ご存知ですか?賃金台帳の正しい書き方 必要記載事項を確認&給与明細との違いについて
労務


「賃金台帳」は、「労働者名簿」「出勤簿」と共に法定三帳簿のひとつであり、会社には労基法に沿う形で整え、一定期間保存する義務が課せられています。現状、労働者を雇用する事業主であればその大半が法定帳簿を管理しているように見受けられますが、その内容が適正かどうかといえば必ずしもそうとは言えないようです。

今号では、法定三帳簿のひとつ「賃金台帳」について、記載すべき項目や、混同しがちな給与明細との違いを確認しましょう。

この記事の目次

賃金台帳と給与明細、何が違う?

企業の中には、賃金台帳と給与明細を混同しているところも珍しくありません。しかしながら、両者は似て非なるものです。

給与明細には「基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額」「源泉徴収税額、労働者が負担すべき社会保険料額等賃金から控除した金額がある場合には、事項ごとにその金額」「口座振込み等を行った金額」をそれぞれ記載し、労働者に対して示すためのものです。労基法上、明示義務はないものの、労基法に係る行政通達、さらに所得税法、健康保険法、厚生年金保険法における控除額の通知義務に応じる形で発行・交付がなされています。

一方で、賃金台帳を整え、保存することは労基法上の義務となっています。賃金台帳の記載項目は給与明細と重複する部分が多いですが、労働時間や時間外・休日労働時間等、給与明細とは異なる事項もあります。

意外と知らない!賃金台帳への記載事項

具体的に、賃金台帳の記載事項を確認しましょう。労基法は、賃金支払の都度、労働者ごとに以下の事項を賃金台帳に記入することとしています。

① 労働者氏名
② 性別
③ 賃金の計算期間
④ 労働日数
⑤ 労働時間数
⑥ 時間外労働時間数
⑦ 深夜労働時間数
⑧ 休日労働時間数
⑨ 基本給や手当等の種類と額
⑩ 控除項目と額


参考:厚生労働省「労働者を雇用したら帳簿などを整えましょう~労働関係法令上の帳簿等の種類と保存期間について(簡易版)~」

賃金台帳の様式は、以下よりダウンロードできます。インターネット上でダウンロードできるひな型や市販の様式では項目が不足する場合があるため、あらかじめ内容を確認する必要があります。

参考:厚生労働省「主要様式ダウンロードコーナー」

賃金台帳の法定保存期間

2020年4月の改正労基法施行により、賃金台帳等の労働関係に関する重要な書類の保存期間が「5年間」に延長されました(ただし、当面の間は「3年間」とされています)。起算日は「最後の記入をした日」ですが、記入した日より当該記録に係る賃金の支払日が遅い場合は「その支払日」とされる点に注意しましょう。また、「源泉徴収簿兼賃金台帳」を活用している場合、税法上の源泉徴収簿の保存期間が「7年間」とされているため、こちらに合わせる必要があります。

まとめ

様々な事業場の賃金台帳を拝見していると、そもそも法定の記載事項を満たしていない、フォーマットは適正でも労働日数や労働時間の記載がない等、問題のあるケースが多々見受けられます。また、出勤簿と賃金台帳を突き合わせた際、記録された労働時間が給与計算に正しく反映されていないことも少なくありません。

今一度、御社の法定帳簿の管理状況や内容について、見直しの機会を設けることをお勧めします。折を見て、SHARES公認の社会保険労務士にお気軽にご相談ください。

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