令和元年創設!森林環境税、森林環境譲与税とは?
税務・財務


日本の温室効果ガス排出削減目標の達成や災害防止等を図るため、森林整備等に必要な地方財源を安定的に確保する観点から、森林環境税及び森林環境譲与税が創設されることとなりました。 この創設により住民税の負担内容が変更となります。今回は多くの納税者に影響のある森林環境税、森林環境譲与税についてご紹介致します。

この記事の目次

1.森林環境税、森林環境譲与税の創設背景

森林を整備することは、地球温暖化防止のみならず、国土の保全や水源の涵養、地方創生や快適な生活環境の創出等につながります。そしてその恩恵は多くの納税者も受けることとなります。

しかし森林整備を進めるにおいて、 所有者の経営意欲の低下や所有者不明の森林の増加、境界未確定の森林の存在や担い手の不足等が大きな課題となっています。パリ協定の枠組みの下で日本の温室効果ガス排出削減目標を達成し、大規模な土砂崩れや洪水、浸水といった都市部の住民にも被害が及び得る災害から人々を守るためには、こうした課題に的確に対応し、森林資源の適切な管理を推進することが必要です。

自然的条件が悪く、採算ベースに乗らない森林について、市町村自らが管理を行う新たな制度を創設、森林関連法令の見直しが必要となり、森林環境税、森林環境贈与税が創設されることとなりました。

2.森林環境税と森林環境譲与税の関係

森林環境税は住民税と併せて、年額1,000円を日本の納税義務者である約6,200万人から徴収を行います。住民税と併せて市区町村に納められた後、都道府県を通して国の交付税及び譲与税配付金特別会計にて管理をされます。

この交付税及び譲与税配付金特別会計から、森林環境譲与税が各都道府県や市区町村に配分され、都道府県や市区町村の森林による地球温暖化防止や災害防止のための活動の財源とされます。

3.森林環境税とは

①概要

施行日令和6年1月1日
納税義務者等国内に住所を有する個人に対して課する国税
税額年額1,000円
賦課徴収市区町村(個人住民税と併せて徴収)
国への払込 都道府県を経由して税収の全額を交付税及び譲与税特別会計に直接払込み

②森林環境税の問題点

森林環境税は令和6年に新たに創設されますが、既に似たような内容の地方自治体特有の税を課税している市区町村があります。 例えば横浜市は、既に平成21年から横浜みどり税という税金を横浜市の住民税の納税者に負担をさせています。
この目的は横浜市独自の横浜みどりアップ計画のもと、緑豊かなまちの形成に継続的に取り組むための財源確保であり、既に横浜市の納税者は年額900円を住民税に上乗せして納めています。

このように地方自治体で既に環境保全のための特有の税金の徴収を行っている場合、令和6年以降は二重課税になるのではないかと懸念がされています。

また、森林面積の少ない都市部では、森林環境譲与税の譲与の配分が少なく、納税に対しての恩恵が感じられにくくなっています。都市部の納税者には、森林環境税の納税に対しての理解が得られにくい可能性があります。

4.森林環境譲与税とは

①概要

施行日平成31年4月1日
譲与総額森林環境税の収入額に相当する額
譲与団体市町村及び都道府県
使途(市区町村) 間伐や人材育成や担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発等の森林整備及びその促進に関する費用
使途(都道府県) 森林整備を実施する市町村の支援等に関する費用
譲与基準(市区町村) 総額の9割に相当する額を私有林人工林面積(5/10)、 林業就業者数/10)、人口(3/10)で按分
譲与基準(都道府県) 総額の1割に相当する額を市町村と同様の基準で按分
使途の公表 インターネットの利用等の方法により公表

②令和6年までの財源

森林環境譲与税の財源は原則として森林環境税の収入額ですが、森林環境税の施行は令和6年とされています。それまでの財源は暫定的に交付税及び譲与税特別会計における借入れにより対応がされます。平成31年から令和3年の各年度は200億円の借入金、令和4年から令和5年の各年度は300億円の借入金を予定しています。

この借入は納税者に新たに負担させるものではなく、後年度の森林環境税の税収の一部をもって確実に償還されることとなっています。
令和7年から令和10年の各年度に200億円の償還、令和11年から令和14年の各年度に100億円の償還を予定しています。

③譲与基準

市区町村に対して譲与総額のうち9割に相当する額を、私有林人工林面積(5/10)、 林業就業者数(2/10)、人口(3/10)で按分し、譲与を行います。
私有林人工林面積には補正があり、林野率85%以上の市区町村は私有林人工林面積を1.5 倍に割増し、林野率75%以上85%未満の市区町村は私有林人工林面積を1.3 倍に割増し、林野率75%未満の市区町村は補正なしとされています。

都道府県に対しては譲与総額のうち1割に相当する額を、市区町村と同様の按分方法で譲与を行います。 よって、森林面積の大きい市区町村、都道府県ほど森林環境譲与税を受け取ることが出来ます。

④使途の公表

年額1,000円を日本の納税義務者である約6,200万人から徴収を行うということは、新たに620億円もの財源を確保することです。 一律年額1,000円であることから、人口の多い市区町村ほど税収を集めることが出来ますが、それが再配分される際には人口の多い市区町村よりも森林面積の多い市区町村ほど受け取ることが出来ます。

よって森林面積の多い市区町村が受け取った森林環境譲与税は何に使われたのか、公表をすることは森林環境税の徴収の理解と、その制度の存続に必要不可欠といえます。
また、使途は間伐や路網といった森林整備に加え、森林整備を促進するための、人材育成や担い手の確保、木材利用の促進や普及啓発に限られています。

⑤森林環境譲与税の問題点

森林環境譲与税は森林面積の多い市区町村が多く受け取ることが出来ますが、森林面積が多いということは、人口が少ない市区町村である可能性が非常に高いです。よって森林環境譲与税を得た後、人口の少ない市区町村で森林の整備を行なおうとする場合、人手が足りない、道が整理されていない等の理由から、十分な整備が行うことが出来ない可能性があります。金銭をもって制度を構築しても、なかなか林業等の森林に関する仕事に従事したいと望む人が増えないという現状もあります。

また森林面積の多い市区町村が必ずしも森林整備を環境整備の第一に考えているとは限りません。しかし受け取った森林環境譲与税は使途が森林整備関連に限られ、他の都市開発等には使えません。よって必ずしも森林環境譲与税が、市区町村が望む環境整備のための財源となるとはいえません。
このように譲与された金銭を市区町村や都道府県が適切に使えるとは限りません。

5.まとめ

森林環境税、森林環境譲与税の創設により、日本の国土の6割から7割を占める森林が整備されます。度重なる震災等を経験してきた日本には、森林の整備は必要なことです。
しかし多くの納税者に一律で税金の負担をさせるためには、広く理解を求める必要がありますし、またその使途も明確にし、多くの人が納得するものでなければなりません。

今後既に森林環境譲与税が配布された市区町村や都道府県が、その使途を年度末に公表すると考えられます。森林環境譲与税の効果が確認することが出来れば、森林環境税の納付に理解をする人が多くなることでしょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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