法人税計算のポイント!益金、損金の算入時期
税務・財務


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法人税の計算について

法人税は、法人税法上の所得金額に税率を乗じて計算がされます。この所得金額は法人税法上の益金の額から損金の額を差し引いたものです。 法人税法上の益金、損金とは会計上の収益、費用と異なります。例えば会計上で費用とされる交際費は、法人税法上では期末資本金や出資金の額が1億円以下の法人では800万円を超えると、その超えた部分については法人税法上の損金として認められません。

法人税法上の損金として認められないということは、益金の額から差し引けず、結果として法人税を少なくする効果がない支出になるということです。 このように法人税上の益金、損金と会計上の収益、費用とでは認められるものの範囲に違いがありますが、益金は利益に対してプラスになるもの、損金は利益に対してマイナスになるものであり、収益、費用と考え方は同じものです。

今回ご紹介する益金、損金の計上時期の一覧は、それぞれの認識のタイミングをどの時点で行うべきか、つまりどの時点で仕訳を起こすべきかという表です。
法人の決算は会計期間を定めて行います。一つ一つの仕訳について、益金と損金の計上時期の判断を行い、当期の会計期間に属するものであるのか、来期以降の会計期間に属するものであるのかを区別する必要があります。

この判断を誤ると、当期の利益、法人税法上の所得金額に差異が生じ、誤った法人税額を申告、納付をしてしまいます。 誤って法人税額過少に申告、納付を行ってしまうと、過少申告加算税などのペナルティとしての税金が発生する可能性もあります。

税務調査では税務署の職員が、請求書や領収書から入念にチェックを行うポイントにもなります。よって計上時期の判断は重要なものになります。 また益金、損金の計上時期を理解することは、法人税額を正しく申告、納付することに役立つだけではなく、下記の時期を正しく理解することで当期末の希望する利益を出すためには、どのタイミングで収益をあげれば良いのか、費用を支出すれば良いのか、といった経営的戦略を練ることも可能になります。
それでは項目毎に計上時期をご紹介致します。

「益金・損金」計上時期の一覧

益金の計上時期

項目計上時期
棚卸資産の販売引き渡しの日(出荷日、検収日、使用収益開始日等)
請負物の引き渡しを要するもの:完成引き渡し日
物の引き渡しを要しないもの:役務完了日
固定資産の譲渡原則:引き渡しのあった日
例外:土地、建物等については譲渡契約の効力発生日についても認めら れている
有価証券の譲渡 原則:譲渡契約の成立日(証券業者等に委託している場合は取引が成立 した日、相対取引の場合は相対取引の約定日、合併等の場合は合併等の 効力発生日)
例外:引き渡しのあった日(期中のみ適用が認められており、期末日に 見渡しのものには認められない)
利子等原則:計上期間の経過に応じて計上
例外:支払期日の到来日(金融、保険業は適用が認められない)
配当等原則:配当の効力発生日(配当の株主総会決議で決定)
例外:支払いを受けた日

損金の計上時期

項目計上時期
売上原価収益が計上された事業年度(個別的対応)
販売管理費発生した事業年度(期間的対応、償却費を除き債務が確定しているものに限られる、またその他に短期の前払費用の特例や消耗品等の特例が認められている)
損失発生した事業年度

まとめ

以上のように益金、損金の計上時期は法人税法上で定められています。期末や期首に仕訳を行おうとすると、どちらの期に属するものだろうかと判断に迷う場面も少なくありません。その際には是非この一覧を活用いただければ幸いです。
また一覧での用語の詳細や、個々のケースについて判断に迷う場合などは、身近な専門家に相談をされることをお勧めいたします。

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