この記事の目次
1.資産の譲渡とは
譲渡とは、有償か無償かであるかに関わらず、所有資産を移転する一切の行為をさします。移転する一切の行為とは、通常の売買のみならず、借地権の設定行為、交換、競売、公売、収用、物納、法人に対する現物出資などの行為が含まれます。資産の譲渡により、所得の区分が異なります。所得の区分をご紹介致します。
2.資産の譲渡による所得区分
譲渡区分 | 総合課税 分離課税 | 譲渡資産 |
---|---|---|
譲渡所得 | 総合課税 | ①土地建物等以外の有形固定資産…機械、船舶、車両、器具等 |
②無形固定資産…鉱業権、特許権、実用新案権、商標権等 | ||
③その他の資産…ゴルフ会員権、電話加入権、書画骨とう等 | ||
④株式、出資の形態をとるゴルフ会員権 | ||
分離課税 (土地建物等) | 土地建物等…土地、借地権、建物、建物附属設備、構築物 (不動産業者が販売目的で所有するものは棚卸資産に該当するため、事業所得に該当する) |
|
譲渡所得等 | 分離課税 (一般株式等) | 一般株式等 |
分離課税 (上場株式等) | 上場株式等 | |
事業所得 雑所得 山林所得 | ①棚卸資産の譲渡による所得…事業所得 | |
②棚卸資産に準ずる資産の譲渡による所得 (1)不動産所得、山林所得、雑所得を生ずるべき業務に係るもの…雑所得 (2)減価償却資産で使用期間が1年未満であるもの…事業所得又は雑所得 (3)減価償却資産で取得価額が10万円未満であるもの、一括償却資産としたもの(業務の性質上基本的に重要なものを除く)…事業所得又は雑所得 | ||
③営利を目的として継続的に行われる資産の譲渡による所得…事業所得又は雑所得 | ||
④山林の伐採、譲渡による所得…山林所得又は事業所得又は雑所得 |
3.譲渡所得の区分
譲渡所得に区分された所得は、総合課税の対象となるものと分離課税の対象となるものに区分され、さらに長期譲渡所得と短期譲渡所得に区分をされます。以下の9つの区分に分かれ、それぞれ所得の集計方法や税金の計算方法が異なります。①総合短期資産
取得日から譲渡日までの所有期間が5年以下の資産②総合長期資産
取得日から譲渡日までの所有期間が5年超の資産③分離短期一般資産(土地、建物等)
譲渡の合った年の1月1日において所有期間が5年以下の土地建物等④分離短期軽減資産(土地、建物等)
譲渡の合った年の1月1日において所有期間が5年以下の土地建物等で、国や地方公共団体に譲渡したものや収用交換等により譲渡したものなどで一定の要件に該当するもの⑤分離長期一般資産(土地、建物等)
譲渡の合った年の1月1日において所有期間が5年超の土地建物等⑥分期長期特定資産(土地、建物等)
譲渡の合った年の1月1日において所有期間が5年超の土地建物等で、優良住宅地の造成等のために譲渡したもの⑦分離長期軽課資産(土地、建物等)
譲渡の合った年の1月1日において所有期間が10年超の居住用財産の譲渡⑧分離課税(株式等)
一般株式に係る譲渡所得等⑨分離課税(株式等)
上場株式等に係る譲渡所得等4.まとめ
以上のように、譲渡による所得は、全てが譲渡所得に該当せず、その譲渡の内容によって事業所得や雑所得、山林所得に該当をする場合が有ります。また譲渡所得に該当をする場合は、更に9つに区分をされます。どの所得に該当する資産の譲渡に該当するかの判断は、それぞれ集計方法や税金の計算の方法が異なるため、正確に区分を行う必要があります。
資産の譲渡は、土地や建物などの大きな金額が譲渡される場合が多く、所得を得た場合には多額の所得税が課される場合があります。多額の所得税の計算を間違えて確定申告をしてしまうと、間違いがあった際に支払うべき加算税や延滞税が多額になる可能性があります。
譲渡があった年は、専門家に相談しながら確定申告を行うと、間違いが発生する可能性を抑えることが出来、安心して納税を行うことが出来ます。
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