最大「33円」の引き上げも!2022年10月以降順次適用となる地域別最低賃金の改定額が公表
労務


例年10月に改定される地域別最低賃金について、2022年度は過去最大の大幅引き上げとなる旨はすでに以前の記事でご紹介した通りです。このたび、都道府県労働局に設置されている地方最低賃金審議会が答申した2022年度の地域別最低賃金の改定額(以下「改定額」)が取りまとめられましたので、確認しておきましょう。

この記事の目次

47都道府県すべてで30円以上の引き上げ!22道県で中央最低賃金審議会が示した目安額を上回る

令和4年度地域別最低賃金
依然として新型コロナウイルス感染拡大下にありますが、2022年度は47都道府県すべてで地域別最低賃金の大幅引き上げが実現する見込みとなります。
以下、答申のポイントを記載しておきます。

✓ 47都道府県で、30円~33円の引上げ
引上げ額が30円は11県、31円は20都道府県、32円は11県、33円は5県
✓ 改定額の全国加重平均額は961円(昨年度930円)
全国加重平均額31円の引上げは、1978年度に目安制度が始まって以降で最高額
✓ 最高額(1,072円)に対する最低額(853円)の比率は、79.6%
(昨年度は78.8%。なお、この比率は8年連続の改善)


出典:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の答申がなされました」

同じ会社でも、あくまで「所在地」に応じた地域別最低賃金を適用

このたび公表された2022年度改定の地域別最低賃金は、今後、都道府県労働局長の決定を経て、都道府県ごとに2022年10月中に順次適用されます。各事業場においては新たに今秋より適用となる改定額目安、発効予定日を把握し、対応準備を進める必要があります。

なお、最低賃金は事業場の所在地に応じた額を適用します。同じ会社であっても事業場が別々の都道府県にある場合、あくまで各事業場の地域に適用されている最低賃金を上回る必要があるというわけです。また、労働者に適用する地域別最低賃金は、あくまでそれぞれの労働者を雇い入れている事業場の所在地に適用される額が適用されます。

例えば、埼玉県の店舗で雇用されている労働者を、東京都内の店舗へ応援要員として派遣する場合にも、あくまで埼玉県の地域別最低賃金を満たす賃金であれば問題ありません。

「最低賃金を下回る労働者の賃金引き上げ」のみの対応では不十分な場合があります

地域別最低賃金引き上げに伴い、さっそく賃金見直しの検討にとりかかっている現場も多いのではないでしょうか。とりわけ2022年度はすべての都道府県で30円以上の大幅引き上げが予定されているため、「今のままの賃金ではアルバイトの時給が最低賃金以下になってしまう」というケースが多く見受けられます。

このような場合最低賃金額に合わせてアルバイトの時給を引き上げる必要があることは言うまでもありませんが、同時に、すでに最低賃金を上回っている労働者の賃金についても必要に応じて見直しを行っていくことが大切です。後者の労働者の場合、最低賃金のラインで勤務する労働者と比較すればより広範な職務に従事し、さらに重い職責を担っているはずです。

地域別最低賃金の引き上げに伴い一部の労働者の時給が年々上がっていくなら、やはり同じように賃金の見直しが行われなければ公平性に欠けると考えられても無理はないでしょう。
地域別最低賃金の引き上げに伴い、必要となる対応は会社によって異なります。「最低賃金を下回る労働者の賃金引き上げ」にとどまらず、あらゆる労働者の立場になって必要な対応を検討できるのが理想です。

まとめ

地域別最低賃金引き上げへの対応は、社会保険労務士までご相談ください。労働者の賃金見直しや賃金制度の設計、給与計算業務、助成金活用等、御社に合った対応を専門家目線でご提案いたします!

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