2020年から変わる!公的年金の課税関係とは?
税務・財務


公的年金はその受け取る金額により課税される所得税額が決定をされますが、 所得税額の計算方法が2020年より変更となります。
どのような変更なのか、またそれにより影響はあるのかについてご紹介致します。

この記事の目次

1.公的年金は雑所得に該当をする

公的年金はその受け取る金額により課税される所得税額が決定をされますが、雑所得という所得に分類がされます。
雑所得に該当をする公的年金には、国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などの規定による年金、過去の勤務により会社などから支払われる年金の他に、外国の法令に基づく保険又は共済に関する制度で国民年金法、厚生年金保険法、公務員等の共済組合法などに掲げる法律の規定による社会保険又は共済制度に類するものがあります。

2.公的年金に係る雑所得の計算方法

公的年金に係る雑所得の計算方法が2020年より変更となります。 雑所得の金額は収入金額×割合-控除額によって計算がされます。

①2019年までの計算方法

年金を受け取る人の年齢 公的年金等の収入金額の合計額 割合 控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までの場合は所得金額は0)
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までの場合は、所得金額は0)
1,200,001円から3,299,999円まで 100%1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

②2020年からの計算方法

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額によって計算方法が異なります。

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円以下
年金を受け取る人の年齢公的年金等の収入金額の合計額 割合 控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が600,000円までの場合は、所得金額は0)
600,001円から1,299,999円まで 100% 600,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,100,000円までの場合は、所得金額は0)
1,100,001円から3,299,999円まで 100% 1,100,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 275,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 685,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,455,000円
10,000,000円以上 100% 1,955,000円

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超2,000万円以下
年金を受け取る人の年齢 公的年金等の収入金額の合計額 割合 控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が500,000円までの場合は、所得金額は0)
500,001円から1,299,999円まで 100% 500,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 175,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 585,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,355,000円
10,000,000円以上 100% 1,855,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が1,000,000円までの場合は、所得金額は0)
1,000,001円から3,299,999円まで 100% 1,000,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 175,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 585,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,355,000円
10,000,000円以上 100% 1,855,000円

公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が2,000万円超
年金を受け取る人の年齢 公的年金等の収入金額の合計額 割合 控除額
65歳未満 (公的年金等の収入金額の合計額が400,000円までの場合は、所得金額は0)
400,001円から1,299,999円まで 100% 400,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 75,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 485,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,255,000円
10,000,000円以上 100% 1,755,000円
65歳以上 (公的年金等の収入金額の合計額が900,000円までの場合は、所得金額は0)
900,001円から3,299,999円まで 100% 900,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 75,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 485,000円
7,700,000円から9,999,999円まで 95% 1,255,000円
10,000,000円以上 100% 1,755,000円

3.所得税額への影響

①年金のみの収入で2019年まで課税されなかった人

年金のみの収入の人は、2019年までは収入金額が65歳未満は70万円まで、65歳以上は120万円までが雑所得金額は0円とされ所得税が課税されていませんでした。しかし2020年からの雑所得金額が0円となる範囲は10万円ずつ少なくなり、65歳未満は60万円、65歳以上は110万円までとなりました。

これにより2019年まで課税されなかった人が2020年から課税されるのではないかと心配される人もいるかもしれませんが、この計算方法の変更により課税されなかった人が課税されるようになるということはありません。

所得税は計算された所得金額そのものに課税がされるのではなく、その所得金額から各種控除金額を差し引いた課税所得に対して所得税率を乗じて計算をします。各種控除金額には誰しもが利用することの出来る基礎控除というものがあり、この基礎控除は2020年より48万円となります。

よって65歳未満で70万円の年金のみの収入がある人についての雑所得金額は2020年より70万円-60万円=10万円と計算がされますが、基礎控除額を差し引くと課税所得は10万円-48万円=-38万円となり、所得税は2020年も変わらず課税されず、影響はありません。

②年金のみの収入で1,000万円までの人

年金のみの収入でありその収入が1,000万円までの人は、2019年までと同様の所得税額が発生します。
2019年までの年金収入が1,000万円の人の雑所得金額は1,000万円×95%-155.5万円=794.5万円です。ここから社会保険料や寄付金等の他の控除が無いものとして基礎控除である38万円を差し引くと課税所得金額は794.5万円-38万円=756.5万円です。756.5万円に対する所得税は23%を乗じて63.6万円を差し引いて計算をするため、756.5万円×23%-63.6万円=110.395万円です。

2020年からの年金収入が1,000万円の人の雑所得金額は1,000万円×100%-195.5万円=804.5万円です。ここから社会保険料や寄付金等の他の控除が無いものとして基礎控除である48万円を差し引くと課税所得金額は804.5万円-48万円=756.5万円です。所得税の計算方法は2019年と変わらないため、2020年の所得税額も110.395万円です。

このように年金のみの収入でありその収入が1,000万円までの人は、影響はありません。

③年金のみの収入で1,000万円を超える人

年金のみの収入でありその収入が1,000万円を超える人は、基礎控除額が上がる以上に雑所得金額が上がるため2020年より所得税額が増額となります。

2019年までの年金収入が1,200万円の人の雑所得金額は1,200万円×95%-155.5万円=984.5万円です。ここから社会保険料や寄付金等の他の控除が無いものとして基礎控除である38万円を差し引くと課税所得金額は984.5万円-38万円=946.5万円です。946.5万円に対する所得税は33%を乗じて153.6万円を差し引いて計算をするため、946.5万円×33%-153.6万円=158.745万円です。

2020年からの年金収入が1,200万円の人の雑所得金額は1,200万円×100%-195.5万円=1004.5万円です。ここから社会保険料や寄付金等の他の控除が無いものとして基礎控除である48万円を差し引くと課税所得金額は1004.5万円-48万円=956.5万円です。956.5万円に対する所得税は33%を乗じて153.6万円を差し引いて計算をするため、956.5万円×33%-153.6万円=162.045万円です。
このように162.045万円-158.745万円=3.3万円が増税となり、影響を受けます。

④公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超の人

公的年金以外の収入が1,000万円超の人は、更に雑所得金額が上がることとなるため所得税が増税となります。
公的年金や公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が大きい人ほど影響を受けます。

4.まとめ

以上のように公的年金の所得税額の計算方法が2020年より変更となることから、所得税の負担が増える人が発生します。公的年金のみの収入で1,000万円を超える人、公的年金等に係る雑所得以外の所得に係る合計所得金額が1,000万円超の人が影響を受けます。

2019年までの公的年金の課税関係は、高収入である人ほど有利であるといわれていましたが、2020年からはそれが大きく変わってきます。 上記の内容についてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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