出産一時金が増額する⁈出産一時金のしくみ
労務


出産をした人に対して健康保険から支給される出産一時金が、2023年度より増額するとの見通しとなっています。
少子高齢化社会への対策として、経済的な理由によって出産を控える人を少なくしようとするこの施策ですが、そもそも出産一時金とはどのようなものなのでしょうか。
今回は、出産一時金のしくみについてご紹介致します。

この記事の目次

1.出産一時金制度とは

出産育児一時金制度とは、健康保険法等に基づく保険給付として、健康保険や国民健康保険等の被保険者またはその被扶養者が出産した場合に、出産に要する経済的負担を軽減するため、一定の金額が支給される制度です。現行では妊娠85日以上の人が出産した場合は、一児につき42万円支給がされます。

2.出産一時金の支給方法

出産一時金は、直接支払制度、受取代理制度、出産後に一時金を被保険者が受け取る制度のいずれかの方法で支給を受けることが出来ます。

1.直接支払制度

多くの妊娠中の人が選択する支給方法が、この直接支払制度です。直接支払制度とは、出産育児一時金の請求と受け取りを、妊婦などに代わって医療機関等が行う制度です。出産育児一時金が医療機関等へ直接支給されるため、退院時に窓口で出産費用を全額支払う必要がなくなります。

出産一時金よりも出産費用が多い場合には、その差額分のみを直接医療機関の窓口で被保険者が払い、出産費用よりも出産一時金が多い場合には、その差額を被保険者が健康保険組合等から支給を受けることが出来ます。

例えば、出産費用が50万円である場合には、この制度を利用することで医療機関の窓口で支払う金額は出産一時金の42万円を差し引いた8万円となり、50万円を医療機関に支払う金額として事前に準備する必要が無い、というメリットがあります。
直接支払制度を採用している医療機関で出産を行う場合に、直接支払制度又は出産後に一時金を被保険者が受け取る制度のいずれかを選択することが出来ます。

2.受取代理制度

受取代理制度とは、妊娠中の人が、加入する健康保険組合などに出産育児一時金の請求を行う際、出産する医療機関等にその受け取りを委任することにより、医療機関等へ直接出産育児一時金が支給される制度です。

直接支払制度と同様に、退院時に窓口で出産費用を全額支払う必要がなくなりますが、受取代理制度を利用することが出来る医療機関等は、年間の平均分娩取扱件数が100件以下の診療所や助産所、収入に占める正常分娩にかかる収入割合が50%以上の診療所や助産所を目安として、厚生労働省へ届出を行った施設に限られます。

3.出産後に一時金を被保険者が受け取る制度

上記の2つの方法とは異なり、後日出産一時金を被保険者が受け取る制度であることから、医療機関に直接支払う金額は出産費用の全額となります。
事前に出産費用の全額を準備する必要があることから、多額の現金を持ち歩くことを望まない人にはデメリットとなる制度ですが、直接支払制度や受取代理制度を採用していない医療機関で出産する場合は、こちらの利用が必要となります。

3.出産一時金が増額するとどうなる?

出産費用は、正常分娩を行って出産を行う場合においては全額が自己負担です。妊娠中の人が風邪をひき病院を受診すると、その診察費のうち支払うべき金額は、診療費のうちの3割ですが、出産費用はそうではありません。出産は病気でないから、保険を適用すべきではないというのが、現状の考え方です。妊娠中の検査費用においても、一律の保険の適用では無く、自治体の判断により補助がされるか異なっています。

妊娠から出産に関する費用負担ついては、自治体によって大差がありますが、全国で一律に支給されるのが出産一時金であり、金銭的な理由で出産を控える人の後押しになることが期待されています。

4.まとめ

出産一時金の増額は、金銭的な理由で出産を控える人の後押しになることが期待されています。少子高齢化問題に対してひとつの対策となり得るでしょう。
一方で、金銭的な理由で出産を控えたいと考える人は、出産そのものだけではなく、その後の子育て費用についても不安があることでしょう。

出産のみならず、子どもの成長過程において、金銭的な不安が無くなるよう、子どもの親の収入や子どもの教育費等について、多角的な施策が少子高齢化問題には今後も必要でしょう。 ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。