令和4年12月以降の雇用調整助成金の特例措置が決まりました。
労務


新型コロナウイルスの感染拡大による雇用調整助成金の特例措置が始まって、間もなく3年になろうとしています。同助成金の措置は、その後少しずつ、上限金額や対象を下げており、国としても通常の状態に戻そうとしています。

先日、令和4年12月~令和5年3月の同特例措置の助成内容が発表されました。その内容について、お問合せの多い中小企業に絞って解説いたします。また、ここで言う「月」とは、給与計算期間の開始日が属する月を指します。つまり、11月21日から12月20日分を給与計算期間としている場合、この期間は11月分となります。

この記事の目次

1.原則は特例措置廃止。未だ業況が厳しい会社のみの経過措置のみがある。

今回の助成内容の冒頭に「12月以降通常制度とするとともに、業況が厳しい事業主については、一定の経過措置(支給要件の緩和、日額上限・助成率を通常制度よりも高率とする等)を設ける」と記されています。

元々、雇用調整助成金という名前の助成金制度は以前から存在していました。例えば、大企業からの下請けで成り立っていた小規模事業者が、その下請けを打ち切られた際に、社員の雇用維持のための助成として使えるものです。

コロナ感染が拡大した際、どの会社でも簡単に雇用調整助成金を使えるように簡素化したのが現在の「特例措置」です。この特例措置が例外を除いてなくなる、というのが趣旨となります。よって、これまでこの特例を利用してこなかった会社は、特例措置を利用することができません。(特例ではない通常の雇用調整助成金を利用することになります。ただし、コロナの影響による一部緩和措置がありますので、詳細はハローワークにご確認ください。)

2.令和4年12月以降の申請では売上などの業況の再確認が必要。

では、その「例外」にあたるのはどのような会社でしょうか。それは「生産指標が前年同期比で1ヶ月に10%以上減少している事業主」ということになります。生産指標とは主に売上をイメージすれば良いでしょう。

申請月と令和元年~4年までのいずれかの年の同月(過去1年の内任意月との比較でも可)と比較して10%以上減少していることが条件となります。特例措置を受けている会社は、既に一度提出しているはずですが、特例措置を始めて1年以上経つ場合は、再度提出が必要となります。

なお、令和5年1月までは、「業況が特に厳しい事業主」として、生産指標が最近3ヶ月の月平均で1年前~3年前の同期と比較して30%以上減少している場合は、その上限や支給率が上がります。これまでの「業況特例」と似たものと捉えて良いでしょう。

支給率は原則これまでの4/5から2/3に下がります。上限額8,355円は変わりません。特に業況が厳しい事業主にあたる場合のみ、支給率4/5(解雇等を行っていなければ9/10)で上限9,000円となります。

3.令和4年12月から令和5年3月までは100日が限度になる。

雇用調整助成金について、これまで特例措置には無かった「支給限度日数」という考え方が始まります。元々通常の雇用調整助成金にはある制度なので、ここから見ても、通常の制度に戻そうとしていることがわかります。

支給限度日数は同期間で100日です。正確には休業した延べ日数を雇用保険対象者の総労働者数で割った日数なので、この4ヶ月だけで100日を超えることは、よほどの大規模な休業でないと考えにくいのですが、この日数を超えると申請ができませんので、お気をつけください。

なお、緊急雇用安定助成金については、今のところ、この日数制限はありません。

まとめ

●原則は雇用調整助成金の特例措置は終了。業況が厳しい会社のみの経過措置となる。
●売上などの生産指標が厳しいことについて、再確認が必要となる。
●支給限度日数があるので、大規模な休業をしている会社は要注意。


雇用調整助成金の特例措置は令和4年12月から大きく変わります。上記の内容は、そのうち影響が大きいところのみをピックアップしています。
その他、詳細については、厚生労働省からの発表をご覧ください。

また、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金についても、変更があります。これまで8割支給だったものが6割支給となりますので、ご承知ください。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。