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4~7月は「アルバイトの労働条件を確かめよう ! 」キャンペーン期間
厚生労働省では、学生アルバイトの採用が増加する春先から夏前までの今、アルバイトの労働条件や雇用管理体制の見直しを促すキャンペーンを実施しています。具体的には、都道府県労働局が主体となって、ポスター等での学生への周知・啓発活動、大学等への出張相談窓口の設置を進めています。
「正社員の労務管理には注意すべきだが、アルバイトにはさほど神経質にならなくとも良い」未だこのようなスタンスの企業も少なくはありませんが、働く側の意識が高まるであろうこの時期にあわせ、今一度御社におけるアルバイト管理を見直されることをお勧めします。
アルバイト雇用に関わる重点項目5つを確認
アルバイト雇用に関して事業主が心得ておくべきポイントとして、厚生労働省からは下記5点の重点項目が公表されています。
アルバイトに対する「書面による労働条件の明示」、出来ていますか ? 正社員向けにはしていても、アルバイトに対してはおろそかになっていることが多いのではないでしょうか。
労働条件通知書については、下記より各種ひな形をダウンロードできます。適宜加工して御社仕様のフォーマットを持っておくと採用の際にスムーズです。
参照 : 東京労働局「様式集」
労働条件通知書に記載すべき内容は下記の通りです。フォーマットを加工、作成される際にはご注意ください。
ちなみに、(1)~(5)については書面交付が必要で、その他の項目については口頭での説明で良いことになっています。
■ 必ず記載しなければならない事項
(1) 労働契約の期間
(2) 就業の場所・従事する業務の内容
(3) 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
(4) 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
(5) 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(6) 昇給に関する事項
(1) 労働契約の期間
(2) 就業の場所・従事する業務の内容
(3) 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換(交替期日あるいは交替順序等)に関する事項
(4) 賃金の決定・計算・支払方法、賃金の締切り・支払の時期に関する事項
(5) 退職に関する事項(解雇の事由を含む)
(6) 昇給に関する事項
■ 定めがある場合には記載すべき事項
(7) 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
(8) 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
(9) 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
(10) 安全・衛生に関する事項
(11) 職業訓練に関する事項
(12) 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(13) 表彰、制裁に関する事項
(14) 休職に関する事項
(7) 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払の方法、支払時期に関する事項
(8) 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項
(9) 労働者に負担させる食費、作業用品その他に関する事項
(10) 安全・衛生に関する事項
(11) 職業訓練に関する事項
(12) 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項
(13) 表彰、制裁に関する事項
(14) 休職に関する事項
また、アルバイトであっても労働時間の適正管理は必須です。事業主は、始業時刻、休憩時間、終業時刻といった勤怠の状況を正しく把握しましょう。そして、無理のある働かせ方をしていないか、時間外・休日労働に関わる割増賃金が支払われているかを判断します。
学生アルバイトに向けた、学業との両立を考慮した労働時間の設定は必須となります。具体的には、試験前には労働時間を短くする、授業への出席を第一とし、急なシフト変更をしない、無理なシフトを設定しない等の配慮をするようにしましょう。
罰金の徴収は労基法違反
アルバイトを雇用しても、遅刻や欠勤、突然の退社等により、事業主が突然不利益を被らざるを得ないケースが生じることがあります。こうした場合、事業主心理としてアルバイトに対し「罰則を科したい」と思ったり、アルバイトの意識を高めるために抑止力として「罰則規定を設けたい」と感じたりすることもあるでしょう。しかしながら、原則として、あらかじめ損害賠償額を定めたり、実際に給与から損害賠償額相当を差し引いたりすることは出来ません。
ただし、あまりにも意識が低く、規律違反を繰り返すようなアルバイトに対しては、制裁として賃金の一部を減額することは可能ですが、労働基準法上「1回の減給金額は平均賃金の 1 日分の半額を超えてはならない」「複数にわたって規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額の10分の1以下であること」とされているので、注意が必要です。また、このような取扱いを適用するためには、根拠として「就業規則への規定」が必要となっています。
まとめ
アルバイト雇用については、アルバイト側の意識と事業主側の雇用管理意識、双方が問題となるケースを散見します。互いに相手のあることですから意識改革が難しい場合もありますが、まずは事業主が襟を正すことで、仕事に対するアルバイトの考え方を変えていくきっかけにつなげることは可能ではないでしょうか。
アルバイトも正社員も、分け隔てなく、適切な雇用管理に努めましょう。社内ルールの再検討や必要な書式の作成、日々の労務管理には、専門家である社会保険労務士をご活用ください !
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ
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