相続税の対策として、金融資産を減らして、不動産を買うという方法はよく行われます。 また、遊休土地に賃貸不動産を建て、融資を受けて負債を作ることで行う相続税対策もあります。
気をつけていただきたいのは、不動産というのは大変高額な資産です。
その状況次第では、市場価額が大きく増減することもあり、例えば1億円の価値の土地でいえば、1割高く売れれば1000万円の儲け、逆に1割安くしか売れなければ、1000万円の損失となり、極めて巧拙による結果への影響が甚大です。
今後想定される中期的な見通しから、色々なリスクも顕在化してきますので、投資判断には十分な注意も必要です。
相続税対策で不動産を取得する際の注意事項をいくつか上げたいと思います。
①仲介業者は最寄りの街の不動産屋さんではなく、専門業者を選びましょう。よい税理士は売買に伴う利益を最大化してくれる業者をちゃんと紹介してくれます。
②相続税対策で不動産を購入するとしたら、それをいつまで保有するのか、いつ売却するのか、売却するときの出口では損益や税金はどうなるのか、しっかり計画を立てましょう。
③不動産賃貸投資のために、貸しビルを建てるときには、よく検討する必要があります。今後、都心には大規模オフィスビルが数多く予定されており、過剰供給によるオフィス家賃の値下がりリスク、空室リスクが心配されます。
④賃貸マンションを建てるときも注意が必要です。人口が減っていますので、賃貸マンションも過剰供給が想定され、賃料低下、空室リスクが顕在化すると思います。リスクが上がるわけですので、建築費を抑制していくことが必須になると思います。
⑤土地についても、生産緑地や大学の閉校による大規模な土地の供給が懸念され、今までとは異なり、土地の価額が値下がりしていくことも考えなければならない時代になってきました。立地が一番大事と思います。立地がよくない土地については、予めどうするかのシナリオを考えておくことも大事になってきています。
以上、不動産の有効活用で、賃貸不動産を建てることは、王道的な手法として行われてきたことなのですが、今後は立地を見極めることが必要となり、また、リスクを下げるために一層の建築費抑制を考える必要があります。
東京23区の中の都心エリア以外では、建替えだから、などと闇雲に建てず、十分に検討する必要があります。
ご不明な点がございましたらお気軽にご相談ください。
参照 :SHARES 税理士法人 原・久川会計事務所(平塚橋事務所)久川 秀則のページ