消費税が10%に増税しても8%のものがある?!消費税の軽減税率制度とは
税務・財務


この記事の目次

1.消費税が10%になるのはいつ?

消費税が10%となるのは令和元年10月1日からです。現行の8%から2%上昇し、最終消費者が負担すべき消費税は大幅に増えることになります。
また消費税の内訳は現行の8%の場合は国税が6.3%、地方税が1.7%でしたが、10%の場合は国税が7.8%、地方税が2.2%であり、消費税の申告書の作成にも影響を及ぼします。

2.消費税が10%に増税しても8%のものがある?!

①軽減税率制度とは
軽減税率制度とは10%への税率引き上げに伴う低所得者への配慮等から、現行の8%を適用する制度であり、その対象は酒類、外食を除く飲食料品と定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞です。

②消費者への影響
最終消費者は購入先より提示される金額により支払いを行うため、支払いに関する混乱は生じにくいです。しかし、飲食店については同じ店舗で購入を行っても金額が異なる可能性があるため、提示される金額には注意が必要です。

飲食店において金額が異なる可能性があるというのは、食料品の購入の消費税率は現行の8%ですが、外食やケータリングについては10%であり、税率が異なるためです。
例えばテイクアウトと店内飲食が選択できるファーストフード店で税抜1,000円の注文をした場合、テイクアウトは8%の消費税率が適用され、1,080円が提示されます。一方で店内飲食は10%の消費税率が適用され、1,100円が提示をされます。
つまり同じ商品でありながらテイクアウトの方が安い金額で手に入れることが出来ます。

実際にはテイクアウトを実施している飲食店が、提示する金額に違いが出ることを手間と考え、上記の例のテイクアウトには20円の包装料が加算されるなどとルールを定めて、テイクアウトも店内飲食も同じ1,100円を提示することを行う場合も考えられます。

③課税事業者への影響
課税事業者は8%の取引と10%の取引を間違えないように正確に相手に提示し、かつ消費税の申告の際にも8%の取引と10%の取引を区別して納税金額の計算を行う必要があります。

(1)正確な税率による金額の提示

税率が変わる際には最終消費者に提示する金額も変更する必要があります。軽減税率制度が適用されない商品を販売している事業者は、税率は一律10%となるため、5%から8%に税率が上がった時と同じように、発行する請求書や店舗内の価格表示について、現行の税込108円の商品は税込110円に変更をします。税込108円のままで商品価格を据え置き、提示する金額に変更をしないことでこの作業は負担を少なくすることは出来ますが、事業者にとっては消費税増額分を値下げしたと同意であり利益が少なくなりますので、あまりお勧めは出来ません。

軽減税率制度が適用される商品と適用されない商品の両方を販売している事業者は、一律に税率表示を10%にすることが出来ないため、更に多くの影響があります。
8%の商品と10%の商品を販売する場合には、どの商品が税率8%であり、どの商品が税率10%の対象であるかを明確に提示して請求を行う必要があります。

そのため、2つの税率に対応できるレジの導入や改修が必要な場合もあります。軽減税率制度への対応が必要となる中小企業、小規模事業者には、その経費の一部を補助する軽減税率制度対策補助金の制度があるため、その申請を行うことで負担は軽減されます。

(2)正確な税率による帳簿の記載

軽減税率制度が適用される商品のみの販売でしたら、売上の記帳において意識する必要はありませんが、適用される商品と適用されない商品の両方を販売している事業者は、それぞれ区別をする必要があります。

区別の方法は、売上1、売上2などと勘定科目を分けて仕訳の記載を行う、同一の売上勘定の中で摘要に税率の違いが分かるような記載を行う、同一の売上勘定の中で税率区分欄を設けて税率の違いが分かるような区分記載を行う、などの方法が考えられます。
また商品の販売のみならず、新聞の定期購読には軽減税率制度が適用されるため、新聞図書費勘定の中でも通常の本と新聞は税率を分けて記載をする必要があります。

(3)軽減税率制度実施後の税額計算

課税事業者が納付すべき消費税の計算方法の原則は、売上税額である預かった消費税から仕入税額である支払った消費税を差し引くもので、この方法は現行の制度と変わりはありません。しかし、預かった消費税と支払った消費税の集計方法が少し複雑になります。

現行の制度では消費税が課税される全ての取引について同じ8%の税率であったため、預かった消費税や支払った消費税の総額は、税込金額の総額を108で割り、それに8を乗じたもので計算することが出来ました。

しかし軽減税率制度実施後は10%の取引と8%の取引が混在するため、10%の取引と8%の取引に係る預かった消費税、支払った消費税を別々に計算する必要があります。
具体的には以下のように計算を行います。

■売上税額=
(標準税率の対象となる税込売上額×10/110)+ (軽減税率の対象となる税込売上額×8/108)

■仕入税額=
(標準税率の対象となる税込仕入額×10/110)+(軽減税率の対象となる税込仕入額×8/108)

(4)税額計算の特例

軽減税率制度が実施される令和元年10月1日から一定期間、売上又は仕入を税率の違いにより分けることが困難な中小事業者に対して、売上税額、仕入税額の計算の特例が設けられています。
売上税額については、令和元年10月1日から令和5年9月30日までの期間において、売上の一定割合を軽減税率の対象売上として計算することが認められています。
一定の割合とは仕入を税率毎に管理できる卸売業、小売業を営む中小事業者は、卸売業や小売業に係る軽減税率対象品目の売上にのみ要する税込課税仕入から、卸売業や小売業に係る税込課税仕入を除したものである小売等軽減仕入割合と、小売等軽減仕入割合を適用しない場合は常の連続する10営業日の軽減税率対象品目の税込課税売上から通常の連続する10営業日の税込課税売上を除したものである軽減売上割合と、50%の3つの割合があります。

仕入税額については、令和元年10月1日から令和2年9月30日までの期間において、仕入の一定割合を軽減税率の対象仕入として計算することが認められています。
一定の割合とは仕入を税率毎に管理できる卸売業、小売業を営む中小事業者は、卸売業や小売業に係る軽減税率対象品目の売上にのみ要する税込課税仕入から、卸売業や小売業に係る税込課税仕入を除したものである小売等軽減仕入割合です。

また仕入税額については簡易課税制度を利用することも出来ます。簡易課税制度とは原則である支払った消費税の集計方法が、支払った消費税の金額の有無に関わらず、預かった消費税の一定割合を支払った消費税の額とみなして消費税を計算する方法です。
この一定の割合をみなし仕入れ率といい、業種により異なり90~40%が適用されます。

3.軽減税率制度の商品を売買した際は相互確認を

2つの消費税率が適用されるのは最終消費者にとっても、事業者にとっても初めての事です。売買をされた時点で販売する側は税率が有っているかを確認しながら販売金額を提示し、また購入する側も税率が有っているかを確認して購入金額の支払いを行うと混乱が生じにくくなります。

4.まとめ

以上のように令和元年10月1日以降は消費税率が8%の取引と10%の取引が混在するようになります。軽減税率制度により低所得者に対しての配慮はされるものの、多くの取引については最終消費者にとっては増税での家計負担、事業者にとっては税率が混在する事での大きな業務負担が生じます。混乱が生じないようあらかじめ備えておきましょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧めいたします。

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