女性労働者を雇用するうえで知っておきたい女性特有の休暇等
労務


妊娠・出産・育児と仕事との両立を目指す女性従業員への配慮にかかわる法律を詳しくみていきます。『特に知っておいていただきたい女性のライフスタイルの変化にともなう法律』を4つ解説いたします。こちらは、女性従業員の身体の悩みにかかわる非常に大切な法律です。女性特有の生理休暇に戸惑うかもしれませんが、女性従業員を雇用するお立場の方々には必ず知っておいていただきたい法律です。
尚、これらの休暇等は無給でも有給でも構わず、各企業様においてお決めいただいて問題はございません。

この記事の目次

妊婦検診にともなう休暇等

女性従業員は、以下の期間に定められた頻度で妊婦健診へ通います。表をご覧ください。
妊婦検診の頻度 期間
4週間に1回 妊娠0週〜妊娠23週まで
2週間に1回 妊娠24週〜妊娠35週まで
1週間に1回 妊娠36週以降〜出産まで
医師の指示に従い必要な時間 出産後1年以内

参考:労働基準法第12条男女雇用機会均等法

女性従業員は出産予定日が判明すれば、すみやかに会社に報告することが望ましいです。一方で、会社は女性従業員が妊娠や体調の変化を言い出しやすいような環境づくりを普段からつくっておくのがよいでしょう。また、労働基準法第13条では、医師などの指導事項を守ることができるようにするための措置として、以下のように定められています。

●妊娠中の通勤緩和(時差出勤、勤務時間の短縮等)
●妊娠中の休憩時間(時間の延長、休憩回数の増加等)
●妊娠中と出産後の症状等に対応(作業の制限、休業等)


参考:厚生労働省 働く女性の母性健康管理措置、母性保護規定について

会社は、女性従業員が妊婦健診のため医療機関へ通院することを希望していれば、すみやかに認めなければなりません。また、妊婦の方の中でも人によっては、安定期に入るまで精神的に不安定になったり、つわりで吐き気を感じたりします。妊婦の従業員の労働時間短縮、就業中の休憩、身体に負担のかかる業務から外すことなどが、法律で定められています。

産前産後の休暇

産前産後休暇に関しては、労働基準法第65条で定められています。まず、産前休業についてです。妊婦の従業員は、出産予定日から6週間以内の場合、会社へ休業を請求できます。会社側は、妊婦が請求しない場合、妊婦の従業員が勤務しても法違反にはなりませんが、妊婦の従業員の体力的負担を減らすこと、早産を避けることから、 出産予定日6週間前からでも妊婦にとにかく無理をさせないよう気をつけましょう。
出産日は産前になります。従って実際の出産日によっては産前休暇は42日未満にも42日以上にもなり得ます。

次に、産後休業についてです。実際の出産日の翌日から8週間以内の間、女性従業員を就業させることは禁じられています。ただし、産後6週間を経過して、医師が支障ないと認めた場合はこの限りではありません。
産前産後休暇中に賃金が支払われないときは、健康保険から出産手当金を受給することができます。

育児時間

労働基準法第67条では、「育児時間」について規定されています。1歳未満の子を育てる女性従業員が取得できる育児時間は、通常の休憩時間以外に1日に2回、それぞれ30分以上(まとめて1時間取得可能)です。女性従業員は育児時間を利用して主に次のことを行っています。

●赤ちゃんへの授乳やミルク
●保育所への送迎
●離乳食づくりや入浴、お散歩などさまざまな世話


生理休暇

生理休暇とは、生理がつらく働けないときの休暇です。生理は「女性が自分ではコントロールできない痛み」です。労働基準法第68条によると、「生理日の就労が著しく困難な女性労働者から請求があったときは、会社は女性従業員に必要な期間休暇を与える」と記載があります。一方で、厚生労働省の調査によると、生理休暇取得率はわずか0.9%です。
(参考:厚生労働省 令和2年度雇用均等基本調査の結果概要)

このように、会社で定められているものの、「そもそも会社に生理休暇があるかどうかわからない」「生理だと言いづらい」という意識がまだまだあるようです。一般的には、自分の有給休暇をとる女性従業員が多いようです。また、従業員の症状が重くても医師の診断書は必要なく口頭でも構いません。当日にならないとわからない痛みのため、女性従業員から休暇の請求があった場合、会社はすみやかに受け入れなければなりません。生理は月に一度必ずあるものです。女性従業員が我慢や無理をして職場で周りに迷惑をかけた、大切な取引先でミスを起こしてしまった…というようにならないように、しっかり休んで体調がよい状態で働いてもらうべきでしょう。

まとめ

会社が女性従業員特有の休暇に理解を育むことで、女性従業員が安心して仕事に取り組める職場環境が整います。本記事の内容を参考に、女性従業員が安心して長く働ける職場づくりを目指されること、そうした取り組みが会社の更なる発展に寄与することは、火を見るより明らかであることは疑いようがないことと言えるでしょう。

(文:中村 香名 監修:針谷 裕一)

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