この記事の目次
- 労働政策審議会より、「時間外労働の上限規制等について」が建議されました
- 「時間外・休日労働の上限」は、『働き方改革実行計画(案)』の内容から概ね変更なし
- 「労働時間の客観的な把握」について、“管理監督者を含むすべての労働者”が対象に
- まとめ
労働政策審議会より、「時間外労働の上限規制等について」が建議されました
働き方改革において、特に注目を集めるのが「時間外労働の上限規制」に関する話題です。昨年度末に公表された「働き方改革実行計画(案)」についてはすでに『労働時間の上限規制に結論 ! 「働き方改革実行計画(案)」が公表されました』でご紹介した通りですが、そこに盛り込まれた内容はその後、労働条件分科会においてさらに審議されてまいりました。
そしてこのたび、6月5日付「時間外労働の上限規制等について」にて、4月以降の審議の結果が報告され、併せて塩崎恭久厚生労働大臣に対する建議が行われました。提出された報告書には「管理監督者に対する労働時間の客観的把握義務」が明記され、話題となっています。
「時間外・休日労働の上限」は、『働き方改革実行計画(案)』の内容から概ね変更なし
まずは、今回の建議の際に提出された報告書について、「時間外・休日労働の上限」に関する内容がどのようにまとめられているかを確認しましょう。
■ 時間外労働の上限は、原則として「月45時間、かつ、年360時間」とし、違反には特例の場合を除いて罰則を課す
■ 一年単位の変形労働時間制(3ヵ月を超える期間を対象期間として定める場合に限る。以下同じ。)にあっては、あらかじめ業務の繁閑を見込んで労働時間を配分することにより、突発的なものを除き恒常的な時間外労働はないことを前提とした制度の趣旨に鑑み、上限は原則として「月42時間、かつ、年320時間」とする
■ 臨時的な特別の事情がある場合として、労使が合意して労使協定を結ぶ場合においても上回ることができない時間外労働時間を「年 720 時間」と規定する
■ 年720時間以内において、一時的に事務量が増加する場合について、最低限、上回ることのできない上限として、
① 休日労働を含み、「2ヵ月ないし6ヵ月平均で 80 時間以内」
② 休日労働を含み、「単月で 100 時間未満」
③ 原則である月 45 時間(一年単位の変形労働時間制の場合は 42 時間)の時間外労働を上回る回数は「年6回まで」
原則である月45時間の上限には休日労働を含まないことから、上記①及び②については、特例を活用しない月においても適用するものとする
■ 36協定に記載する「延長することができる時間」は、今後「1日」「1ヵ月」「1年」について定めることとする
(現行では、「1日」「1日を超え3ヵ月以内の期間」「1年」について記載)
以上、労働政策審議会「時間外労働の上限規制等について(報告)」より抜粋
上記の内容については、『働き方改革実行計画(案)』時点から大きな変更はありません。
皆さんにとっての最大の関心事といえば、特例措置の際の時間外・休日労働の上限に関する記述かと思いますので、今一度確認しておきましょう。
「労働時間の客観的な把握」について、“管理監督者を含むすべての労働者”が対象に
今回の報告書内で特筆すべき点といえば、「労働時間の客観的な把握」の対象に「管理監督者」が含まれている点です。同報告書5ページ「3 長時間労働に対する健康確保措置」の(2)の記述を以下に抜粋します。
管理監督者を含む、すべての労働者を対象として、労働時間の把握について、客観的な方法その他適切な方法によらなければならない旨を省令に規定することが適当である
上記は、まず3(1)において、長時間労働に対する健康確保措置である医師による面接実施について、今後は「1ヵ月当たり80時間超(現行は「100時間超」)の者」から申し出があった場合に義務とする旨の方向性が示された上で、(2)で「管理監督者についてもこの措置の対象とするために勤怠管理をしていこう」という記述になっています。
参照:労働政策審議会「時間外労働の上限規制等について(報告)」
まとめ
現状、管理監督者については適正に労働時間の把握ができていないケースは、少なくないのではないでしょうか?
「管理監督者については、就業規則上、労働時間や休憩、休日の規定の適用除外として良い(つまり、管理しなくてよい)」と考えている方もいらっしゃるでしょうが、今後はまずこうした考えを改め、社内ルールの見直し、検討を進めていかなければなりません。
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参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ
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