納税者事前照会制度について
税務・財務


この記事の目次

制度の概要

国税庁(税務署)では、納税者の皆様の予測可能性の一層の向上に役立てていくために、特定の納税者の個別事情に係る事前照会に対して、文書により回答を行っています。
つまり、確定申告書を提出する前に、個別具体的な事例(実際に行われた取引のほか、将来行う予定の取引も対象)に基づき、税務上の取扱いを確認することができることになるため、正式に回答があった事案に関しましては、事後の税務調査等において指摘されることがないため、安心して申告書を提出することができるという制度です。

しかしながら、まだまだ利用者は少なく、平成29年度(2017年度)における事前照会の受付件数は、全国で133件にしか過ぎません。
これまでに先例のない取引を新規に行うなど、税務上の取り扱いが明確でない取引などは、この制度を利用することにより、安心して税務申告を行うことができる制度になっていますので、利用しない手はないと思います。

制度利用の要件

個別具体的な資料の提出が可能であること

自ら実際に行った取引等又は将来行う予定の取引等で個別具体的な資料の提出が可能なものについての国税に関する法令の解釈・適用その他の税務上の取扱いに関する事前照会であって、これまでに法令解釈通達などにより、その取扱いが明らかにされていないもの

取引等に係る国税の申告期限前に事前照会をすること

回答は、3か月以内に行うよう努めることとしていますので、申告期限前のできるだけ早期に照会する必要があります。

審査に必要な資料の提出ができること

審査に必要な資料の追加をお願いされる場合がありますので、その際は、速やかに提出するようにしてください。

照会内容及び回答が公表されることに同意すること(照会者名は公表されません)

照会内容は、国税庁ホームページの「質疑応答事例」などに掲載することにより、他の納税者の予測可能性の向上に役立てることとしていますので、照会内容は公表されます。

文書回答の対象とならないもの

事実関係に選択肢があるもの

事実関係に選択肢があるものについては、税務当局も正確な回答をすることができないため、対象外となります。

取引の主要な目的が国税の軽減等であるもの

あくまで通常の経済取引が存在し、その上での税務上の取扱いを回答するものであり、租税回避等を目的としたシミュレーション的な取引に対して、国税当局がその税務上の取扱いを回答することとした場合、課税上弊害があるため、そのような照会に対しては回答しないこととしています。

提出された資料だけでは事実関係を判断ができないもの

税務上の取扱いの決定の最も重要な要素は、「事実関係」です。税務調査等でも重要視して行われる作業が「事実認定」という作業になります。この事実関係がはっきりしているものに対しては、税務上の取扱いは一つでなければいけないものでありますが、事実関係が判断できない場合には、回答できないということです。

具体的な手続き

文書回答手続による事前照会を行う場合には、税務署に備え付けている「取引等に係る税務上の取扱い等に関する事前照会」の用紙に必要事項をご記入の上、必要な関係資料を添えて、事前照会者の納税地を所轄する税務署の担当部門(例えば、法人税については法人課税部門、所得税については個人課税部門等)に提出してください。
なお、国税局調査部所管法人が行う法人税及び消費税の事前照会につきましては、その法人を所管する国税局の調査審理課になります。

まとめ

国税庁の質疑応答集などを見ても取扱いに迷う取引というものは出てくるものです。そうした場合、調査等で否認されるのを恐れて保守的な処理をしてしまうことが多いのではないでしょうか。
しかしながら、租税回避目的ではなく、純粋に税務上の取扱いに疑義があり、判断が迷うケースには、この制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。

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