「経営者はいつでも労働者を解雇したがっている」は誤解
労務


みなさん、こんにちは

私は社会保険労務士として、中小企業向けの労務制度設計デザインを行っている三浦真由美といいます。
SHARESの弊社ページでも自己紹介を詳しく載せていますのでぜひご覧ください。

今回は、中小企業の人事のこれからについて、考察してみます。(ざっくりすぎますね)

この記事の目次

終身雇用と長期雇用

ご存知のように「働き方改革」が進む中で、「終身雇用のおわり」というある年代にとっては受け入れ難い事が現実化しています。

終身雇用は、安心して働き続け会社に所属し続けることで、経済的・対外的での利益が保証。
会社も「終身雇用」が経営・人事のメリットになり、具体的には手厚い福利厚生と年功的賃金制度で、優秀な人材の確保を実現してきました。

一方で、終身雇用を終え、定年後再就者の労働条件・処遇の相違の不合理性については、最高裁判決は長澤運輸事件(平成30年6.1判決)で次のように判示しています。

「有契約労働者が定年退職後に再雇用された者であることは、当該有期契約労働者と無期契約労働者との労働条件の相違が不合理と認められるものであるか否かの判断において、労働契約法20条にいう「その他の事情」として考慮されることとなる事情にあたると解するのが相当である。」

最高裁の雇用のあり方に関する考え方は、個々の労働者の人生を「持続」として肯定、「長期雇用」を評価しています。

「終身雇用」と「長期雇用」との違いとは、
定年退職した正社員を継続雇用でワークシェアリングの方法をとり、「長期雇用」を実現。
「終身雇用」は無くなり、
いかに、長期雇用をするかに企業は変わっていきました。

中高年の今後の処遇のあり方

昭和43年12.25最高裁判決の秋北バス事件について

おもうに、多数の労働者を使用する近代企業において、その事業を合理的に運営するには多数の労働契約関係を集合的・統一的に処理する必要があり、この見地から、労働条件についても、統一的かつ画一的に決定する必要が生じる。

この秋北バス事件とは

就業規則の変更(定年制に関する規定)により、定年を理由に解雇通知を受けた労働者が変更後の規定は自分には適用されないとして、就業規則の変更の無効確認等を求めて訴えを提起した事件です。

1審は労働者の請求を認容しましたが、原審は労働者の請求を棄却したため上告。
しかし、最高裁は上告を棄却しました。

この中の「集合的・統一的に処理する必要があり」は、多数の労働者を同じように扱う必要があったからですが、長期的雇用を実現するため就業規則の不利益変更は、労働者には不利益を呑んでもらう必要があったのです。

正社員の真の姿

経営者は事業継続を優先します。
正社員に経営者が求めるものは「管理職要員」であります。

昭和48年12.12最高裁判決の三菱樹脂事件では

大学卒業の新規採用にあたり、採否決定の当初においては、その者の資質、性格、能力その他上告人のいわゆる管理職要員としての適格性の有無に関連する事項について必要な調査を行い、適切な判定資料を十分に蒐集することができないため、後日における調査や観察に基づく最終的決定を留保する趣旨でされるものと解される。

この判決において、正社員の真の姿とは「管理職要員」だった。この当時、大学卒業者は正社員であり、現代と大学進学率が違う。 さらに「管理職要員」であった労働者による雇用の流動が始まり、雇用保障が変化しつつあります。

三菱樹脂事件とは

大学卒業と同時に3ヶ月の試用期間を設けて採用されたが、本人が学生時代に学生運動に従事し、デモや集会、ピケなどに参加していことを身上書に記載せず面接試験においても学生運動の質問について虚偽の回答をしており管理職要員としての適格性に欠けるとして、本採用を拒否された。そこで、この解雇は無効であるとして訴えを提起した。1審及び原審とも本人の請求を認容したが、最高裁は原判決破棄、差し戻しの判決を下した事件。
原判決破棄、差し戻しの理由:信条差別を禁止する労基法3条は雇入れ時における信条差別には適用されないとし、さらにこうした行為は民法上の不法行為にも該当しないと判断

人事労務は現場での最先端

以上のことから、企業の「長期雇用」の制度設計。
時に既存社員の退職や異動を行うことを経営者、経営幹部だけで行えるはずがありません。

労務制度設計、就業規則の整備、すべて手続きが重要。
人員整理するにも、選定(誰をリストラするのか)が重要。
法的手続きを踏む。それでも揉める可能性は高い。

もう、社内で対処、解決できるレベルではなく、かえって拗らせ不必要な時間と労力、経済的損失を招く可能性があります。

情報の良し悪しを判断するのも難しいでしょう。

「経営者は労務については素人」と自覚した方が早い。
専門家は多様な労務管理のプロであり、経営者にとっては難しい課題もスムーズに解決してくれます。

専門家を頼ることは、言うまでもなく自分の時間短縮になり、「お金で時間を買っている」少し費用がかかってもそれが解決の時間短縮になると思えば安いもの。

そして、頼ることを通して「他者から学ぶ」ことでより大きな可能性を広げることもできますね。

まとめ

・終身雇用と長期雇用
・中高年の今後の処遇のあり方
・正社員の真の姿
・人事労務は現場での最前線



いかがですか?
旧制度を継続するのは、流石にできない時代です。
人事制度、労務管理を見直さないといい人材も逃げていきますから、中小企業には急務の課題です。
しかし、ヒトの活用に十分なリソースをかけていられない実情があります。ぜひ専門家である社会保険労務士を使い倒してみてはいかがでしょうか。

弊事務所では、多様な労務管理・就業規則を得意とした社会保険労務士によるご相談も受け付けております。ご相談は無料でございます。
SHARESのお問い合わせより、ご連絡お待ちしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。