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今回は税務調査の頻度と調査に入った際に遡られる期間についてご説明したいと思います。税務調査の頻度
他の会社の話などを聞くと、まったく税務調査に入られたことがない会社もあれば、3年ほどのペースで税務調査に入られている会社があります。
実は、税務調査がどのくらいの頻度で来るのかは、会社によってまったく違うのです。そうはいっても、ある程度は税務調査の頻度にも基準があるので、概略ではありますが説明しておきましょう。
・売上が100億円以上あるような大きな会社:3~4年に1度のペースで税務調査
・売上や利益が大幅に伸びている会社:4~5年に1度のペースで税務調査
・売上はあまりなくてもパチンコ業や廃棄物処理業など、不正が多いと税務署に管理されている業種の会社:4~5年に1度のペースで税務調査
・過去に重加算税を課されたことのある会社:3~4年に1度のペースで税務調査
・売上や利益が大幅に伸びている会社:4~5年に1度のペースで税務調査
・売上はあまりなくてもパチンコ業や廃棄物処理業など、不正が多いと税務署に管理されている業種の会社:4~5年に1度のペースで税務調査
・過去に重加算税を課されたことのある会社:3~4年に1度のペースで税務調査
これらはあくまでも基準ですが、これらに該当しないのであれば、ある程度売上があっても、税務調査は6~7年くらいに1回の割合になるでしょう。かなり業歴が長い社長に聞いてみても、人生で多くて4~5回くらい税務調査を受けたくらいが最大回数ではないでしょうか。
またよく聞かれるもので、「優良申告法人であれば税務調査に入られない、もしくは税務調査があってもあっさり終わるのでは?」という質問があります。
優良申告法人とは、税務署が5年に一度の税務調査で、適正な申告と納税がされ、かつ経営内容が優良で問題ないとして表敬する法人のことです。優良申告法人に認定されると、地元の税務署長が来社し、表彰状を渡されるとともに、写真撮影まで行われます。
確かに以前から税務署では、優良申告法人であれば税務調査をあまり行わない、もしくは税務調査に入っても、短い日程で終わるという慣習があります。
しかし、最近では優良申告法人の制度も見直されています。というのも、過去に優良申告法人であるとされた会社が、そもそも税務調査に入られにくいというのはおかしい(つまり、その後に悪いことをする可能性は排除できない)こと、また優良申告法人はかなりの納税をしている会社なのですが、長引く不景気で、優良申告法人自体が極端に減っていることも事実です。
法人会などによっては、「御社もぜひ優良申告法人で!」などと営業されると聞きますが、そのために多くの納税をすることは、あまりおすすめできることではありません。税務調査を嫌がる以前に、まず経営のことを本気で考えなければならないのが経営者です。
税務調査は何年分遡って行われるのか
税務調査は何年分見られるのでしょうか?税務調査で何年分遡るのか、実はかなり曖昧な基準しかありません。
まず通常、法人と個人事業主ともに、3年分を遡って税務調査が行われます。ですから、税務調査の事前連絡が入り、帳簿や書類を準備しておくのは3年で問題ありません。
しかし、たまにイレギュラーな税務調査があります。それは5年分遡って税務調査を行うという調査官もいます。これは法律違反ではありませんから、「税務調査は通常3年だけですよね?」と言って断ることができません。ですから、「何も悪いことをしていなければ、最大でも5年分の税務調査が行われる」と覚えておけば十分です。
ここで問題になるのが、税務調査は最大7年間遡ることができます。簡単にいうと、「会社が悪いことをしていたら、7年分遡ることができる」というものです。法律ではこのように記載されています。
国税通則法第70条
4 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等又は偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正(前 2 項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。)は、第 1 項又は前項の規定にかかわらず、第 1 項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から 7 年を経過する日まで、することができる。
4 偽りその他不正の行為によりその全部若しくは一部の税額を免れ、若しくはその全部若しくは一部の税額の還付を受けた国税(当該国税に係る加算税及び過怠税を含む。)についての更正決定等又は偽りその他不正の行為により当該課税期間において生じた純損失等の金額が過大にあるものとする納税申告書を提出していた場合における当該申告書に記載された当該純損失等の金額(当該金額に関し更正があつた場合には、当該更正後の金額)についての更正(前 2 項の規定の適用を受ける法人税に係る純損失等の金額に係るものを除く。)は、第 1 項又は前項の規定にかかわらず、第 1 項各号に掲げる更正決定等の区分に応じ、当該各号に定める期限又は日から 7 年を経過する日まで、することができる。
つまり、「偽りその他不正の行為」=「悪いことをして税金をごまかしていた」ら、税務調査は最大7年間遡れることが、法律上明記されているわけです。裏を返せば、税務調査で8年以上前に遡られることはあり得ないともいえます。
では、「偽りその他不正の行為」とは具体的にどのような行為を指すのでしょうか。列挙していけばキリがないのですが、下記に例示だけしておきます。
(例)
・領収書や請求書等の改竄(かいざん)・捏造など
・わざと(故意に)売上や経費の時期をズラすこと
・架空の人件費など
・領収書や請求書等の改竄(かいざん)・捏造など
・わざと(故意に)売上や経費の時期をズラすこと
・架空の人件費など
税務調査で7年遡られると、それだけで追徴税額が多額になってしまいます。間違っても「偽りその他不正の行為」は絶対にしないことが大事です。
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