セルフメディケーション税制を利用して確定申告をしよう!
税務・財務


医療費控除の特例として平成29年分確定申告から導入のされているセルフメディケーション税制。医薬品の購入費に応じて所得税の減額をすることが出来ます。平成29年分から導入されたことにより、通常の医療費控除ほど広くは知られていません。

セルフメディケーション税制を利用することで、今まで医療費控除を利用することの出来なかった人も、医療費に関する控除を受けることが出来ます。 今回はそのセルフメディケーション税制についてご紹介致します。

この記事の目次

1.セルフメディケーション税制とは

健康の保持増進及び疾病の予防への取組として一定の取組を行っている人が、平成29年1月1日から令和3年12月31日までの間に、申告者本人又は本人と生計を一にする配偶者その他の親族のために特定一般用医薬品等購入費を支払った場合に、一定の金額の所得控除を受けることが出来るものです。

2.一定の取組とは

一定の取組を申告者本人が行っていることが、セルフメディケーション税制を利用することの出来る条件です。
一定の取組とは以下のものをいいます。

①健康保険組合、市区町村国保等が実施する健康診査
②市区町村が健康増進事業として行う健康診査
③予防接種
④勤務先で実施する定期健康診断
⑤特定健康診査、特定保健指導
⑥市町村が健康増進事業として実施するがん検診


3.特定一般用医薬品等購入費とは

特定一般用医薬品等購入費とは医療保険各法等の規定により療養の給付として支給される薬剤との代替性が特に高いものとして厚生労働大臣が財務大臣と協議して定めるものの購入費をいいます。
2019年9月時点で薬局等にて購入することの出来る医薬品のうち、1,749品目が対象となっています。

申告者が購入した医薬品が特定一般用医薬品等の対象に該当するかの判断は、対象の商品には、購入の際の領収書等に対象商品である旨が表示されているため、領収書等で確認をすることが出来ます。

4.セルフメディケーション税制による控除額

セルフメディケーション税制による控除額は、1年間に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額から12,000円を差し引いた金額で、最高88,000円までが控除額とすることが出来ます。
この合計額には、一定の取組に要した費用は、セルフメディケーション税制による医療費控除の対象となりません。

5.セルフメディケーション税制の利用をするための手続き

セルフメディケーション税制の利用に関する事項を記載した確定申告書を所轄税務署長に提出します。
セルフメディケーション税制の利用のための必要書類は、セルフメディケーション税制の明細書と、セルフメディケーション税制の利用する人が一定の取組を行ったことを明らかにする書類です。

セルフメディケーション税制の明細書とは、薬局等の支払先の名称、医薬品の名称、支払金額等を詳細に記載する書類です。
この記載のために領収書等の保存は必要ですが、確定申告書の提出の際に領収書等の添付の必要はありません。
一定の取組を行ったことを明らかにする書類とは、勤務先名称又は保険社名の記載された以下のものをいいます。また結果通知表における結果内容は黒塗りや切り取りをして確定申告書に添付をしても差し支えありません。

①インフルエンザの予防接種又は定期予防接種の領収書又は予防接種済証
②市区町村のがん検診の領収書又は結果通知表
③職場で受けた定期健康診断の結果通知表
④特定健康診査の領収書又は結果通知表
⑤人間ドックやがん検診を始めとする各種健診の領収書又は結果通知表


6.医療費控除とは選択適用

セルフメディケーション税制は医療費控除の特例であり、通常の医療費控除との選択適用となりますので、いずれか一方を選択して利用をします。
医療費控除とはその年の1月1日から12月31日までの間に申告者本人又は本人と生計を一にする配偶者やその他の親族のための支払った医療費が一定額を超える場合に、一定の金額の所得控除を受けることが出来るものです。

医療費控除における控除額は、その年の総所得金額が2,000,000円を超える人は1年間に支払った医療費の合計額から100,000円を差し引いた金額で、最高2,000,000円まで、2,000,000円未満の人は1年間に支払った医療費の合計額から総所得金額の5%を差し引いた金額で、最高2,000,000円までが控除額とすることが出来ます。

医療費控除を利用するための手続きは、医療費控除の明細書を添付した確定申告書を所轄税務署長に提出します。
医療費控除の明細書とは、病院等の支払先の名称、支払金額等を詳細に記載する書類です。この記載のために領収書等の保存は必要ですが、 確定申告書の提出の際に領収書等の添付の必要はありません。また医療費控除の明細書は医療保険者から交付を受けた医療費通知を添付することによって医療費控除の明細書の記載を簡略化することが出来ます。
医療費通知とは、以下の内容を満たしたものをいいます。

①被保険者等の氏名
②療養を受けた年月
③療養を受けた者
④療養を受けた病院、診療所、薬局等の名称
⑤被保険者等が支払った医療費の額
⑥保険者等の名称


セルフメディケーション税制による控除額が、1年間に支払った特定一般用医薬品等購入費の合計額から12,000円を差し引いた金額で、最高88,000円までであることから、その年の総所得金額が2,000,000円を超える人は、支払医療費が100,000円以下の場合は、セルフメディケーション税制を利用した方がお得といえます。

このようにどちらが申告者本人にとってお得かであるかは、セルフメディケーション税制を利用することの出来る特定一般用医薬品等購入費の合計額と支払った医療費の合計額を比較して選択をする必要があります。

7.保険金等の補填金額の取り扱い

セルフメディケーション税制及び医療費控除について、それらに対して保険金等の受け取りがあれば、いずれも補填された金額は支払総額から控除をします。
補填する保険金等の額が、特定一般用医薬品等購入費や医療費を支払った年分の確定申告書を提出する時までに確定していない場合には、補てんされる保険金等の見込額に基づいて計算します。後日、補填される保険金等の確定額と当初の見込額とが異なる場合には、修正申告又は更正の請求の手続により訂正する必要があります。

8.セルフメディケーション税制の申告期限

セルフメディケーション税制を利用するためには確定申告が必要です。 確定申告の提出期限は、所得税が納税となる場合は申告対象の年の翌年3月15日です。所得税が還付となる場合は、申告対象の年の翌日から5年間です。
また所得税の納付期限は納税の場合は申告期限と同じく3月15日であり、還付の場合は申告書が受理され次第順次、還付を受け取ることが出来ます。

会社で年末調整を受けることの出来る給与所得者は、年末調整の時点で1年間の所得税の精算は済んでいますので、年末調整では控除することの出来ないセルフメディケーション税制による医療費控除の特例を受ける場合には、その他の申告事由が無い限り確定申告を行うことで所得税の還付を受け取ることが出来ます。

還付の場合は申告書の提出は申告対象の年の翌日から5年間有効ですので、一昨年以前の特定一般用医薬品等の購入費についても、遡って申告をすることが出来ます。

9.まとめ

以上のように、セルフメディケーション税制を利用することで、所得税の減額をすることが出来ます。医療費控除の対象となる病院等の領収書と同じように、セルフメディケーション税制の対象となる特定一般用医薬品等購入費の領収書を保存して、利用が出来るかを年末に確認を行うと良いでしょう。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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