これからの中小企業に必要なのは外国人材の雇用スキル
労務


みなさん、こんにちは

私は社会保険労務士として、中小企業向けの労務デザインを行っている三浦真由美といいます。
SHARESの弊社ページでも自己紹介を詳しく載せていますのでぜひご覧ください。

今回は、人材不足が慢性化している日本の中小企業の課題に向き合いたいと思います。

この記事の目次

日本人労働者はもうかなり前から少ない

みなさんの会社は人手が足りていますか?

令和3年11月30日に総務省が公表した令和2年国勢調査人口等基本集計によりますと、令和2年10月1日現在における日本の人口は1億2614万6000人。 平成27年から人口は94万9000人減っています。

この数字にはカラクリがあり、令和2年10月1日の日本人の人口は平成27年と比べると178万3000人減少しているのです。
えっ!ずいぶんと差があるのはなぜでしょう。

その差は、在留外国人の人口は平成27年と比べると83万5000人増。
(平成27年から43.6%増、年平均7.51%増)

日本人の人口だけにフォーカスすると、178万3000人減少しています。
国勢調査には、日本に住んでいる外国人の人口も含まれていることを私も含め知らずにいました。そして、高齢化を考えるのであれば労働人口は加速度的に減っています。

納得できますね、どの中小企業の社長も人材不足に悩んでいます。
ましてや、介護、建設、宿泊、農業などはかなり深刻。今後必要なIT人材も優秀な人材ほど海外に出てしまっていることはあまり知られていないかもしれません。

数少ない若い日本人の労働者は、知名度のある大企業に行きがちです。中小企業の生き残りをかけた人材確保は国籍にこだわっている場合ではありませんよ。

外国人材の雇用スキル

企業が人を雇用するために必要なことは2つあります。

①ハード面の労働環境
通勤しやすい場所、空調が整った社内環境、安全な建物等

②人間らしい生活ができる条件
賃金体系、社会保障(各種保険、税務など)、各法令遵守、人権など


社労士の仕事をしていて、労務管理が完璧な会社は残念ながら無いのですが、 最近の傾向として、助成金申請、取引先の選定、上場の要件など前に比べて労務管理の重要性を感じます。
そのためか、初めて人を雇うタイミングで就業規則作成のご依頼が増えています。

では、外国人材を雇用するために必要なのは、まずその外国人材が持っている在留資格が仕事に合っている在留資格かどうかがとても大切です。

例えば、日本人の配偶者、永住者の在留資格を持っている方は制限なく就労可能なので、日本人と同様にどんな職種でも雇用できます。

しかし、日本の大学に留学しそのまま日本に就職したいほとんどの外国人材が持つ「技術・人文知識・国際業務」(通称ギジンコク)は「従事しようとする業務に必要な技術または知識に関連する科目を専攻して卒業していること」とあります。
例をあげると、コンピュータ工学部を卒業した外国人材を、システム開発会社の営業に採用したい。これは営業職であっても履修してきた科目を活かした仕事なので可能です。 良くないのが、ギジンコクの外国人材を単純作業に従事する仕事はNGで、在留資格の変更手続きの際にはじかれてしまいます。

外国人材を雇用する手続きには、出入国管理局の審査があり、「所属機関等に関する届出」を行います。この際に労働環境が整っていないと審査が通りません。
当然に、外国人材も日本人と同様に労働関係諸法令が適用されますので、労基法はもちろん、最低賃金法、安全衛生法、労働契約法、育児介護休業法はすべて適用となります。

1.在留資格の確認
2.会社の労働環境整備


この2点を整えた上で、日本と外国での慣習・文化の違いを受け入れ、一緒に働くスキルを学びます。

在留資格とは

多くの日本人は外国人の労働者と一緒に働いたことがない場合、それほど在留資格については馴染みがないと思います。

在留資格はめちゃめちゃ大事なのです。

雇用する会社は、適切な在留資格がない外国人材を雇用すると「不法就労助長罪」に問われれる可能性がありますので、注意が必要。

ここではわかりやすくホワイトカラー系の在留資格とブルーカラー系の在留資格を説明します。

ホワイトカラー系

「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」
営業職、マーケティング、広報、企画事務、翻訳・通訳、海外取引業務、経理、プログラマー、エンジニア、経営戦略、施工管理等管理業務

「経営・管理」
取締役、代表取締役、工場長、一定規模以上の部長等管理職、日本で起業した経営者

「技能」
インド料理や中国料理の調理師

「高度専門職」
「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」などの活動で、学歴・職種・年収等の項目ごとポイントをつけ70ポイント以上の外国人を「高度外国人材」とし、出入国管理上の優遇措置を受けることができる在留資格

ブルーカラー系

「特定技能」
目的は、人手不足が深刻な産業分野での受け入れです。
現在認められている分野
(介護、ビルクリーニング、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造、外食業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業) 特定技能外国人を受け入れる企業に必要な要件
・外国人と結ぶ雇用契約が適切
受入機関自体が適切
労働、社会保険および租税に関する法令を遵守していること

・外国人を支援する体制がある
・外国人を支援する計画が適切

「技能実習」
目的は、発展途上国支援のため人材教育制度である
現在の職種は86職種158作業あります。(令和4年4月時点)
技能実習生を受け入れるには、管理団体が会員企業のために受け入れ、会員企業において実習を実施する方法がほとんど。

管理団体とは、事業協同組合や商工会等営利を目的としない団体のことで、技能実習生の受入準備から入国、帰国までを行う機関です。
技能実習生を受け入れる企業に必要な要件
・管理団体の講習終了後に技能実習生と雇用契約を結びますので、日本人と同様法令を遵守した労務管理が求められます。特定技能と違うところは、管理団体と一緒に技能実習生の支援体制を行なっていくところです。

まとめ

・外国人材の雇用の必要性
・在留資格の重要性
・適正な労働環境の整備


いかがですか?
今回の記事は、外国人材の雇用を考えるキッカケになれば成功です。
適正な労務管理は外国人材でなくても優秀な人材を採用する条件です。

最初は面倒とか無理とか言われますけど、やってみると習慣になってできるようになりますよ。

弊事務所では、助成金の活用、多様な労務管理・就業規則を得意とした社会保険労務士によるご相談も受け付けております。ご相談は無料でございます。
SHARESのお問い合わせより、ご連絡お待ちしております。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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