令和5年4月からの給与計算に注意!雇用保険料率、健康保険料率などが変わります。
労務


令和5年4月から、新年度が始まります。社会保険関係の実務は4月~3月の年度で動いているものが多く、法改正や料率変更がこのタイミングで行われることがよくあります。この時期は給与計算の実務担当者にとって、気を遣う時期でもあります。

ここでは、令和5年4月から変わることをまとめてみました。給与計算時に変更点が漏れていないか、気を付けてください。

この記事の目次

1.雇用保険料率が変更になります。

まず、令和5年4月から雇用保険料率がアップとなります。

労働者負担分 事業主負担分 合計の雇用保険料率
一般の事業 6/1000 9.5/1000 15.5/1000
農林水産・清酒製造 7/1000 10.5/1000 17.5/1000
建設の事業 7/1000 11.5/1000 18.5/1000

※参考:『令和5年度雇用保険料率のご案内』

一昨年と比べると、雇用保険料の労働者負担が一般の事業で2倍になりました。労働者の昨今の負担感がここでもじわりと感じ取れます。

気を付けていただきたいのは、これらの料率が反映するのは「4月分」の給与からとなることです。つまり、末日締めの会社で翌月に支給をしている場合、この料率が反映されるのは5月に支給する給与から、ということになります。

また、給与期間が3月末をまたぐ場合は、締め日が最初に4月にある給与計算期間から適用します。つまり、3月21日~4月20日の給与計算期間から「4月分」として新料率で計算します。日割りで計算するわけではありませんので、ご注意ください。

2.協会けんぽの健康保険料率が変更となります。

協会けんぽ加入の会社の健康保険料率も変更となります。こちらは各都道府県によって料率が変わりますので、以下のリンクからご自身の会社の料率をご確認ください。料率が上がっているところと下がっているところがあります。

※参考: 全国健康保険協会『令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)』

介護保険料率も変更となります。こちらは全国共通で、1.64%から1.82%に上がります。

正確には、これらの料率は令和5年3月からの変更です。社会保険料は前月分を請求するので、一般的にその料率は翌月の給与から影響することになり、4月支給分から新しい料率で給与計算します。こちらは前述の雇用保険と違い、支給月で考えます。当月払いの会社でも翌月払いの会社でも、この料率が反映されるのは、4月に支払う給与から、ということになります。

なお、こちらでご紹介するのは協会けんぽの料率改定ですが、おそらく、多くの健康保険組合でも料率改定が同じ時期に行われています。自身の会社が加入している組合から発信されている情報をご確認ください。

3.現物給与の価額も改正されます。

報酬の一部が通貨以外のもので支払われる場合のことを現物給与と言い、社会保険料の報酬月額を求める際は、この現物給与分の金額を加算する必要があります。この現物給与価額も令和5年4月から変更となります。

※参考:『令和5年4月から現物給与の価額が改正されます』

特に会社から食事を提供していたり、社宅を提供したりしているケースは注意が必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

●雇用保険料率が上がっています。
●協会けんぽの健康保険料率も改定されています。健康保険組合加入の会社でも料率改定が無いか、確認してください。
●現物給与を支給している会社は、価額改定があるので、注意しましょう。


最近の給与計算ソフトは優秀なので、これらの料率改定があった場合、自動的に判断してくれることが多いのも事実です。しかし、そのようなソフトも100点の答えを出せるわけではありません。

一方で給与計算は当たり前のように100点が求められる仕事です。そうなると、やはり担当者の方が料率改定を的確に把握し、それがソフトでの計算に反映されているかどうか確かめる必要があるのです。

特に4月給与については、必ず検算を行い、その金額がソフトで示された金額と合っているか確認することをお勧めします。面倒な作業ではありますが、ここで間違えると社員から会社の信頼を失います。給与計算を担当している皆さんが、縁の下で会社の信頼を支えているのです。

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