先日相続税の税務調査の対応をしてきました。
非常に若い調査官2名できたので、やりやすいようなやりづらいような(笑)
相続税の調査という観点ならどちらかといえば扱いやすいですかね・・・。
対象となった被相続人のご一家は預貯金が比較的あるおうちでしたので、重点的に調査している箇所も非常にわかりやすかったです。
今日は改めて相続税の調査でどんなことをみているのか、そしてやってはいけないことのお話を簡単に。
(このおうちではそのようなことはしていません。念のため)
税務調査
税務調査というとみなさんどんなイメージでしょうか ?
なんかすごく上から目線で隠しているものがないか取り調べられるといったイメージをお持ちの方も多いと思いますが、 むしろ丁寧に、相手に気遣いをしながら、雑談などを交えて始まります(これが相続の場合は特に曲者なのですが) 昔は横柄な態度の調査官もいましたが、ここ15年くらいでかなりそういった調査官は減ってきたので、納税者の皆さんは第一印象として余り悪くない印象を持ちます。
調査初めに故人の生前や親族の生活状況や趣味などを雑談も交えてヒアリングされることが多いのですが、 調査官自身の話なども交えて、談笑しながら話すこともよくあります。 が、これはもちろん相続税の対象になる財産等がもれていないかどうか等を判断するために行っています。
たとえば・・・
例えば故人の趣味の話では、どれだけそれに熱中していたか、どんな様子だったかを聞かれます。故人の懐かしい話ですし、だんだん調査官とも打ち解けますから、ついついいろいろなことを話してしまいます。そういった話の中で、趣味などに対してどのように生前お金をかけていたか、お亡くなりになった時点でそれに関連して財産的な価値のあるものが残っていなかったかをそれとなく聞かれます。たとえば絵画や骨とう品、古銭類や宝石類など。
そのような話の後、さらに故人の財産の管理は誰が行っていたか、などのヒアリングも行われ、同時に生活費等も含めお金の流れの確認を行い、 その後に行われる預貯金口座や株式など金融資産等の原資となったお金の流れと説明をヒアリングされ、お金の流れに矛盾がないかどうか(誰かに渡していないか、だれかからもらっていないか)を確認する材料とされたりします。
そして預貯金口座のチェックの際には、具体的に被相続人(故人)と相続人のお金の流れ(通常は預貯金)を追います。この100万円の引き出しはなににつかったのか ? また故人のお金を生前に相続人などの親族に渡したり名義を変えていないか ? など。
同様に金融資産の状況も追います。 税務署は金融機関に対して過去の預貯金の流れや取引状況を確認ができますので、お金の流れで不自然な(名義が変わっていたり、あるはずのないお金があるなど)点を追います。
ここでみなさんに覚えておいてほしいのは、名義を変えたら相続税が逃れられると思ったら大間違い、ということ。
相続税では名義に着目するのではなく、その財産が生まれた源泉はどこかに着目します。
従っていくら名義が子供や孫のものでも、それを稼いでいたのが故人であれば故人の財産として認定されます。
よくあるケース
そんなわけでよくあるケースを少し上げます。ご注意を。
→共働きか、あるいは相続でもらったなどがないかぎり、それは故人の収入を源泉としているとされ、その余りのお金を管理していただけ(つまり故人の財産扱い)と認定される可能性が高いです。
→名義を変えても、故人が一方的にためていた(送金していた)だけでは贈与した(故人の財産ではなくなった)ということにはなりません。
贈与とするにはお互いの意思表示が必要ですし、なによりその後もらった本人の管理下にあることが必要です。
→名義を変えても、実質的に拠出者と管理が故人であれば、故人の財産扱いになります。
→元の所有者の預貯金として認定されます。
→故人の財産として認定される可能性があります。
などなど。 調査から関与するケースでよく見るパターンです。
まとめ
話がだいぶあちこちに飛んでしまいましたが、最後に。
相続対策として生前に故人の財産を親族などに贈与しておくのは相続対策の基本ではあります。
が、よく聞くその方法、本当に対策になっているでしょうか ?
相続対策する場合はやはり税理士に相談して行っていただくことをお勧めします。
最近はインターネットでも情報がとれますが、その場合は信頼できる情報を、ご自身で考え方を理解したうえで進めてくださいね。
聞きかじりで対策するのはかなり危うく、後で痛い目を見ることが多いですので。 亡くなってから事後的に、という状況ではどうにもなりません。
どうすればよいのか、気軽に聞いて頂ければと思います ! それではまた !
参照 : SHARES税理士 中川 保弘のページ