副業については、以前に比べると容認するケースが多くなりましたが、まだまだ副業禁止とする会社は多いです。また、副業を容認するとしても、無条件というわけではなく、会社に報告し承認を得ることを要する会社は少なくありません。
しかし、そもそも「副業」とはどのような状態を指すのでしょうか。中には副業として申告すべきか困ってしまうケースもあるのではないでしょうか。
ここでは、副業と呼べるか否かで困るようなケースについて解説をします。
1.副業に法的な定義はない。各会社で定義付けは可能。
副業とは、一般に本業とは別に収入を得る目的で副次的に行う仕事と解されます。もっとも、法律上の明確な規定はありません。また、副業を縛る法律もありませんので、会社が副業を禁止・制限するなら就業規則でその旨を明記するしかありません。よって、その仕事を副業かどうか決める一次的な判断は会社側にあります。A社ではOKな副業もB社ではダメ、ということも有り得るでしょう。その判断は会社の性質にもよります。例えば先生など高い倫理性が求められる仕事であれば、その副業で認められる範囲も狭まることになります。
社員の立場としては、どこまでが副業として認められるか、あらかじめ会社に確認する必要があります。
2.大前提は本業に影響させないこと
認められる副業の大前提として本業に影響させない、ということがあります。会社はベストな状態で勤務してもらうことを前提に雇用契約を結ぶわけなので、その状態が維持できないということは契約違反とも言えるからです。例えば、副業で働きすぎて健康面を損なうケースや、本業と隣接していて会社と競業してしまうケースなどが、制限されるべき副業ということになるでしょう。また、その副業をしていたことが発覚して会社の信用を落とすようなケースも、本業に影響させてしまっていると言えます。
3.手作り商品の売買や金融商品の投資などは本業に影響なければOK
一方で、手作り商品をインターネットサイトで販売する行為や、FXや投資信託といった金融商品に投資するような行為は、行き過ぎた規模感でなければ副業として咎められる可能性は低いでしょう。転売行為やブロガーとして広告収入を得るような行為も同様です。このような行為は、業務時間外に行われることが一般的で、健康に差し障るとも言えず、本業に影響するとは言いにくいからです。
もっとも、それを法人化して事業として行うようなケースだと、事業化することによる社会的責任が伴ってくるので、やはり副業として制限される可能性があります。ただ、節税対策のみを目的として法人化をするような場合はそうとも言い切れません。就業規則などを根拠に会社から咎められた場合は、本業とは言えない、趣味程度の範囲で行っていることを従業員側が説明する必要があります。
まとめ
●副業に明確な定義は無いので、会社ごとに確認が必要。
●副業として認められるためには、大前提は本業に影響させないこと。
●業務時間外の時間を利用して行う行為は、副業として咎められにくい。
いかがでしたでしょうか。
副業については、「住民税を普通徴収にすることでバレない」という話をよく聞きます。しかし、収入とマイナンバーは紐づけされているので、いつそれが発覚してもおかしくない、とも言えます。
また、仮に禁止されている副業か否かのボーダーラインになるような行為が発覚した場合、それは会社と社員との間の信頼関係にも影響します。副業を行うことそのものが法律に触れるわけではないので、それを申告することに躊躇う必要も無いとも言えます。副業を行う側としては、まず副業について就業規則を確認し、また会社にその副業が容認できるか確認を入れておきましょう。
最近では、収入を得るという目的以上に、キャリアアップや自身の勉強のために行う副業も増えています。これらの目的を持っていると、会社もその副業を認めやすいと言えるでしょう。副業を行うのであれば、それを行うことで会社にメリットがあることも説明に入れておきたいところです。