トライデント会計事務所の中川です。年末が近づいてきましたね。
12月に入ると確定申告に絡んだ質問(特に副業にからめて申告どうしようか?という質問)を多数受けますので、ちょっとまとめてみました。ご参考になれば幸いです。
給与所得者は年末調整でその年の所得税の精算を行いますが、所得控除が増えた場合や2箇所以上から収入がある場合などは会社員でも確定申告が必要になります。
そして個人事業主の方の場合は基本的に自分で確定申告をする必要があります。
では両方に該当する場合はどうなるのでしょうか ?
サラリーマンで申告が必要な方
・医療費控除を受けたい方
・住宅取得控除(住宅ローン減税)を受けたい方(初年度のみ)
ということで申告義務がある方とない方がでてきますね。
では個人事業を申告する場合についてもう少しクローズアップしてみましょう。
白色申告と青色申告
個人事業の確定申告は白色申告と青色申告の2種類に分かれています。
個人事業を開業して、特に何も申請をしていない場合、白色申告の扱いになります。青色申告をするには、事前に税務署へ申請書を出す必要があります。
白色と青色の違いは何でしょうか ? 簡単に記しますと・・
白色申告は・帳簿付けが簡単 ・確定申告の提出書類が少ないなどのメリットがある反面、控除や経費にできる範囲などで特典が適用されません。
青色申告は、いくつかのメリットがあります。
たとえば青色申告特別控除(65万円分経費つかっていないのにつかったことにしてくれる)が使えたり、仮に事業が赤字の場合でも3年繰り越せたり、家族への給与が経費にできるといったメリットがあります。
しかしながら、事前申請が必須であり、帳簿付けに簿記の知識あるいは会計ソフトが必要になったり、申告書提出時の提出書類が多くなったりといったデメリットがあります。
あらかじめ計画的に事業を始められる方は事業の状況や所得の額によって白色申告を選択するか青色申告を選択するか判断するといいでしょうし、とりあえず始めてしまったという方は、今回は白色申告で来年から青色申告という選択肢もありでしょう。
青色申告のメリット
青色申告特別控除
青色申告には簡易簿記、現金式簡易簿記、複式簿記等、いくつかの種類があります。前者2つは10万円控除、後者は65万円控除(経費にできる)となっていて、個人事業の方は会計ソフトにて帳簿を付ける前提で65万円控除を受ける方が多いです。
青色申告特別控除額を受けることができるのは以下の方です。(ちょっと専門的に書きます)
① 不動産所得または事業所得を生ずべき事業を営む青色申告者が、その事業につき帳簿書類を備え付けて、取引の内容を正規の簿記の原則に従って記録し、かつ、その記録に基づき作成した損益計算書類および賃貸対照表等の所得の計算に関する明細書を添付した確定申告書を提出期限までに提出した場合には、不動産所得の金額または事業所得の金額の計算上、これらの所得から青色申告特別控除として65万円を控除することができる。
② ただし、青色申告特別控除をする前の不動産所得または事業所得の金額の合計額が65万円よりも低い場合は、その合計額を限度とする。
① (1)の控除を受ける青色申告者以外の青色申告者は、不動産所得の金額、事業所得の金額または山林所得の金額の計算上、これらの所得から青色申告特別控除として10万円を控除することができる。
② ただし、青色申告特別控除をする前の不動産所得、事業所得または山林所得の金額の合計額が10万円よりも低い場合は、その合計額を限度とする。
赤字の繰越
また、青色申告は純損失(事業の赤字)を全額3年にわたって繰り越すことができます。つまりこれは翌年以降の節税に繋がるということです。
ちなみに、白色申告の場合は、漁師や作曲家など利益の変動が激しい業種の所得(=変動所得)の損失と、被災事業用資産の損失についてのみ、3年繰越が可能です。
青色事業専従者給与
青色申告では家族への給料を全額経費にすることができます。事業を手伝ってくれる家族のことを専従者と呼び、この専従者に払う給料を専従者給与と言います。
ちなみに、白色申告の場合は専従者への給料は経費にはできませんが、確定申告の際に控除することができます。
少額減価償却資産の特例
10万円以上のものや耐用年数1年以上のものは固定資産として減価償却が必要になりますが青色申告であれば30万円未満のものであればその事業年度の経費として一括で処理することができます。
利益が沢山出てしまいそうな年には、この制度を利用すると節税することができます。
青色申告の仕組みは以上です。ついでに参考ですが、住民税(所得税とは別に翌年6月以降に市区町村から課税される税金)についても簡単にふれますね。
住民税
住民税には、均等割と所得割の2種類があり、均等割は一律(概ね5千円)で地域により金額が決まっているので青色申告は関係しませんが、所得割については納税者の所得に応じて金額が変わるため青色申告が関係します。住民税の所得割の税率は概ね10%になりますが、詳細な計算式は以下の通りです。
(所得金額 - 所得控除額)× 10% - 税額控除額 = 所得割の税額
(税額控除額については >>東京都主税局 - 個人住民税の税額控除)
青色申告特別控除は「所得控除額」に入りますので、青色申告をしたほうが節税になるといえます。
ちなみに、住民税のほかに、国民健康保険に加入している方はその保険料にも青色申告特別控除が反映されます。
まとめ
以上ざっとまとめてみました。
ご不明点ありましたらトライデント会計事務所中川保弘までお気軽にお問合せください。サポートします。
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