新型コロナウイルス新規感染者数の高止まりが続く中、コロナ禍の企業経営の一助となる「雇用調整助成金特例措置」「小学校休業等対応助成金」の2022年10~11月の助成予定が公表されました。10月以降は、いずれの助成金においても助成上限を減額した上で、継続の見込みとなっています。
雇用調整助成金(新型コロナ特例)の助成率は据え置き、助成上限額が減額に
出典:厚生労働省「令和4年10 月以降の雇用調整助成金の特例措置等及び産業雇用安定助成金の拡充について_別紙」
「雇用調整助成金(新型コロナ特例)」及び、コロナの影響による休業に際して事業主から休業手当を受けられなかった労働者が支給を受けられる「休業支援金」の、2022年10月以降の変更点は以下の通りです。
雇用調整助成金等
・原則的な特例措置の上限額を9,000円→「8,355円」に減額※雇用保険の基本手当の日額上限(8,355円)との均衡を考慮して設定
・地域特例・業況特例に該当した場合の上限額を15,000円→「12,000円」に減額
・助成率については2022年9月までの率を維持
休業支援金等
・原則的な措置上限額は、2022年9月までの「8,355円」を維持※雇用保険の基本手当の日額上限(8,355円)との均衡を考慮して設定
・地域特例に該当した場合の上限額を11,000円→「8,800円」に減額
・助成率については2022年9月までの率を維持
各助成金制度の具体的な内容は、以下よりご確認いただけます。
参考:
厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」
厚生労働省「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」
なお、表中の「雇用調整助成金等」「休業支援金等」というように「等」がついているのは、雇用保険被保険者以外の労働者を対象にした「緊急雇用安定助成金」「休業給付金」についても同様とされるためです(雇用調整助成金、休業支援金は雇用保険被保険者を対象とする制度です)。
小学校休業等対応助成金も上限額引き下げの見込み
コロナに起因する小学校等の臨時休業等に際し、子どもの世話のために仕事を休まざるを得ない労働者に有休の特別休暇を取得させた企業に対して支給される「小学校休業等対応助成金」、及び同様の状況で仕事ができなくなったフリーランスに対して支給される「小学校休業等対応支援金」についても、助成上限額を引き下げの上、2022年10~11月に取得した休暇を対象とする予定です。出典:厚生労働省「令和4年10月以降の小学校休業等対応助成金・支援金の内容等について_別紙」
従来通り、小学校休業等対応助成金では「休暇中に支払った賃金相当額×10/10の助成」、小学校休業等対応支援金は「就業できなかった日について1日あたり定額支給」となることに変わりはありませんが、日額上限が減額されます。
本助成金の詳細や申請様式は、以下よりご確認いただけます。休暇取得期間によって申請様式が異なりますので、 必ずご確認の上、正しい申請様式を使用して申請できるようにしましょう。
参考:厚生労働省「新型コロナウイルス感染症による小学校休業等対応助成金について」
不正受給は厳禁です!
厚生労働省「雇用調整助成金(新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例)」には、ページ上部に大きく「不正受給の対応を厳格化しています」のバナーが設置されています。
性質上、申請手続き・書類の簡素化、支給事務の迅速化が図られるコロナ関連の助成金ですが、こうした背景で頻発する不正受給に対し、政府は対策強化の方針を示しています。政府は、ペナルティ(不正受給額の2割相当額)付の返還請求や事業所名等の積極的な公表、予告なしの現地調査、5年間の雇用関係助成金不支給措置といった厳格な措置を講じており、もはや「ばれたら返還すれば良い」という程度で済まされるものではありません。雇用や休業の実態とは異なる申請、書類の改ざん等の不正に手を染めるのは厳禁です。