【人材の提案が来ない!で終わらせない】紹介会社に対する具体的アプローチ術
労務


売り手市場が叫ばれて久しいなか、近年、紹介会社を利用して人材を採用する企業等も増えてきました。日本人材紹介事業協会によれば、2022年度4~9月度における大手3社の転職紹介実績に関する速報値が、コロナ禍前の水準を上回ったというデータもあるようです。しかし中小企業においては紹介会社に依頼をしても人材の提案が来ないと言ったお悩みも多いようです。今回はそのようなケースに対する対応策をご紹介致します。

この記事の目次

1.紹介会社からの提案までの流れ

今日における「紹介会社」とは、一般的に「有料職業紹介事業」である人材サービス会社のことを指します。主な仕組みとして、企業等(求人者)が紹介会社所定の求人票で申し込み、そちらに基づいて紹介会社が登録している求職者に求人情報を提供して応募を募ります。
しかし現在の売り手市場においては既存の登録者だけで紹介が完結しないケースも多く、同時に新規の求職者募集として、紹介会社は自社のお仕事情報サイトに具体的な求人情報を公開することで新規の登録を促して応募を募っています。そして求人に対して応募を希望する求職者がいれば、紹介会社が仲介して採用面接が組まれ、その結果により採用の合否が決まり、企業等(求人者)は成功報酬として紹介会社へ料金を支払います。
この過程の中で、「求人が他社に競り負けている」・「紹介会社に上手く情報が伝わっていない」・「紹介会社が求職者に求人情報を案内し尽くしてしまった」と言う場合などに、提案が来ないという現象が起きます。

2.求人情報の見直し

ではこの「提案が来ない」タイミングにおいて、求人先の企業等が出来ることを見ていきたいと思います。

1.募集求人の給与相場感を確認

まず求人中の職種に関して給与相場を確認することをお勧め致します。そもそも給与水準が他社よりも低ければ競争が厳しくなる事はお察しの通りですので、紹介会社に依頼して給与相場を調べてもらいましょう。もしも、自社と他社の求人にある程度の差が生じているという事であれば、アピールポイントを整理・創出して求人票を金額以外の面に焦点を当てるよう戦略的に改善したり、他社との求人競争を極力避けるため、リファラル採用(社員紹介制度)などをはじめとした紹介会社以外での募集も合わせて検討していきましょう。

2.アピールポイントの整理と共有

次に自社のアピールポイントについて、「きちんと紹介会社の担当者が理解しているか」確認してみましょう。この際、紹介会社のお仕事情報サイトでどのように掲載されているか確認することも有効です。なお、アピールポイントについては、紹介会社の担当者にも一緒に考えていただくことで新たな視点からアドバイスが頂けることがありますので、場合によっては適宜ミーティングの機会を設けると良いでしょう。

※自社でアピールポイントの確認や整理を改めて行いたい場合には、以下の記事も参考にして下さい。
【求人票へのエッセンス】自社分析から発掘する求人票のアピールポイント!

3.社内の見える化についての施策

株式会社マイナビが公表している新卒採用における就活生の意識調査を参考にすると、若年層の代表格である新卒採用における就活生の職場選びのポイントが確認できます。この調査結果では2000年代初頭から2019年卒まで職場選びのポイントとして長年トップであった「自分のやりたい仕事(職種)ができる会社」に代わり、2020年卒以降は「安定している会社」がトップに躍り出ていることがわかります。そして更に追加の調査によれば、その「安定している会社」とは、上位から順に以下とされています。

[企業に安定性を感じるポイント]
1.福利厚生が充実している
2.安心して働ける環境である
3.売上高
4.成長性
5.大手
6.離職率や平均勤続年数(以下省略)

※株式会社マイナビ 2023年卒大学生就職意識調査より引用

こちらから読み取れるものとして、現在の若年求職者は以前に比べて「環境面・実態」を職場選びにおいて重視している事がわかります。特に2番に位置する「安心して働ける環境である」については、育休制度やハラスメント等への対策意識、そして「会社の雰囲気」と言う点などに大きな注目が集まっているとされています。このあたりは求人票の「文字」だけでは上手く伝わりませんので、自社ホームページ内の採用情報等に、社内の環境整備の状況や社員の様子がわかるようなコンテンツを作成しておくことで訴求力が高まります。なお、各種の環境整備が進んでいないという場合には、弊所をはじめ、ぜひ専門家である社会保険労務士にご相談下さい。

4.紹介会社へのアプローチ

そして最後に紹介会社に対する直接的なアプローチ方法をご紹介致します。ここでは紹介会社の「求人の案内方法」に関して、各社の違いに注目して下さい。

<求職者への案内方法>
1.営業担当が自ら求職者へ求人を案内
2.営業担当とは別に専任コーディネーターが求人を案内


上記のように求人の案内をする担当者が、その紹介会社の規模や方針などにより異なります。そのため紹介会社に予め「実際に求人を案内するのはどなたか?」を確認しておくと良いでしょう。もしも「専任コーディネーター」という事であれば、その方に説明の機会を設定できないか営業担当に相談を持ち掛けたり、複数の紹介会社に依頼をしている場合においてはウェビナーによる「求人説明会」を開催して参加してもらい、一気にアプローチするような手段もあります。(会社方針などにより必ず実施・参加して頂けるとは限りませんので、各依頼先にご確認下さい)このように実際に求人を案内している担当者へ直接アプローチして自社の理解を深めて頂くことで、状況が改善される場合もあります。

まとめ

現在の求人市場はより一層厳しさを増しており、提案が来ない場合には、原因究明や改善努力を積極的に行う必要があります。弊所では筆者の人材サービス会社での勤務経験をもとに、「紹介会社・派遣会社」の利用についてもご相談に応じていますので、提案が少なくお困りである企業様はぜひお気軽にご相談下さい。

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