就業規則とは?【わかりやすく解説】
労務


みなさん、こんにちは

私は社会保険労務士として、中小企業向けの採用支援を行っている三浦真由美といいます。
SHARESの弊社ページでも自己紹介を詳しく載せていますのでぜひご覧ください。

今回は、会社のルールブック 就業規則についてわかりやすく簡単に解説します。

労働基準法89条において、以下の通り定められています。
「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。」

この記事の目次

就業規則のはじまり

この常時10人の根拠って、皆さんご存知でしょうか?

【答え】昭和20年当時、労働基準監督署の職員の数が限られていたため、労働者10人からの事業所のみに義務措置がとられた。行政の都合でした。

ちなみに89条の「作成及び届出の義務」に違反すると、30万円の罰金に処するとありますので、従業員が10人になりそうな時は作成の準備をしましょう。作成には2ヶ月から3ヶ月程かかると思っていた方がいいですね。

また、この従業員常時10人にはパートさんアルバイトさん含みます。短期間の契約のアルバイトさんは入れなくて大丈夫。そして会社単位でなく事業所単位で在籍者数を数えてください。

作成のタイミング

では、従業員が10人までは作成しなくてもいいですか?

【答え】本来は、従業員1人から作った方がいいです。
その理由は、1人から労働基準法が適用されるから。
入社時に雇用契約書を取り交わしますが、就業規則作成前に雇用した従業員は、後から作った就業規則より、個別の雇用契約の内容が優先されます。

すなわち、就業規則の内容が、個別の雇用契約より労働者に不利益な内容だと、一人ひとりの合意をとる必要が出てきます。これを不利益変更といいます。

このことを知らなくて、厚労省のホームページからモデル就業規則をダウンロード 自社用にカスタマイズした就業規則を労基署に届けます。労基署は受け取りますが、その後もし従業員の中から労働条件についての苦情が労基署に入った場合や、労基署による臨検(突然の労務監査)があった場合、就業規則・労働契約書(雇用条件通知書)・賃金台帳を見比べ、齟齬が出てくると労基署による是正勧告書が交付、期日までに法違反を是正するように指導されます。

必ず専門家に依頼しましょう。

就業規則の効果

次に実際の就業規則の見直し、作成時の手順について説明します。

まず従業員個別の雇用契約を確認

社員に変更理由を説明、個別の合意をとる(不利益変更の場合)

作成後には労働者代表の意見とサインをもらう

労基署に提出、労基署にハンコを押してもらう

社員に周知。

ここで初めて、新しい就業規則の内容を事業主は社員に約束することになります。

注意点がたくさんあり

社員に変更理由を説明


なぜ、変更するのか?不利益になるのはどうしてか?
を、粘り強く丁寧に説明をします。
特に、労働条件のコアな部分 賃金・労働時間・休日・休憩・就業場所などの生活に直結することを不利益に変更することは、過去の判例を見てもまず会社側が負けます。

労働者代表の意見とサインをもらう


労働者代表はどうやって決めたらいいのでしょうか?
そこで経営者がやりがちですが、やってはいけないこと
1.管理監督者を労働者代表に選ぶ
管理監督者は「労働条件の決定やその他労務管理に関して経営者と一体的な関係にある者」と定義されています。肩書きやポジションではなく実態で判断。つまり、責任や裁量、職務などから判断して経営側の人は選んではいけません。理由はこの管理監督者は労働時間・休憩・休日に関する適用義務がないから。

2.経営者が労働者代表を決める
就業規則作成、届出には労働者代表のサインが必要とばかりに「〇〇君、サインしておいて」と軽く指名してしまうと、この就業規則は無効となります。これは残業をさせるための36協定も同様です。

おすすめの方法は

・朝礼があれば、朝礼時に労働者代表を挙手で決める。
・就業規則作成、変更の説明の際に挙手で決める。

注意点:就業規則の意見・36協定を締結するための従業員代表の選任を実施するためと目的を伝えることが必要です。代表になることで不利益を被ったりしないことをしっかりと伝えましょう。

まとめ

・労働基準法は従業員1人から適用される
・従業員に不利益な変更は一方的にできない
・労働者代表の選び方に注意をする


就業規則の作成は、大変だけどチャンスと捉えて、 経営者と従業員が目標に向かって、同じ方向を向けるきっかけになるツールとしてはいかがでしょう。

弊事務所では、就業規則の作成を得意とした社会保険労務士によるご相談も受け付けております。
SHARESのお問い合わせより、ご連絡お待ちしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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