区分に要注意!給与と外注費の違いについて
税務・財務


この記事の目次

1.給与と外注費

給与と外注費はどちらも労務に対して支払った金銭を処理する費用に該当する勘定科目です。この費用は販売費及び一般管理費に所属します。
労務に対して支払った金銭を処理するという点で非常によく似た勘定科目ですが、この二つは厳重に区分して処理するべき勘定科目です。 それは会社からすると消費税、源泉所得税、社会保険の処理が異なり、また受け取る個人からすると所得税の処理が異なるためです。

よって税務調査においても税務調査官が調査を行う重要なポイントの一つです。以下ででは給与と外注費の違いについてご説明をします。

2.消費税と所得税の処理の違い

①消費税

労務に対して支払った金銭を給与として処理を行った場合、消費税は不課税の取引となります。
一方で外注費として処理を行った場合、消費税は課税の取引となります。不課税の取引とはその支払いに際し消費税を支払わなくて良い取引、課税の取引とはその支払いに際し消費税を支払うべき取引をさします。
会社が決算時に支払う消費税は、一般的に預かった消費税から支払った消費税を差し引いて計算をします。よって同じ労務に対して支払った金銭は、消費税を支払うべき外注費として処理を行ったほうが、給与として処理を行った場合と比較すると、決算時に支払う消費税は少なくなります。

例えば会社が労務に対して税込10,800円を現金で支払った場合、税抜経理では以下のような仕訳の違いがあります。
●給与で処理する場合・・・給与10,800円/現金10,800円
●外注費で処理する場合 ・・・外注費 10,000円/現金10,800円
仮払消費税 800円/

②源泉所得税

労務に対して支払った金銭を給与として処理を行った場合、その給与に対する源泉所得税を会社が計算を行い、天引きをして給与の支払いを行う必要があります。その天引きを行った源泉所得税を、天引きをされた人の代わりに国に納付をします。
一方で外注費として処理を行った場合、源泉所得税の計算は行う必要がありません。

③社会保険

労務に対して支払った金銭を給与として処理を行った場合、その従業員を社会保険に加入させる必要があります。社会保険の種類により加入条件が異なります。
社会保険に加入させた場合は、源泉所得税と同様に天引きをして、給与の支払いを行う必要があります。その天引きを行った社会保険料と、会社負担分を合わせて各社会保険運営団体に支払いを行います。
一方で外注費として処理を行った場合、その外注を受ける人についての社会保険の手続き、社会保険料の負担はありません。

④所得税

労務に対して受け取った金銭を給与として受け取った場合、その受け取った個人は給与所得として所得税の計算をする必要があります。 一方で外注費として受け取った場合、事業所得や雑所得として所得税の計算をする必要があります。受け取る金額等によりどちらが個人の所得税が少なくなるかは異なります。

3.給与と外注費の違いの判断基準

①従事する人の代替性があるか

給与として労務に対して金銭を支払う場合は、その労務を行う人の代替性がありません。例えば給与を支払う従業員を雇用した場合、雇用をしたのは従業員本人であり、雇用契約を結んでいない従業員の親が従事することは通常認められません。
外注費として労務に対して金銭を支払う場合は、その労務を行う人の代替性があります。例えば外注費を支払う経理代行業社が会社を訪問する際は、その訪問する人が経理代行業社の社長であっても、その社員であっても構いません。

②指揮命令監督下にあるか

給与として労務に対して金銭を支払う場合は、その労務は給与を支払う社内で管理をされます。労務を行う人は就業時間や作業場所が会社で指定をされます。労務を行う従業員は、指揮命令監督下にあるため、その従業員個人の判断のみで労務量や期日を決めることは出来ません。

外注費として労務に対して金銭を支払う場合は、その労務は外注費を支払う会社で管理をすることは出来ません。会社への納期等は約束されますが、労務を行う人自身の判断で就業場所や作業場所を決定します。外注を受ける人は、会社の指揮命令監督下にないため、労務量や期日を決めることも出来ます。

③労務が完遂されなかった場合の金銭負担

給与として労務に対して金銭を支払う場合は、その行うべき労務が完遂されない場合でも支払いを行う必要があります。例えば、労務を指示された人が期日までに行うべき作業量の8割しか終わっていなかった場合でも、その期日まで従事していたことに対する金銭は支払われます。また労務を指示された人の事情ではなく、会社の指示で労務を中断させた場合も同様です。完遂をしなかった事を起因として期日までに支払っていた給与を会社が返上を求めることもありません。

外注費として労務に対して金銭を支払う場合は、その行うべき労務が完遂されない場合は支払いを行う必要がありません。例えば、外注を受けた人が期日までに行うべき作業量の8割しか終わっていなかった場合、業務が完遂されたとはみなされないため、その金銭は支払う必要がありません。

会社の指示で外注を中断させた場合も同様です。完遂をしなかったことを起因として期日までに支払っていた外注費があれば、会社が返上を求めることも出来ます。
しかし、期日を守ることの出来ない外注を受けることや一方的に外注を中断させることは互いにリスクのあることですので、そのような事態があった場合は両者で協議のうえ金銭負担を決定するべきといえます。

④用具や移動手段の提供

給与として労務に対して金銭を支払う場合は、その労務を行うために必要な用具や資材、移動手段は会社が提供を行います。例えば、パソコンが必要である業務を従業員に行わせる場合、パソコンの購入費やパソコンを作動させるための電気代は会社が提供を行います。この電気を使うための電力会社との契約も会社が行います。
外注費として労務に対して金銭を支払う場合は、その労務を行うために必要な用具や資材、移動手段は会社が提供を行いません。外注を受けた人が自身で用意を行います。例えば、パソコンが必要である業務を外注した場合、パソコンの購入費やパソコンを作動させるための電気代は外注を受けた人が負担します。
この電気を使うための電力会社との契約も外注を受けた人が行います。これらの負担の多くは実際の支払いや手続きは外注をした人が行いますが、外注を行った会社に請求を行う金額に含まれていることが多いです。

このように給与と外注費の判断には様々な基準があります。しかし必ずしも上記の事項によって明確に給与と外注費が分けられるとは限りません。
例えば、④の用具や移動手段の提供では、その他の要件は外注としての性質をもちながら、セキュリティの観点からパソコンは会社より提供されている、という場合があります。このパソコンが提供されている事実のみで外注費ではなく給与だと判断されることはありません。

5.まとめ

給与と外注費とは、非常に厳重に区分して処理をすべき勘定科目のひとつです。この処理の判断を間違え税務調査で指摘がされると、多額の税金の追納が求められる場合があります。また結果的に社会保険料も未納となってしまう場合もあります。

判断は難しいものですが、世間の働き方は多様化しています。誰もが給与だと判断が容易に出来るような、会社に雇用され、その会社の所在する場所内で業務に従事する働き方ばかりではありません。様々な労務形態について正確に処理を行う必要があります。
上記のご説明や、処理の判断で不明な点がございましたら、身近な専門家にご相談されることをお勧めいたします。

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