今さら聞けない!前受金と仮受金の違いと使い方(勘定科目シリーズ)
税務・財務


この記事の目次

1.前受金と仮受金

前受金と仮受金はどちらも金銭を相手から受け取った際に使用する勘定科目です。金銭を受け取った場合の仕訳は金銭に該当する勘定科目が借方、その内容を表す勘定科目が貸方になります。
よって前受金ないし仮受金として現金を受け取った場合は、以下のような仕訳を行います。

●前受金として現金を受け取った場合…現金/前受金
●仮受金として現金を受け取った場合…現金/仮受金


同じように金銭の増加を表し、漢字も一文字違うだけのように見えるこの前受金と仮受金ですが、どのように使い分けを行えばよいのでしょうか。以下ではこの二つの勘定科目の違いをご説明します。

2.前受金とは

前受金とは商品やサービスの売上に先立ち、相手より入金された代金の一部又は全部を意味する負債の勘定科目です。いわゆる手付金が該当します。 企業会計原則によると、売上の計上は売上の発生事実が行われた際に行うものとされています。よって売上に先立って入金された金銭については売上の計上時期とは異なるため、前受金という勘定科目が使われます。

この前受金は金銭を受け取ったことに対して商品やサービスの履行義務があるため負債科目に該当します。履行義務が完了する売上の事実が発生した場合には、前受金は売上に振替られます。

前受金を使用する仕訳例として、例えば7月1日に10,000円で販売する商品について手付金として同年の3カ月前である4月1日に5,000円を現金で受け取り、残りの5,000円を10月1日の販売時に現金で受け取った場合は以下のように仕訳を行います。

■4/1 現金5,000円/前受金5,000円
■7/1 前受金5,000円/売上10,000円
現金 5,000円/

4/1では前受金は貸方に、7/1では借方に仕訳を行います。よって履行義務が完了する7/1の時点では前受金の元帳の残高は0円になります。 このように先立って入金された時期と売上の計上時期が同じ事業年度である場合には、期末には前受金の元帳の残高は0円になります。 期末に前受金の元帳の残高がある場合は、それに対応する売上の計上時期が到来していないか精査する必要があります。

上記の例が10月1日の販売時に全額を現金で受け取る場合は以下のように仕訳を行います。売上の計上時期と入金の時期が同じ場合には、前受金という勘定科目は使いません。

■4/1 仕訳なし
■7/1 現金10,000円/売上10,000円

3.仮受金とは

仮受金とは内容が不明の入金を意味する負債の勘定科目です。この不明である内容は期末を迎えるまでに判明をさせるべきもので、一般的には決算後に作成される貸借対照表には記載されない勘定科目です。

仮受金を使用する仕訳例として、例えば4月1日に内容が不明の10,000円が預金に入金があり、同年の3カ月後である7月1日にその金額の全額が取引先からの売掛金の入金であったことが判明した場合は以下のように仕訳を行います。

■4/1 普通預金10,000円/仮受金10,000円
■7/1 仮受金10,000円/売掛金10,000円

4/1では仮受金は貸方に、7/1では借方に仕訳を行います。よって内容が判明した7/1の時点では仮受金の元帳の残高は0円になります。このように全ての内容が判明をすると期末には仮受金の元帳の残高は0円になります。 期末に仮受金の元帳の残高がある場合は、内容について調査を行い、その内容を判明させる必要があります。

上記の例では内容の判明した7月1日に仮受金を相殺する仕訳を行っており、仕訳の正確性が問われる試験の解答をする際にはこのように記載する必要がありますが、経理担当者が社内の取引について仕訳を行う際には4月1日の仕訳をそのままを訂正しても構いません。

■4/1 普通預金10,000円/仮受金10,000円

■4/1 普通預金10,000円/売掛金10,000円

一方でこの例が売掛金の入金ではなく入金そのもの誤りであり、返金を要する場合は仕訳をそのまま訂正せずに返金を行った日に仕訳を行う必要があります。
例えば4月1日に内容が不明の10,000円が預金に入金があり、その翌日4月2日にその金額の全額が取引先からの誤入金であるという連絡があり、翌々日4月3日に全額を預金より返金を行った場合は以下のように仕訳を行います。

■4/1 普通預金10,000円/仮受金10,000円
■4/2 仕訳なし
■4/3 仮受金10,000円/普通預金10,000円

またどう調査を行っても内容が不明のまま期末を迎えてしまった場合は、雑収入に振替を行うこともあります。例えば4月1日に内容が不明の10,000円が預金に入金があり、同年の3カ月後である7月1日にその金額が取引先からの売掛金の入金が7,000円と判明し、 残りの3,000円については期末まで内容が不明であったため、雑収入に振替を行った場合は以下のように仕訳を行います。

■4/1 普通預金10,000円/仮受金10,000円
■7/1 仮受金7,000円/売掛金7,000円
■期末 仮受金3,000円/雑収入3,000円

内容が不明の入金は、相手が振込時に振込名義人の入力を失念し、預金通帳の記帳の際に相手先が印字されなかった、取引先は分かるが請求していた金額よりも多い金額が振り込まれている、などといった場合に生じます。何らかの事由があり発生します。
この事由を調査の仕方は、内容が不明の入金が行われた日付やその金額によっておおよその予測がたつことが多く、前後の取引を参考にしながら行います。

例えば、会社の売掛金の入金サイクルが末日締め、翌月末日入金である場合、4月末日の内容が不明の入金であれば、3月末日締めで請求書を発行した取引先からの入金と予測ができます。手元にある請求書の控えと照合すると取引先が判明します。

また売掛金の入金であれば、売上を行った際に既に売掛金の発生の仕訳は3月末日に行われています。同額の仕訳が行われていないかを探すことで取引先が判明します。このように社内での調査で内容が判明する場合が多いです。なお不明であれば予測される取引先に確認をとっても良いでしょう。

4.勘定科目は会社により異なる

上記でご説明した前受金、仮受金の使用例は一般的なものですが、会社により勘定科目の使用ルールが異なる場合があります。 仕訳の正確性が問われる試験の解答をする際には一般的なルールに沿った仕訳を行う必要がありますが、経理担当者として社内の仕訳を行う際には会社のルールに従っても問題はありません。

極端な例ではありますが、前受金や仮受金とすべき勘定科目を全て雑収入とする会社のルールがあったとしても、期末に計上されているべき雑収入の金額が整合性のとれているものであれば、違法行為には該当しません。
仕訳やそれに使用する勘定科目について一般的なルールはありますが、社内で使用する目的であれば仕訳の仕方、勘定科目の名称は異なっていても問題のないものです。会社独自の仕訳のルールが存在するようでしたら、会社の方に確認をして頂くと良いでしょう。

5.まとめ

以上のように勘定科目の一般的な使用例として前受金、仮受金についてご説明を致しました。実際の経理作業ではご説明をした例より更に複雑な内容の仕訳を行わなくてはならない事例が発生することがあります。 このような一般的な勘定科目の内容、仕訳の仕方を理解することで、様々な事例に対応することができるでしょう。 また会社独自の仕訳ルールを作る、またはそれを教わる場合も、これらの一般的な事例を理解したうえで取り組むと良いでしょう。

仕訳や勘定科目の理解を深める手段は、様々な事例と対面して処理を行う場面を多く持つことです。一般的な参考書では処理の方法が挙げられていない場面も多いでしょう。
どのような仕訳を行うべきか、勘定科目は何を使用したら良いかといった判断に迷うことがありましたら、身近な専門家にご相談されることをお勧めいたします。適切な処理の方法をアドバイスしてくれることと思います。

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