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令和2年2月から続いていた雇用調整助成金のコロナ特例措置について、令和5年4月以降の扱いが発表になりました。
結論としては、特例措置は終了となります。正確には、令和4年12月時点で特例措置は終了しているのですが、既に支給を受けていた会社については経過措置として、規模を縮小して継続していました。今回はその経過措置も終了する、ということになります。
令和4年12月~令和5年3月の同助成金の扱いについては、こちらをご参照ください。
今回は、現在(令和5年3月4日時点)で決定している雇用調整助成金の令和5年4月以降の扱いについて解説いたします。
1.令和5年3月31日をもって、コロナ特例措置(経過措置)は終了
約3年に亘って続いてきた同制度ですが、3月をもって終了となります。3月31日をまたいだ給与計算期間がある場合でも、既に1年以上の特例の受給期間がある会社は、4月1日以降の休業は対象とならず、3月31日までの休業だけが対象となりますので、ご注意ください。また雇用保険未加入者に対して支給されている緊急雇用安定助成金も、同じ扱いとなり、3月31日で終了となります。給与計算期間の考え方も雇用調整助成金と同様です。
締め切りは給与計算期間終了翌日から2ヶ月以内となっております。未だコロナの影響を受けて休業命令を出している会社にとっては、大事な申請になりますので、早目に申請書の提出を行いましょう。
2.令和5年4月以降は通常の雇用調整助成金に戻る
そもそも雇用調整助成金とは、コロナ感染拡大によって作られた制度ではありません。以前から厚生労働省の助成金の一つとして存在していました。想定されていた事象として、例えば、大手企業一社との取引で成り立っているような中小企業が、その大手企業から契約を切られるようなケースです。この場合、業績が悪化することを見越して社員を解雇することをせず、休業命令を出して休業手当を支給することで、同助成金が受けられます。
令和5年4月以降は、原則、この通常制度に戻ることになります。コロナ特例は通常制度よりも書類の記載や添付書類が簡素化されており、助成金に馴染みの無い会社でも、比較的申請しやすいように配慮されていました。この特例がなくなるということです。
通常制度では、直近3ヶ月と前年同期の比較で10%以上の生産指標の低下が条件となります。また、前年同期に比べて雇用保険被保険者が5%を超えかつ6名以上(中小企業の場合は10%を超えかつ4名以上)増加していると対象外となります。
また助成金の受給期間について、通常制度に戻ると、1年間のクーリング期間要件というものがあります。コロナ特例を利用していた会社が通常制度で再度申請をする場合、最後の休業等実施日を含む判定基礎期間(給与計算期間)末日から1年経過している必要があります。ただし、コロナ特例を受けた対象期間が1年に達していない場合は、通常制度に戻っても、1年に達するまではクーリング期間無しで助成金を受けることができます。
なお、雇用保険未加入者は雇用調整助成金の対象外です。つまり、緊急雇用安定助成金については、制度自体が終了となります。
3.経過措置がまだ残るところも
一方で、いくつか通常の雇用調整助成金から要件が緩和しているところもあります。
まず、通常の雇用調整助成金では必要だった計画届の提出は、当面の間不要となります。また、休業日以外に残業を行った場合、休業等の延べ日数から所定時間外労働日数を差し引く必要があったのですが、この残業相殺も不要になります。
通常の雇用調整助成金では、対象者全員に対して一斉休業をさせていることが前提だったのですが、それも緩和されます。一部の労働者を対象とした短時間休業も助成対象です。
コロナの脅威は一昔前に比べれば去ったとはいえ、それでもコロナの影響や、近年だと円安や物価高騰で苦しむ会社もまだ残っています。そのような会社にとって、コロナ前に比べれば使いやすくなっていると言えるでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
●令和5年3月をもって、雇用調整助成金の特例措置は終了。3月を開始日とする給与計算期間までは申請可能。
●通常の雇用調整助成金の制度に戻るため、受給にはいくつかの条件をクリアする必要がある。
●コロナ前の雇用調整助成金に比べれば、使いやすい一面もある。
なお、4月以降の施策については、検討中という状況なので、変更の可能性があることをご承知ください。
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