中古資産を取得した場合の減価償却費の計算方法について
税務・財務


固定資産はその取得時の資産が新品であるか又は中古であるかによって減価償却費の計算方法が異なります。 今回は中古資産の減価償却費の計算方法についてご紹介致します。

この記事の目次

1.減価償却費とは

固定資産は取得後に長期にわたって事業の収益発生に寄与するものと考えられているため、固定資産の取得時の支出額の全額を支出した時点で費用とするものではなく、使用期間に応じて費用配分するべきものとされています。

この取得原価を使用期間に応じて費用配分することを減価償却といい、勘定科目では減価償却費といいます。

2.新品資産と中古資産の減価償却費の計算方法の違い

減価償却費は一般的に取得原価を耐用年数で除したものを、その期の減価償却費として計上をします。
取得原価とはその資産の取得に必要となった支出額のことをいい、固定資産本体の価格のみならず、設置費用やその本体を動作させるために必要となった部品等の付随費用も含まれます。例えば社用車を取得した場合、社用車本体のみならず、社用として使用するために必要な座席シートの変更料等のオプション料金も取得原価に含むことが出来ます。

耐用年数とはその資産が会計上で使用可能と見込まれる期間であり、資産の種類や用途、材質等で異なる年数が、固定資産ごとに国税庁により定められています。
新品資産と中古資産で減価償却費の計算方法が異なるのは、この耐用年数にあります。
中古資産の耐用年数は新品資産よりも低く定められています。

3.中古資産の耐用年数

中古資産の耐用年数は国税庁で定められている新品資産の耐用年数を基に算出をして、減価償却費の計上に使用をします。
新品取得時から中古資産として取得するまでの経過年数により、その算出方法は異なります。

①新品資産の法定耐用年数の全部を経過した資産

その法定耐用年数の20%の年数

②新品資産の法定耐用年数の一部を経過した資産

その法定耐用年数から経過した年数を差し引いた年数に経過年数の20%に相当する年数を加えた年数

①、②のいずれの算出方法においても、1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とします。

4.中古資産の減価償却費の計上の具体例

ここでは新品価格が200万円の営業車を中古価格100万円で取得した場合の減価償却をご紹介致します。
また新品取得時の法定耐用年数は4年とします。

①新品取得時より5年後に中古取得した場合

5年後の中古取得は、法定耐用年数の全部を経過しているため、中古資産の耐用年数は4年の20%である0.8年です。しかし算出された耐用年数は2年未満であるため、耐用年数は2年となります。
よってこの中古資産の1年あたりの減価償却費は中古資産の取得原価100万円を2年で除した50万円となります。

②新品取得時より1年後に中古取得した場合

1年後の中古取得は、法定耐用年数の一部が経過しています。中古資産の耐用年数は4年から1年を差し引いた3年に、経過年数の1年の20%を足した3.2年です。1年未満の端数は切り捨てるため、耐用年数は3年となります。
よってこの中古資産の1年あたりの減価償却費は中古資産の取得原価100万円を3年で除した33.3万円となります。

5.節税対策としても有効!中古資産の取得

上記の例を、新品取得で100万円の営業車を取得した場合の減価償却費は新品価格の100万円を法定耐用年数4年で除した25万円です。
つまり同じ価格のものを取得するのであれば、中古取得である方が耐用年数は短くなり、それに伴い1年あたりの減価償却費は大きくなります。

取得時の現預金の支出額は変わらないものの、会計上の利益を少なくさせる効果があることから、短期的な節税対策として中古資産の取得は有効です。

6.まとめ

中古資産の減価償却費の計算方法についてご紹介致しました。耐用年数の計算はその耐用年数に渡って減価償却費の計上に影響をもたらしますので、取得時に慎重に計算を行う必要があります。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。

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