今、企業に訪れる「家族手当」の見直しの波
労務


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働き方改革の中で、変わりゆく「家族手当」


昨今の働き方改革において、企業にとっての最大の関心事といえば「時間外労働の上限規制」ですが、その背景でかねてより着々と進んでいるのが「女性の活躍推進」に向けた取り組みです。とりわけ、女性就業の妨げとしてしばしば話題に上がる「配偶者」関連の諸制度については、既に税制・社会保障の分野で改正が行われています。

こうした動きを受け、今、企業内における「家族手当」の在り方が変わり始めています。すでにトヨタやホンダといった大企業では、被扶養配偶者への手当を廃止し、子どもへの手当の増額に踏み切っています。その背景には、配偶者の就労促進を図る目的があることは言うまでもありません。

今後ますます進展する少子高齢化に伴い、懸念される「労働力不足」。脱却のカギは「女性の活躍」にあると言われています。女性の就労を促進するために、今、国はどのような取り組みに乗り出しているのでしょうか ? 今後、企業は何をすべきなのでしょうか ? 御社の働き方改革の一環として、考えてみましょう。


税制・社会保障制度における改正項目


まずは法律上、税制・社会保障関連の諸制度がどのように変わるのかを確認しましょう。

■ 平成28年10月より、社会保険の適用が拡大されました
・以下の要件に満たす場合、「短時間労働者」として新たに社会保険の加入対象となります。
(1) 週の所定労働時間が20時間以上の人
(2) 雇用期間が1年以上見込まれる人
(3) 賃金の月額が88,000円以上である人
(4) 学生でないこと
(5) 以下のいずれかに該当すること
(1) 従業員数が501人以上の会社(特定適用事業所※)で働いている
(2) 従業員数が500人以下の会社で働いていて、社会保険に加入することについて労使で合意がなされている(平成29年4月から)

※特定適用事業所とは、同一事業主(法人番号が同一)の適用事業所の被保険者数(短時間労働者を除き、共済組合員を含む)の合計が、1年で6カ月以上500人を超えることが見込まれる事業所のことをいいます。

参照 : SHARES LAB「あなたの会社は見落としていませんか ? 社会保険と厚生年金の適用拡大を再チェック !」


■ 平成30年1月より、配偶者控除が変わります
・配偶者(主に妻)の年収要件を現行の103万円以下から、150万円以下に引き上げる
・150万円超から控除額が徐々に縮小し、201万円までは控除の一部を受けられる
・夫(世帯主)の年収が1220万円を超える高所得世帯を控除の対象とする
(夫の年収1120万円超の世帯から控除額が縮小し、1220万円超で控除対象外となる)

参照 : 財務省「平成29年度税制改正」 1 個人所得課税・資産課税

このように、今、国が主体となって諸制度を整備し、少しでも女性が就労をセーブすることなく働けるための環境作りが進められています。


法改正を受け、見直し必須の「配偶者手当」


法律が改訂されれば、それに合わせて就労の現場となる企業に対しても具体的な変化が求められます。よって、企業が独自に定める「家族手当」、特に配偶者を対象としたものに関しては早急な見直しが必要です。

平成28年度の調査によれば、民間企業のうち76.8%が何らかの「家族手当」を支給、そのうち配偶者を対象とする手当を導入する企業は87%と、各種手当の中では比較的広く導入が進んでいる手当であると言えます。

参照 : 人事院「平成28年職種別民間給与実態調査」表12 家族手当の支給状況

御社の家族手当の内容は、どのようになっているでしょうか ? 配偶者の収入額に応じて支給の状況が変動する手当については、今一度収入要件の見直しが必要です。


まとめ


実際、手当一つを変えるにも様々な難しさがあるために、企業においてはなかなか重い腰が上がらないといったケースもあるかもしれません。

とりわけ、労働条件の不利益変更となる可能性のある手当の変更については、適切な手順で行わなければ労使トラブルの引き金ともなり得ます。 とはいえ、変化に対応していく柔軟性は、今後さらなる成長を目指す企業にとって不可欠な要素であると言えます。

時代が変われば、それに合わせた変化は必須です。こうした変化を煩わしいものと感じるのではなく、新たな第一歩を踏み出すきっかけとして前向きに捉えることが、今、求められているのではないでしょうか。

ご不明な点がございましたら、お気軽にご相談ください。
参照 : SHARES 社会保険労務士 丸山博美のページ

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