みなさんが、フリーランスをふくめ個人事業主として独立し業務を行う際に、まずはすすめておきたい税務手続きとしては
【個人事業の開業届出書】開業日から1カ月以内に提出
【所得税の青色申告承認申請書】開業日から2カ月以内に提出
(開業日が1月15日以前の場合には3月15日までに)
の2点となります。以下、手続きの説明となります。
1.個人事業の開業届出書
個人事業主として業務を開始した日から1カ月以内に税務署へ提出するもので、「私は独立して自己の責任において事業を行います!」と税務署へ宣言する書類です。 この書類を提出することにより、今後は事業所得として確定申告をしていくこととなります。なお、税務署へ提出する際はマイナンバーカードや運転免許証などの本人確認書類をお持ちください。
※国税庁手続URL
2.所得税の青色申告承認申請書
確定申告していくうえで節税のための様々な特典を得るための申請書なのですが、提出期限が決まっており、その特典を受けるためには、業務を開始した日から2カ月以内(1月15日以前に業務を開始した場合には3月15日まで)に申請書を提出しなければなりませんので、ご注意ください。※国税庁手続URL
主な青色申告の特典
通常の必要経費のほかに65万円(または10万円)を所得から差し引くことができます。
■青色事業専従者給与の必要経費算入・・・
同一生計の親族に支払う給与は原則的には必要経費にすることはできませんが、青色事業者が親族を雇い入れた日から2カ月以内に税務署に届出ることにより、親族へ支払った給与を必要経費にすることができます。
■少額減価償却資産の特例・・・
10万円以上のパソコンなどの備品は原則的には数年に分割して必要経費にすることとなりますが、青色事業者の場合は30万円未満の備品は合計年300万円まで一括で必要経費にすることができます。
■純損失の繰越控除・・・
青色事業者の赤字は繰り越すことができ、繰り越した赤字を翌年以後の3年間の黒字から差し引くことができます。
青色申告の特典のうち特に重要な65万円の特別控除について解説していきます。青色事業者であれば、通常の必要経費とは別に65万円を所得金額から差し引くことができるというお得な制度なのですが、
複式簿記により帳簿記帳を行っていない場合は青色申告が取り消される可能性があります。
12月31日年末時点での事業財産の残高つまり、財政状態を明らかにする報告書
■損益計算書・・・
1月1日から12月31日の1年間の経営成績つまり、利益(もうけ)を明らかにする報告書
いちから複式簿記により帳簿記帳を行うということになりますと、それなりの会計の知識が必要となります。ただ、実務上は市販の会計ソフトにより、専門的な知識を必要としないで、帳簿記帳から貸借対照表、損益計算書の作成をすることができます。
また従来会計ソフトは数万円でパッケージ購入し、パソコンにインストールして利用することが一般的でしたが、近年はWebブラウザによるクラウド会計システムの利用が広まってきています。コストを年間1万円前後で導入することができるプランもあります。
なお、青色申告特別控除額は65万円ではなく、10万円の控除額を選択することもできます。10万円の控除額を選択するのであれば、簡易簿記による簡略的な帳簿記帳が認められ、確定申告書への貸借対照表の添付の必要がありません。
3.電子申告e-Taxによる税務手続き
開業届出書や青色申告承認申請書を含め、税務関連の書類の提出は手書き又は印刷により紙で、ご自身の住所の所轄の税務署へ持参または郵送により行うことが原則となりますが、数年前より電子申告e-Taxシステムを利用した電子データをWeb上で提出することができるようになっています。電子申告により自宅や事務所、モバイルであれば外出先から提出を行うことができます。電子申告を利用することにより、手書きの時間や税務署までの移動時間など短縮し、印刷代、郵送代といったコストを縮小し、ご自身のビジネスに集中していただけます。
電子申告を利用するためには
住民票の市区町村にて手続き
■ICカードリーダライタ・・・
ネット通販や家電量販店などで3000円程度で購入可
を準備し、税務署へ電子申告開始届出書を提出することが必要となります。もちろん開始届出書はWeb上で提出することができます。
電子申告の事前の準備について国税庁ホームページに詳細がありますのでご参考下さい。
4.これからまずは
マイナンバーカードがあれば、社会保険関係手続きもWeb上で行うことができますので、まずはマイナンバーカードの交付手続きから始めてはいかがでしょうか。ただし、青色申告承認申請には期限がありますので、スケジュール管理はくれぐれもご注意ください。
参照 : SHARES 税理士・社会保険労務士 近藤洋志 のページ