新型コロナウイルスの影響により営業が出来ない、売上が落ち込んでいる等の損害を受けている方は多くいらっしゃることでしょう。それらの損害により税金の納付が難しいと感じる方は、是非納付猶予を利用して下さい。
今回は納付猶予を適用することの出来る要件をご紹介致します。
1.納付猶予制度とは
新型コロナウイルスの影響により、国税を一時的に納付することが難しい場合に、税務署に申請を行うことで、原則として1年以内の間は猶予が認められます。納付猶予には換価の猶予と納税の猶予があります。
換価の猶予とは、国税を一時に納付することにより事業の継続や生活の維持を困難にするおそれがあると認められる場合に、申請に基づいて差押え財産の売却が猶予される制度です。
納税の猶予とは災害や病気等によって国税を一時に納付することが出来ないと認められる場合に、申請に基づいて納税が猶予される制度です。
これらの制度は新型コロナウイルスが蔓延する以前からある制度ですが、新型コロナウイルスの影響によってこの制度を利用する場合、以前よりも制度の利用における審査を早期に行うと国税庁が発表をしています。
2.換価の猶予が認められる要件
新型コロナウイルスの影響により国税を一時的に納付することが困難な場合、下記の要件の全てに該当するときは、納期限から6ヶ月以内に税務署に申請することにより、原則として1年以内の期間に限り、換価の猶予が受けることが出来ます。
要件①国税を一時に納付することにより、事業の継続又は生活の維持を困難にするおそれ があると認められること
要件②納税について誠実な意思を有すると認められること
要件③換価の猶予を受けようとする国税以外の国税の滞納がないこと
要件④原則として担保の提供があること
3.納税の猶予が認められる要件
新型コロナウイルスの影響により国税を一時的に納付することが困難な場合、下記のいずれかの要件に該当するときは、税務署に申請をすることにより、最大で1年間の分割納付が受けられる納税の猶予の制度が受けることが出来ます。
要件①災害により財産に相当な損失が生じた場合
要件②本人又は家族が病気にかかった場合
要件③事業を廃止し、又は休止した場合
要件④事業に著しい損失を受けた場合
4.猶予期間の納付、延滞税の取り扱い
納付の猶予制度の適用を受けた国税は、その猶予期間内において分割して納付を行います。この分割して納付する金額は、財産の状況等を踏まえて税務署が決定を行います。通常は税金の納付期限を過ぎて納付を行う場合、延滞税が課されますが、猶予を受けた場合は、 延滞税が軽減又は免除されます。
5.申請のための書類
申請のために必要な書類は下記のものです。これらの書類は国税庁のホームページや税務署にて入手をすることが出来ますので、必要事項を記載して提出を行います。①換価の猶予を申請する場合
換価の猶予申請書を税務署に提出します。添付書類として、猶予を受けようとする金額が100万円以下の場合は財産収支状況書、100万円超の場合は財産目録、収支の明細書が必要です。②納付の猶予を申請する場合
納付の猶予申請書を税務署に提出します。添付書類として、猶予を受けようとする金額が100万円以下の場合は猶予該当事実があることを証明する書類、財産収支状況書、100万円超の場合は猶予該当事実があることを証明する書類、財産目録、収支の明細書が必要です。その他に納税の告知がされていない源泉徴収等による国税の猶予を申請する場合には、 所得税徴収高計算書、登録免許税の猶予を申請する場合には、登録等の事実を明らかにする書類が必要です。
6.まとめ
新型コロナウイルスの影響は多くの方に及んでいます。上記の要件を満たさない場合でも、税務署に相談することで個別的な対応を受けることが出来る場合もあります。お困りの方は、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。