ソフトウェアとは、コンピューターを機能させるために指令を組み合わせて表現したプログラム等のことです。ソフトウェアは制作目的に応じて受注制作のソフトウェア、市場販売目的のソフトウェア、自社利用のソフトウェアの3つに分類され、それぞれの会計処理方法が定められています。 今回はソフトウェアの会計処理について確認をしましょう。
1.受注制作のソフトウェア
受注制作のソフトウェアとは、特定の利用者のための仕様であり、個別に受託して制作するソフトウェアのことです。①会計処理
受注制作のソフトウェアの会計処理は、請負工事の会計処理に準じて処理をします。請負工事の会計処理には、工事完成基準と工事進行基準とがあります。
工事完成基準に基づいてソフトウェアの受注制作を行う場合は、そのソフトウェアの完成時に収益や売上原価を計上し、それまでの間のソフトウェアの製作費は仕掛品として計上をします。
工事進行基準に基づいてソフトウェアの受注制作を行う場合は、そのソフトウェア制作における進捗度に応じて収益や売上原価の計上をします。
②仕訳例
期末である9/30に工事完成基準に基づき、当期中にソフトウェア制作に支出した10,000円を仕掛品に振り替える場合
9/30 仕掛品10,000/材料費10,000
翌期1/31に工事完成基準に基づき、上記に加えて当期中に追加で製作費が5,000円掛かり、完成した製作費が15,000円であるソフトウェアを20,000円で掛販売した場合
1/31 仕掛品5,000/材料費5,000
売掛金(工事未収入金)20,000/売上高(完成工事高)20,000
売上原価15,000/仕掛品15,000
期末である9/30に工事進行基準に基づき、請負金額が30,000円であるソフトウェア制作につき、進捗度80%部分の売上と、当期中にソフトウェア制作に支出した10,000円を計上する場合
9/30 売掛金(工事未収金)24,000/売上高(完成工事高)24,000
未成工事支出金10,000/材料費10,000
売上原価10,000/未成工事支出金10,000
翌期1/31に工事進行基準に基づき、上記に加えて当期中に追加で製作費が5,000円掛かり、完成した製作費が15,000円であるソフトウェアを掛販売した場合
1/31 売掛金(工事未収金)6,000/売上高(完成工事高)6,000
未成工事支出金5,000/材料費5,000
売上原価5,000/未成工事支出金5,000
2.市場販売目的のソフトウェア
市場販売目的のソフトウェアとは、不特定多数の利用者のために制作し、製品マスターを作成後、それをコピーして販売を行うソフトウェアのことです。①会計処理
市場販売目的のソフトウェアは、研究開発費に該当する部分を除き、資産として計上をします。研究開発費に該当をする部分とは、最初に製品化された製品マスターが完成するまでに発生した費用、製品マスターの著しい改良に要した費用等が該当をします。
②仕訳例
6/30に市場販売目的のソフトウェアを作成し、このソフトウェアの製品マスターの製作費用が10,000円である場合
6/30 研究開発費10,000/現金預金10,000
7/31に上記の一度完成した製品マスターに対し著しい改良を行い、その改良にかかった費用が5,000円である場合
7/31 研究開発費5,000/現金預金5,000
8/31に上記の一度完成した製品マスターに対し機能の強化を行い、その強化にかかった費用が5,000円である場合
8/31 ソフトウェア5,000/現金預金5,000
期末である9/30にソフトウェアを見込販売数量に基づき償却を行い、このソフトウェアが3年で1,000個販売する予定であり、当期の販売数が500個であった場合
9/30 売上原価2,500/ソフトウェア2,500
3.自社利用のソフトウェア
社内利用のソフトウェアとは、社内利用のために取得するソフトウェアをいいます。①自社利用のソフトウェアは、将来の収益獲得または費用削減が確実と認められる部分につき資産に計上をし、認められない部分については費用として計上をします。
収益獲得または費用削減が確実と認められる部分とは、外部から購入したソフトウェアについて、そのソフトウェアの導入にあたって必要とされる設定作業等が該当をします。
②会計処理
6/20に自社利用のソフトウェアを購入し、このソフトウェアの導入費用が10,000円である場合
6/20 ソフトウェア10,000/現金預金10,000
7/31に上記のソフトウェアにデータのコンバートを行い、その作業にかかった手数料が5,000円である場合
7/31 支払手数料5,000/現金預金5,000
8/31に上記のソフトウェアのトレーニングを行い、その作業にかかった手数料が5,000円である場合
8/31 支払手数料5,000/現金預金5,000
期末である9/30にソフトウェアを耐用年数5年で減価償却を行い、当期償却月数が3ヶ月である場合
9/30 ソフトウェア償却500/ソフトウェア500