確定申告を行う本人と、本人と生計を一にする配偶者とその他親族のために支払った、1年間の医療費が10万円を超える場合、又は所得が200万円未満の人はその所得の5%を超える場合、確定申告をすることで所得税の減額である医療費控除を受けることが出来ます。
今回は医療費が高額になる場合が多い出産時の医療費について、医療費控除の対象となるものをご紹介致します。
1.医療費控除の対象となるもの
医療費控除の対象に該当するかの判断の原則は、治療に必要である費用であることです。出産によって支払った医療費のうち、医療費控除の対象となるものとして、具体的には以下のような医療費が挙げることが出来ます。
・妊娠と診断されてからの定期検診や検査代
・不妊治療、人工授精の治療代
・分娩費用、入院費用代
・優生保護法により医師が行った場合の妊娠中絶費用
・入院時に病院が提供をする食事代
・医師が用意したシーツやまくらカバー等のクリーニング代
・医師の指示による差額ベッド代
・医師の指示による医療器具の購入代
・入退院時の電車代、バス代
・自力で歩行困難な場合におけるタクシー代
2.医療費控除の対象とならないもの
医療費控除の対象とならないものとは、一般的に治療に必要と認められないものが該当をします。出産によって支払った医療費のうち、医療費控除の対象とならないものとして、具体的には以下のような治療費が挙げることが出来ます。
・妊娠検査薬の購入代
・乳幼児のおむつ等の育児用品の購入代
・里帰り出産時の電車代、バス代、タクシー代
・手術時等における医師や看護師へのお礼代
・入院時に病院が提供をする食事以外の、売店等で購入した食事代
・入院時に必要なパジャマ等の衣類、洗面具等の用品代
・パジャマ等のクリーニング代
・入院時の散髪代
・入院時のテレビや冷蔵庫等の使用代
・付添人のベッド、食事代
・医師の指示以外の、自己都合による差額ベッド代
・医師の指示以外の、医療器具の購入代
・入退院時の自家用車のガソリン代、駐車場代、高速道路代
・自力で歩行可能な場合におけるタクシー代
・見舞に来た人のための電車代、バス代、タクシー代
3.出産一時金等の取り扱い
健康保険組合などから支払われる出産育児一時金や家族出産育児一時金又は、出産費や配偶者出産費受け取っている場合は、その金額を支払った医療費から差し引く必要があります。出産育児一時金の金額は、妊娠4ヵ月以上の人が出産したときは、一児につき42万円、産科医療補償制度の対象外となる出産の場合は40.4万円が支給されます。
これを受け取った場合は、医療費控除の対象となる支払った医療費が42万円又は40.4万円を10万円又は所得が200万円未満の人はその所得の5%を上回る金額であることが、医療費控除を利用出来る条件となります。
例えば所得が300万円の人が出産のための検査や入院費として60万円を1年間に支払い、出産育児一時金を42万円受け取った場合、これらを相殺した18万円が医療費控除の対象となります。
出産の前後の一定期間勤務できないことに基因して、健康保険法等の規定により給付される出産手当金は、医療費を補てんする性格のものではありませんので、医療費控除の計算上差し引く必要はありません。
4.まとめ
出産時の医療費について、医療費控除の対象となるもの、ならないものを具体的にご紹介致しました。所得税が発生していて、1年間の医療費が10万円を超える場合、又は所得が200万円未満の人はその所得の5%を超える場合は、確定申告を行うことで所得税の減額をこの医療費控除で受けることが出来るため、多額に医療費を支払った年には忘れずに確認をしましょう。過年度に医療費控除を失念してしまった場合にも、5年以内であれば還付申告が有効です。 ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。