今さら聞けない!買掛金と未払金と未払費用の違い(勘定科目シリーズ)
税務・財務


買掛金、未払金、未払費用はいずれも将来的に金銭を支払う義務を表す負債の部に計上される勘定科目です。この判断に迷いやすい3つの科目についての違いをご説明します。

この記事の目次

1.負債の部

買掛金、未払金、未払費用は貸借対照表の右側に記載される負債の部に計上される勘定科目です。
この3つの科目以外にも、支払手形、借入金などが計上されます。 資産の部は流動負債と固定負債に大きく分かれています。流動資産とは1年以内に支払期限の到来する負債で、買掛金や短期借入金などが該当します。一方で固定負債とは1年を超えて支払期限の到来する負債で、長期借入金、退職給付引当金などが該当します。

2.買掛金とは

買掛金とは、本来の営業活動に関わる取引のうち、商品の仕入れの時点で、対価の支払を行わず、後日支払を実行するまでの期間における債務を表示する科目です。

例えば飲食店を営む会社が野菜を販売している農業の会社より仕入を毎日行い、その都度飲食店は野菜を販売している会社に支払いを行うのではなく、月に1回の仕入代金の支払日を定めた場合は、仕入日から支払日までの間は、その仕入代金に対する勘定科目には買掛金が使われます。

具体的には4/1から毎日1,000円の野菜を、飲食店を営む会社が農業の会社より仕入、5/1に1,000円×30日分の仕入代金について飲食店を営む会社が現金で支払いをした場合は、以下のような仕訳を行います。

【毎日の仕入時】
4/1 仕入1,000円/買掛金1,000円
4/2 仕入1,000円/買掛金1,000円
:
4/30 仕入1,000円/買掛金1,000円

【仕入代金の支払時】
5/1 買掛金30,000円/現金30,000円

買掛金は商品の仕入の際に発生し、小売業や卸売業などではとてもよく使用する勘定科目です。また会社の仕入代金の支払状況を表すため、試算表上での詳細な管理をお勧めいたします。商品管理ソフト等を用いて別の管理方法をとっている会社には必要ありませんが、仕訳の入力によって支払状況を管理するためには、取引先ごとに補助科目を設けて管理すると良いでしょう。

仕入代金の支払時には、買掛金の勘定科目は残高が0あるいは新たに生じた仕入分のみが計上されているはずです。もし不明瞭な残高があるようであれば、取引先に支払の確認を行わなくてはなりません。その取引先がどこであるか、金額は何円なのかを把握していないと確認は行えません。

確認を怠れば仕入代金を支払いせず取引先に負担をかけてしまう場合や、また確認後間違った情報を伝えれば取引先の信用を失う場合があります。会社の日々の業務の中でこの買掛金の管理は非常に大切なものとなります。

3.未払金とは

未払金とは、買掛金と同じように本来の営業活動に関わる取引のものと、関わらない取引のものに分けることが出来ます。

本来の営業活動に関わる未払金

未払金のうち、本来の営業活動に関わる取引の中で発生した債務のうち未だ対価の支払いを行ってない債務で支払金額が確定しているもので、買掛金と同様の意味を持ちますが、慣習的に勘定科目を未払金としているものを指します。
買掛金は仕入に対して使用される勘定科目ですが、未払金は水道光熱費や支払手数料などの販売管理費に対して使用されます。

例えば上記の飲食店を営む会社が、食器を購入し、購入時に支払いを行うのではなく、1カ月後に支払いをする場合は、購入時から支払い時までの間は、その購入代金に対する勘定科目には未払金が使われます。料理を提供することを主な業務としている飲食店の会社にとっては、食器の購入という取引は、食器がないと料理が提供できないため、本来の営業活動に関わる取引だといえます。

具体的には4/1に1,000円に食器を、飲食店を営む会社が購入し、5/1にその購入代金について飲食店を営む会社が現金で支払いをした場合は、以下のような仕訳を行います。

【食器の購入時】
4/1 消耗品費1,000円/未払金1,000円

【購入代金の支払時】
5/1 未払金1,000円/現金1,000円

本来の営業活動に関わらない未払金

未払金のうち、本来の営業活動に関わらない取引の中で発生した債務のうち未だ対価の支払いを行ってない債務で支払金額が確定しているものをさします。

例えば上記の飲食店を営む会社が、有価証券を購入し、購入時に支払いを行うのではなく、1カ月後に支払いをする場合は、購入時から支払い時までの間は、その購入代金に対する勘定科目には未払金が使われます。料理を提供することを主な業務としている飲食店の会社にとっては、資産運用を目的とした有価証券の購入による未払は買掛金には該当しません。

具体的には4/1に有価証券を1,000,000円で飲食店の会社が購入し、5/1にその購入代金について預金より支払いをした場合は、以下のような仕訳を行います。

【有価証券の購入時】
4/1 有価証券1,000,000円/未払金1,000,000円

【購入代金の支払時】
5/1 未払金1,000,000円/普通預金1,000,000円

4.未払費用とは

未払費用とは、本来の営業活動に関わる一定の契約に基づいて継続して役務の提供を受ける取引において既に提供を受けた役務に対して未だ対価の支払いを行っていない債務のうち、後払い契約などの理由によって支払期日が到来していないものをさします。主に決算時に計上を行いますが、金額の重要性が低い場合や継続的に計上処理を行っていない場合は、計上を省略することが認められています。

例えば上記の飲食店を営む会社が従業員を雇い、その給与の支払いの取り決めを月末締め、翌月10日払いとしている場合、労務に対する賃金が後払いであるため、その労務代金に対する勘定科目は未払費用を使います。

具体的には4/30が期末である飲食店を営む会社が4/30締めの4月分給与100,000円が期末時点で未払であり、その支払い翌期である5/10にその労務代金について預金より支払いをした場合は、以下のような仕訳を行います。

【決算時】
4/30 給与手当100,000円/未払費用100,000円

【給与の支払時】
5/10 未払費用100,000円/普通預金100,000円

決算時に未払費用を計上することで、4/30が期末である飲食店を営む会社は、3~4月分の1年間の給与を当期中に認識することが出来ます。しかし毎期継続的に計上を行わないと、期によって給与を11ヶ月分の計上しかされていない又は13ヶ月分の計上をしてしまっている、とズレが生じるため継続的に行わないのであれば、未払費用の計上を省略することをお勧めいたします。

5.買掛金、未払金、未払費用を明確に区別する必要性

買掛金、未払金、未払費用はいずれも将来的に金銭を受け取る権利を表す資産の部に計上され、かつ貸借対照表に記載のされる勘定科目です。貸借対照表は税務署をはじめとする会社外部へ情報提供を行う決算書のうちの一つの帳票です。
情報提供の役割を担う決算書は銀行に対してであれば融資の判断、上場会社であれば株主に対して投資の判断の材料となり、これらの判断を誤らせないように正しく作成を行わなくてはなりません。

決算書のうちの一つの帳票である貸借対照表は、同じく決算書のうちの一つの帳票である当期のみの営業成績を表示する損益計算書とは異なり、1期毎に作成されるものではなく、当期末時点での財産状態を表し、翌期以降に数字が繰り越されて会社が存続している限り引き継がれていくものです。

また決算では税務署に決算書の他に勘定科目内訳書という帳票も併せて提出を行います。この勘定科目内訳書は決算書の数字についての内訳の記載を要請している書類であり、その要請されている内容のほとんどが貸借対照表に計上されている勘定科目についてです。
つまり会社にとって引き継がれていく内容という重要性だけではなく、税務署からも詳細な内容の把握を求められている帳票が貸借対照表です。

このように貸借対照表が重要な帳票であるということは、そこの載せるべき買掛金、未払金、未払費用は正しく判断を行い、明確に区分をして計上を行う必要があります。

6.まとめ

このように仕訳を行う際の勘定科目は、似たような性質をもちながらも明確に判断を行い、また区分をして計上を行う必要があるものが複数あります。判断に迷われた際は、身近な専門家にご相談をされることをお勧めいたします。

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