令和元年10月より消費税率は現行の8%から10%に変わり、増税が行われます。税抜本体価格が同一であれば、令和元年10月を境に税込金額は値上げとなります。 同一のものであれば、少しでも安く購入したいと思うのが消費者の心情です。今回は増税前に購入すべきもの、購入の必要のないものをご紹介致します。
この記事の目次
1.購入の必要はない!増税後も価格の変わらないもの
①軽減税率制度の対象商品
軽減税率制度とは、令和元年10月の増税時期と同時に導入される制度であり、原則の消費税率が10%に変わる中、現行の8%が適用され続ける商品があります。この対象商品は、外食、医薬品、酒類を除く飲食料品、新聞です。つまり飲食料品と新聞は、本体価格が同一であれば、令和元年10月以後の税込金額も変わらず、令和元年10月以前に慌てて購入をする必要がないものです。
②非課税の商品
消費税が非課税の商品は、現行の税率が8%であっても、10%に増税がされても、そもそも消費税が課税されない取引のため、価格は変わりません。消費税が非課税の商品には、土地、印紙、商品券、図書券等があります。
2.購入は要検討?必ずしも増税後に損をするとはいえないもの
軽減税率の対象の商品以外は、増税の対象となり、税抜本体価格が同一であれば、令和 元年10月を境に税込金額は値上げとなります。この影響は高額なものほど、増税の影響を受けやすく、近年中の購入予定があるのであれば、高額なものは令和元年10月以前に買うべきではないかと考える方も多くいらっしゃることでしょう。しかし、増税後にはそのような購入意欲の落ち込みを懸念して、多くの販売店がセールや特典を付した販売を行うことが予想をされます。また販売店のみならず、社会政策としても増税により消費が落ち込まないように、消費者向けの政策が導入されます。 このような増税以後の動きを踏まえると、必ずしも購入が令和元年10月以降となることが、損になることとはいえないものがあります。 高額になりがちな商品について、ご紹介致します。
①家電製品
家電製品は使用と共に能力が落ち、一方で家電製品の技術は年々上昇していることから、数年毎に買い替える方が多く、また近年は東京オリンピックの視聴に向けて、より良いテレビに買い替えようとする方も多いようです。家電製品は比較的高額な商品ですが、令和元年10月以前に必ずしも買うべきものには該当しません。
家電製品は消費税の増税分以上に価格の変動が激しく、新製品の売り出し時期における旧製品の値下げや、ボーナスの支給時期や年末商戦等、同じ年の間に何度も価格が変わるものです。同一商品について増税前の令和元年9月に購入するよりも、ボーナス、年末商戦時期である令和元年12月に購入する方が、安い可能性も十分にあります。
②自動車
自動車も使用と共に能力が落ちることや、家族構成の変化等により数年毎に買い替える方が多い比較的高額な商品です。新車であれば購入に数百万円が必要であり、消費税の増税分は200万円の車の購入であれば、令和元年10月以前と以後では購入価格に4万円の差が発生します。消費税の観点のみからすると、本体価格が同一な場合には令和元年10月以前に購入した方が安く購入できますが、自動車に係る税金について令和元年10月以降に改正が行われるため、全体的な車に係る支出という観点からは、令和元年10月以前に必ずしも買うべきものには該当しません。
自動車に係る税金は、令和元年10月以降に初回新規登録自動車税が、軽自動車を除き、現行の自動車税よりも下がります。また自動車取得税が廃止され、代わりに環境性能割という課税がされます。
よって軽自動車以外の電気自動車や燃料電池車等の環境性能の良い自動車を購入した場合、令和元年10月以前に購入するよりも以後に購入した方が、自動車税が下がり、自動車取得税は廃止され、かつ環境性能の良い車は環境性能割が課税されないため、自動車に係る税金は安くなります。
購入する自動車の種類や性能によりますが、税金を含めた全体的な支出という観点からは、安易に令和元年10月以前に購入するのではなく、試算をして購入時期を検討する必要があります。
③住宅
高額な商品のため、消費税の観点のみからすると、本体価格が同一な場合には令和元年10月以前に購入した方が安く購入することが出来ます。消費税の増税分は4,000万円の住宅の購入であれば、令和元年10月以前と以後では購入価格に80万円の差が発生します。非常に価格差は大きいものです。しかし、住宅も自動車と同様に本体価格以外の増税後の優遇制度として住宅取得等資金贈与の特例、すまい給付金の制度の変更により、全体的な住宅に係る支出という観点からは、令和元年10月以前に必ずしも買うべきものには該当しません。
住宅取得等資金贈与の特例とは、親や祖父母から住宅取得資金として贈与を受けた場合、一定の金額が非課税になるという制度です。この非課税金額は消費税率が8%を課税される住宅と10%を課税される住宅とでは異なります。
平成31年4月1日~令和2年3月31日に契約を行った住宅についての非課税金額は、8%が課税をされる省エネ等住宅は1,500万円、10%が課税される省エネ等住宅は3,000万円であり、10%が課税される住宅の方が1,500万円も非課税金額が多いです。
すまい給付金とは、住宅ローン返済の負担を軽減するために設けられた制度であり、決められた収入額がある等の一定の条件を満たせば給付金を受けることができます。この住まい給付金は、令和元年10月までは収入額の目安が510万円以下の方を対象に最大30万円、令和元年10月以降は収入額の目安が775万円以下の方を対象に最大50万円を給付するもので、令和元年10月以降の方がすまい給付金の対象者と金額が広がります。
これらの制度を利用した全体的な支出という観点からは、安易に令和元年10月以前に購入するのではなく、試算をして購入時期を検討する必要があります。
3.これは購入すべき!事前に購入することでお得になるもの
令和元年10月を境に税込金額は値上げとなることが見込まれ、かつ増税時にセール等を行う見込みが少ないものは、令和元年10月以前に購入した方が良いです。増税前に購入をするとお得になる商品をご紹介致します。①電車、バス等の定期券、回数券
令和元年10月以降に値上げが見込まれますが、それ以前であれば定期券や回数券は現行の消費税率8%の金額で、令和元年10月以降の電車、バス利用分を購入することが出来ます。またこれらの交通費は一般的にはセールを行わないため、事前の購入がお勧めです。②高級ブランド品
アウトレット店でない高級ブランド店は、セールを行うことが殆どありません。令和元年10月以降に値上げが見込まれるため、事前の購入がお勧めです。③旅行の予約、精算
旅行も令和元年10月以降に値上げが見込まれます。旅行の日程が令和元年10月以降であっても、精算時点がそれ以前であれば国内宿泊費や新幹線代、飛行機代等は現行の消費税率8%の金額で販売されているため、事前の予約、精算がお勧めです。④映画やテーマパークのチケット
多くのレジャーのチケットや入園料も令和元年10月以降に値上げが見込まれます。レジャーを利用する日程が令和元年10月以降であっても、前売り券であれば現行の消費税率8%の金額で販売されているため、事前の購入がお勧めです。4.まとめ
増税前に購入すべきもの、購入の必要のないものをご紹介致しました。高額な商品ほど増税前に買うべきと思われがちですが、必ずしもそれがお得になるとは限りません。増税に備えて購入を検討される際に、是非ご参考になさってください。軽減税率や消費税について詳しくお知りになりたい方は、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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