会社で採用が可能なのかを考えてみてはいかがでしょうか?

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