損益計算書上に売上高の次に表示をされる売上原価。
これが何を表しているのかを把握していないと、損益計算書の読み取りは出来ません。
今回は売上原価とその仕訳の方法についてご紹介致します。
この記事の目次
1.売上原価とは
売上原価とは製品や商品の販売、サービスの提供等によって生じた売上に対する原価を表しています。売上を発生させるために直接的に掛かった金額です。売上から売上原価を差し引いたものを売上総利益といいます。売上が一定である場合、売上原価の金額が大きいと売上総利益は小さくなり、売上原価の金額が小さいと売上総利益は大きくなります。
2.売上原価に関する仕訳の方法は4種類
多くの企業は売上原価に関する仕訳に三分法を用いています。三分法での仕訳の確認と共に、その他の仕訳方法をご紹介致します。①三分法
仕入、売上、繰越商品という勘定科目を用いて仕訳を行う方法です。期中において売上原価が直接表示される勘定科目はありませんが、他の方法と比較をすると仕訳が最も端的で多くの企業が採用をしています。②売上原価対立法
商品、売上、売上原価という勘定科目を用いて仕訳を行う方法です。期中において売上原価勘定にて売上原価が表示されますが、売上の計上時に都度売上原価を同時に計上する必要があるため、三分法と比較をすると仕訳の手間が多くなります。③分記法
商品、商品販売益という勘定科目を用いて仕訳を行う方法です。期中において売上原価が直接表示される勘定科目はありませんが、期中において商品の在庫原価を商品勘定にて直接表示することが出来ます。三分法と比較をするとこちらも仕訳の手間が多くなります。④総記法
商品、商品販売益という勘定科目を用いて仕訳を行う方法です。分記法と同様の勘定科目を用いますが、商品の在庫原価が期中において直接表示することは出来ません。期中や期末の売上原価を直接表示する勘定科目がないこと、期中の商品の在庫原価を直接表示することが出来ないことから、売上原価管理や在庫原価管理において最も損益計算書の表示に適していない方法です。3.仕入時と売上時の4つの仕訳方法
上記の4つの仕訳方法について、具体的にどのような違いがあるのかご紹介致します。いずれも原価100円のものを100個、合計10,000円を現預金で仕入、その商品を売価150円で80個、合計12,000円を現預金で売上げたものとします。①三分法
・仕入時 仕入10,000円/現預金10,000円・売上時 現預金12,000円/売上12,000円
②売上原価対立法
・仕入時 商品10,000円/現預金10,000円・売上時 現預金12,000円/売上12,000円
売上原価8,000円/商品8,000円
③分記法
・仕入時 商品10,000円/現預金10,000円・売上時 現金預金12,000円/商品8,000円
/商品販売益4,000円
④総記法
・仕入時 商品10,000円/現預金10,000円・売上時 現金預金12,000円/商品12,000円
4.決算時の4つの仕訳方法
4つの仕訳方法は期中の仕入時、売上時のみならず決算整理も異なります。いずれも期首商品棚卸高は原価100円のものを50個、合計5,000円であり、期末商品棚卸高は原価100円のものを70個、合計7,000円であるとします。
①三分法
・決算時 仕入5,000円/繰越商品5,000円繰越商品7,000円/仕入7,000円
売上原価は期首商品棚卸高に当期仕入高を足し、期末商品棚卸高を差し引いて計算をします。この場合は5,000円+10,000円△7,000円である8,000円です。
②売上原価対立法
・決算時 仕訳不要売上原価は売上原価勘定に表示され、かつ商品の在庫原価が商品勘定に表示されるため決算時の仕訳が不要です。
売上原価は上記3の通り8,000円です。
③分記法
・決算時 仕訳不要商品の在庫原価が商品勘定に表示されるため決算時の仕訳が不要です。売上原価は期首商品棚卸高に当期仕入高を足し、期末商品棚卸高を差し引いて計算をします。
この場合は5,000円+10,000円△7,000円である8,000円です。
④総記法
・決算時 商品4,000円/商品販売益4,000円売上原価は期首商品棚卸高に当期仕入高を足し、期末商品棚卸高を差し引いて計算をします。
この場合は5,000円+10,000円△7,000円である8,000円です。
5.まとめ
以上のように売上原価についてご紹介致しました。4つの仕訳方法をご紹介致しましたが、いずれも最終的に計算される売上原価は同じ金額になります。上記の内容についてご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。
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