確定申告は1年間の所得を集計し、その集計を基に所得税の計算し納付を行う一連の手続きです。計算対象となる期間に満期保険金を受け取った場合、確定申告は必要なのでしょうか。今回は保険金を受け取った場合の取り扱いをご紹介致します。
1.満期の生命保険金を受け取った場合、税金の種類は2種類
生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取った場合には、保険料の負担者、保険金受取人が誰であるかにより、所得税、贈与税のいずれかの課税の対象になります。保険料の負担者と保険金受取人が同一の人である場合、これは所得税の対象となります。一方で保険料の負担者と保険金受取人が異なる人である場合は贈与税の対象となります。
今回は保険料の負担者と保険金受取人が同一の人である所得税の課税対象となる場合の取り扱いをご紹介致します。
2.満期保険金の所得の種類は2種類
所得税の課税対象となる場合の満期保険金等は、受取の方法により一時所得又は雑所得として課税されます。一時所得に該当をする満期保険金とは、満期保険金を一時金で受領した場合です。この一時所得とは、受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、更に一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額です。課税の対象になるのは、この金額を更に1/2にした金額です。
雑所得に該当をする満期保険金とは、満期保険金を年金で受領した場合です。この雑所得とは、その年中に受け取った年金の額から、その金額に対応する払込保険料又は掛金の額を差し引いた金額です。
3.一時所得の満期保険金
一時所得として満期保険金を受け取った場合、その満期保険金を確定申告するべきかの判断は、一時所得の課税の対象になる金額が20万円を超えるかで行います。給与や年金を受け取っている人の中で確定申告を行うべき人としての要件の一つに、給与や年金以外の各種の所得金額が20万円を超える人、というものがあります。これに該当をしない場合は確定申告を行わなくて良いこととなっています。
一時所得の課税対象になる金額とは上記の通り受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引き、更に一時所得の特別控除額50万円を差し引いた金額を1/2にしたものです。よって受け取った保険金の総額が払い込んだ保険料又は掛金の総額より90万円も多い場合に、確定申告が必要となります。
4.雑所得の満期保険金
雑所得として満期保険金を受け取った場合も、その満期保険金を確定申告するべきかの判断は、雑所得の課税の対象になる金額が20万円を超えるかで行います。雑所得の課税対象になる金額とは上記の通り受け取った保険金の総額から既に払い込んだ保険料又は掛金の額を差し引いたものです。よって受け取った保険金の総額が払い込んだ保険料又は掛金の総額より20万円多い場合に、確定申告が必要となります。
5.金額に関わらず確定申告不要の満期保険金
生命保険契約の満期や解約により保険金を受け取り、その保険料の負担者と保険金受取人が同一の人である場合、これは所得税の対象となるため、金額により確定申告が必要となります。しかし、一時払いの養老保険等で保険期間等が5年以下のもの及び保険期間等が5年超で5年以内に解約されたものは、源泉分離課税が適用され、源泉徴収だけで課税関係が終了します。つまり保険会社が保険金の支払い時に所得税を差し引いて保険金受取人に保険金が支払われるため、保険金受取人は確定申告が不要となります。