新型コロナウイルス関連資金繰り(融資・信用保証)支援まとめ
税務・財務


新型コロナウィルス感染症(COVID-19)の影響を受け、資金繰りが緊急事態に陥っている個人事業主、中小企業は数えきれません。地域や業種によっては給付金が検討されているものの、給付金だけでこの困難を乗り切ることができる事業者は少ないのではないでしょうか。

国による事業者向けの支援策もたくさん発表されていますが、たくさん有り過ぎてどれが対象になるのか解らない、どの制度を、どこに、どのように申請すれば良いのか解らない、といったご相談が当事務所にも多数寄せられています。コロナ関連の資金繰り支援策についてまとめましたので、ご参考いただければ幸いです。

この記事の目次

コロナ関連 資金繰り支援内容一覧

資金繰り支援策は政府系金融機関(日本政策金融公庫、商工組合中央金庫等)による特別融資制度と、信用保証協会の保証枠に別枠を設けることで、民間金融機関からの融資を受けやすくする特別保証制度の2つに分けることができます。
4月20日(月)18時に更新された経済産業省のwebサイトに以下資金繰り支援の一覧表が掲載されています。


出典:経済産業省webサイト

1.売上高要件

一覧表の通り、利用する制度を検討する際は、売上高の減少度合いを確認する必要があるのですが、その確認方法にはいくつかあり、いずれかの方法で減少割合を満たせば、制度の対象となります。また、日本政策金融公庫、商工組合中央金庫(以下、公庫)の融資制度と、信用保証協会(以下、保証協会)の保証制度で若干の違いがあります。

公庫(青枠)信用保証協会(緑枠)
(1)最近1ヵ月の売上高と前年同期の売上高を比較 (1)左記に加え、その後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上高と前年同期の売上高を比較
(2)最近1ヵ月の売上高と前々年同期の売上高を比較 (2)左記に加え、その後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上高と前々年同期の売上高を比較

公庫の制度での売上高要件は、今年と去年の同期を比較するだけですが、保証協会の制度ではその後2か月間の見込みを含めて検討する必要があります。
実際にはその分、売上高減少を申請する書類は公庫の方が簡単で、「新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書」に<最近1か月の売上高>と<前年又は前々年同期の売上高>を記入するだけとなっています。いずれの制度でも各売上高の根拠資料は提出する必要があります。

※参考:日本政策金融公庫
「新型コロナウイルス感染症の影響による売上減少の申告書」

保証協会の申請書類は、市役所や区役所等の地方自治体ホームページからダウンロードが可能です。趣旨は同様ですが自治体によって提出書類や提供されているひな型が異なりますのでご確認ください。

※比較する売上高は同期間のものである必要がありますが、月末で締める必要はありませんので、ご注意ください。

例えば、3月はそこまで売上が落ちなかったけれど、自粛要請を受けて4月7日から休業とし、売上が激減したような場合、4月30日まで待たないと申請ができないかというと、そうではありません。3/16~4/15の一か月間分を切り出すなどして、前年又は前々年の売上高と比較することが可能です。その際は、比較する前年又は前々年の売上高も必ず同じ期間を用いるようにしましょう。

また、前年・前々年が存在しない、創業1年1か月未満の事業者や、店舗・業容を拡大している事業者も制度を受けられるよう、比較方法が追加される要件緩和が行われています。

公庫(青枠)信用保証協会(緑枠)
(1)最近1ヵ月の売上高と過去3ヵ月(最近1ヵ月を含む)の平均売上高の比較 (1)左記に同じ。
(2)最近1ヵ月の売上高と令和元年12月の売上高の比較 (2)左記に加え、その後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上高と令和元年12月の売上高の3倍を比較
(3)最近1ヵ月の売上高と令和元年10月から12月の平均売上高を比較 (3)左記に加え、その後2ヶ月間(見込み)を含む3ヶ月の売上高と令和元年10~12月の3ヶ月を比較

2.制度の違いについて

資金繰り支援策は特別融資制度と、特別保証制度の2つに大きく分けることができると前述しました。日本政策金融公庫等が取り扱う特別融資制度は、日本政策金融公庫等が申請・相談窓口となります。一方、特別保証制度は、保証するのは保証協会ですが、融資を行うのは金融機関、制度の対象であることを認定するのは地方自治体(市区町村)となります。
最終的には金融機関が融資をするため、金融機関への相談は必要になりますが、役所で認定をもらう必要があることも覚えておきましょう。

以下名称が似ている制度や誤解・混同しやすい点について少し触れたいと思います。

セーフティネット保証とセーフティーネット貸付

両者は名称が似ていますが、異なる制度になります。セーフティーネット保証は4号と5号があり、自治体から認定を受けることで保証協会が保証枠を広げてくれる保証の制度、セーフティーネット貸付は公庫が行う貸付の制度、になります。
セーフティネット保証を使っているので、もうセーフティネット貸付は利用できない、と誤解される方がいらっしゃいますが、制度上は両制度の利用が可能です。

⑨セーフティネット保証4号と①セーフティネット保証5号

セーフティネット保証(4号、5号)及び⑧危機関連保証は、民間金融機関が行う融資に対する保証協会の保証限度額を拡充する支援策になります。


出典:経済産業省webサイト「新型コロナウィルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」

セーフティネット保証の4号は保証協会が融資額の100%を保証しますが、5号は80%の保証ですので、金融機関としては4号の方が融資を行いやすいと言えます。
ただし、4号は売上高要件で20%以上減少している必要があり、5号は5%以上の減少で良いので、売上高要件は4号の方が厳しいと言えます。 売上高要件が20%減少を満たさない場合には、5号の申請を行いたいところですが、5号には指定業種の要件があります。今回のコロナ感染症においては、業種が度々追加されていますので、こまめに確認するようにしましょう。(本来、4号は「地域」、5号は「業種」の指定がありますが、今回のセーフティネット保証4号においては全国が指定対象地域とされています)

※参考:「セーフティネット保証5号の指定業種について」

セーフティネット保証4号と5号は保証枠が同じですが、危機関連保証は別枠で保証限度額が上乗せとなります。売上高の減少要件が15%以上となるため、セーフティネット保証4号を申請される事業者の方は、危機関連保証についても売上高要件を満たしていると考えられ、両方の認定を申請することが可能です。

※保証限度額が増えても、保証協会と金融機関の審査は必要ですし、実際には担保や個人保証の有無により保証額も変わってきます。緊急事態ではあっても、返済が見込めない事業者に金融機関は融資をしてくれないのが現実です。

融資申し込みの際は、コロナウィルス感染症によりどのような影響を受け、いくらの支援があればどう乗り切れるのか、その後はどのような方法で返済が見込めるのかを、具体的に説明できるよう準備する必要があると考えます。

3.日本政策金融公庫等の特別融資制度

日本政策金融公庫等の制度融資は様々あり、業種要件、売上高要件に加え商工会議所や同業組合、都知事の推せん書や証明書の交付を受ける必要があるものも存在します。

②新型コロナウィルス感染症特別貸付

業種指定はなく、売上高が5%以上減少している事業者が申請することができます。

融資限度額6000万円
融資後3年目までは基準利率-0.9%(3000万円限度)
設備資金20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金15年以内(うち据置期間5年以内)

★追加要件を満たせば実質無利子・無担保の対象

※参考:新型コロナウィルス感染症特別貸付

④新型コロナウィルス対策マル経融資の拡充

業種指定はなく、売上高が5%以上減少し、商工会議所等の推薦を受ける事業者が対象となります。

融資限度額2000万円+別枠1000万円
融資後3年目までは基準利率-0.9%(別枠1000万円限度)
設備資金10年以内(うち据置期間2年以内→4年以内)
運転資金 7年以内(うち据置期間1年以内→3年以内)

★追加要件を満たせば実質無利子・無担保の対象

※参考:新型コロナウィルス対策マル経融資の拡充

※太字部分が拡充内容

⑤生活衛生新型コロナウィルス感染症特別貸付

業種指定があり、生活衛生関係営業を営む事業者で、売上高が5%以上減少している場合に申請することができます。

融資限度額6000万円
融資後3年目までは基準利率-0.9%(3000万円限度)
設備資金20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金15年以内(うち据置期間5年以内)

(振興計画認定組合員以外は運転資金の申し込み不可)
★追加要件を満たせば実質無利子・無担保の対象

※参考:
生活衛生新型コロナウィルス感染症特別貸付

生活衛生新型コロナウィルス感染症特別貸付「手続きについて」

※借入申込金額が500万円を超えるときは、振興計画認定組合員の長が発行する「振興事業に係る資金証明書」が、都道府県知事の「推せん書」が必要となります。

⑥生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付(新型コロナウィルス対策衛経)

生活衛生同業組合等の長の推薦を受けた小規模事業者(常時使用する従業員が5人以下)で売上高が5%以上減少した場合に対象となります。 融資限度額2000万円+別枠1000万円

融資後3年目までは基準利率-0.9%(別枠1000万円限度)
設備資金10年以内(うち据置期間2年以内→4年以内)
運転資金 7年以内(うち据置期間1年以内→3年以内)

★追加要件を満たせば実質無利子・無担保の対象

※参考: 生活衛生関係営業経営改善資金特別貸付(新型コロナウィルス対策衛経)
※太字部分が拡充内容

⑦衛生環境激変特別貸付

業種指定があり、旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む事業者で、売上高が10%以上減少している場合に申請できます。
融資限度額3000万円(旅館業) 1000万円(飲食店、喫茶店)
返済期間 7年以内(うち据置期間2年以内)

※参考:衛生環境激変特別貸付

特別保証制度は金融機関の融資に対する保証協会の保証を広げるため、「事業主が借りやすくする制度」である一方、日本政策金融公庫等の融資制度は、低利もしくは実質無利子、無担保、元本据置(返済猶予)期間あり、など「負担の少ない(条件の良い)特別融資制度」という特徴があります。

⑩セーフティネット貸付

業種指定、売上高減少幅に関係なく、緊急に融資が必要とされる事業者が申請することができます。

融資限度額4800万円
設備資金15年以内(うち据置期間3年以内)
運転資金 8年以内(うち据置期間3年以内)


※参考:セーフティネット貸付

まとめ

今回は、国の資金繰り支援策のうち保証協会の特別保証と、日本政策金融公庫の特別融資についてご紹介いたしました。今回は紹介致しておりませんが、この他にも公庫等からすでに借りている債務との借換制度やリスケジュールの特例、保証協会付融資をまとめることができる特例、生命保険会社の契約者貸付や小規模企業共済の特例的取り扱い、各自治体による特別融資、など数えきれない支援策が打ち出されています。

融資の申し込みにあたっては融資限度額、利率、据置期間、など複合的に判断する必要がありますし、業種や規模、借入申込額といった状況によって事業者のベストな選択肢は異なるように思います。制度の違いについてはあまり悩み過ぎず、概要を把握し、使えそうなものの当たりをつける程度の理解に抑えて、顧問の会計士、税理士、その他専門家に相談されることをお勧めいたします。

制度の内容自体が日々追加、変更されておりますので、定期的に情報を確認することが重要です。経済産業省のwebサイト内「支援策パンフレット」では更新日と更新内容が解るように記載されています。また、各自治体の取り組みは中小企業基盤整備機構が運営するwebサイト「J-Net21」が非常に役立ちます。

※参考:
経済産業省webサイト
J-Net21 webサイト

先行きが見えず、なんとも苦しく、不安な日々ですが、とにかく情報の交換や、悩みの共有をしましょう。明らかな緊急事態です、協力して、どうにかこの困難を乗り超えましょう。皆様もどうかお身体ご自愛くださいませ。

はやく穏やかな日々が戻りますように。

記事のキーワード*クリックすると関連記事が表示されます

メルマガ登録(毎週水曜配信)

SHARES LABの最新情報に加え、
経営に役立つ法制度の改正時事情報などをお送りします。