税制改正までの流れ
毎年3月頃にメディアで「今年の税制法案が通りました」との報道が流れ、4月には確定した改正後の税制が施行されます。
通常、法案が通るのが3月ですが、税に関しては時期を問わず様々な情報が流れており、適用されたのかどうか明確でないところがあります。
法案が通るまでどのような過程を踏んでいるのでしょうか、おおまかなスケジュールは(震災などが発生しない限り)次のようになります。
前年4月ごろ
総理大臣が税制改正の基本的考え方を税制改正の委員に発表することからスタートします。
発表を受けて、税制を検討する政府機関である「税制調査会」が翌年の改正に向けて審議を始め、審議では基本的考え方に基づいてどのような内容にするかの大枠が決められます。1年前から始まっているということですね。
前年9月ごろ
4月から続く審議で決定された改正内容の大枠を、今度はより具体的な内容に落とし込んでいきます。
この時期では、為替などの経済環境の動向を見極めて、検討している改正内容が次年度から可能であるかといったことも決められていきます。
前年12月中旬
これまで審議されていた内容のうち、改正予定の部分について法案作成に向けて数字などの細かい部分がたたき台として取りまとめられていきます。
前年12月下旬
審議された内容をまとめたものが「税制改正大綱」として新聞などのメディアに取り上げられ、この時点で多くの人が次年度の改正内容を知ることになります。
ただし、「税制改正大綱」はあくまで骨子であるためこのまま法律になるものではなく、「税制改正大綱」に記載されたものでも先送りや見直しになる項目が出てきます。
また、この「税制改正大綱」には今後の税制の検討課題なども含まれているので、将来の方針がどのようなものか把握することもできます。
年明け後
「税制改正大綱」は翌年度の予算案と併せて閣議に報告され、1月中に「税制改正要綱」として閣議決定されます。
決定後は内閣が法案として国会に提出し、1月~3月の間で法案の修正審議が引き続き行われた後、衆議院・参議院の採択を受けて3月末までに成立し、成立した法案は通常4月1日より施行される流れとなります。
まとめ
税制は法案として国会で成立しなければ適用されないので、時期としては大綱発表後~3月に注目するといいかと思います。
前年の4月から政府の動きを見ていくと、その時々の経済状況によって総理の発言も変わっていくので、景気、経済界からの要望、財務省の事情など、どう折り合いをつけるかも見ていて興味深いところです。
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