新型コロナウイルス感染症の影響により経営が悪化した事業者に対してされると多くの事業者から注目されている持続化給付金。今回は持続化給付金の内容とその会計処理についてご紹介致します。
- 1.持続化給付金とは
- 2.持続化給付金の支給対象法人
- 3.持続化給付金の支給対象個人事業主
- 4.持続化給付金の支給金額
- 5.法人の持続化給付金の申請
- 6.個人事業主の持続化給付金の申請
- 7.持続化給付金の支給時期
- 8.持続化給付金の会計処理
- 9.まとめ
1.持続化給付金とは
新型コロナウイルス感染症の影響により経営が悪化した事業者に対して、事業の継続や再起のために支給される給付金です。この給付金の使用用途は事業全般に広く使用することが認められています。
2.持続化給付金の支給対象法人
持続化給付金の支給対象事業者は法人、個人共に要件があります。法人については下記の要件を満たした事業者が支給対象となります。①2020年4月1日時点、次のいずれかを満たす法人であること。
・資本金の額又は出資の総額が10億円未満であること。
・資本金の額又は出資の総額が定められていない場合は、常時使用する従業員の数が 2,000 人以下であること。
②2019年以前から事業により事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
③2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月が存在すること。
3.持続化給付金の支給対象個人事業主
個人事業主については下記の要件を満たした事業者が支給対象となります。①2019年以前から事業により事業収入を得ており、今後も事業を継続する意思があること。
②2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等により、前年同月比で事業収入が 50%以上減少した月が存在すること。
4.持続化給付金の支給金額
①法人
持続化給付金の支給金額は、前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入に12を乗じたものと、その減少した月が属する事業年度の前事業年度の年間事業収入の差額です。上限額は200万円です。②個人
持続化給付金の支給金額は、年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入に12を乗じたものと、2019年の年間事業収入の差額です。上限額は100万円です。5.法人の持続化給付金の申請
①申請方法
令和2年5月1日から令和3年1月15日の期間内に、持続化給付金のホームページより電子申請を行います。原則は事業者自身でインターネットに接続して行う電子申請ですが、申請サポート会場にて補助員による電子申請の入力サポートを受けることも出来ます。②申請時に必要な情報
下記の情報が電子申請に必要です。
・法人番号
・法人名
・本店所在地
・決算月
・設立年月日
・業種
・資本金額又は出資の総額、常時使用する従業員数
・代表者、担当者情報
・代表者、担当者連絡先
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の属する事業年度の直前の事業年度の事業収入
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入、2019年の前年同月比で事業収入が50%以上減少した月と同月の月間事業収入
・法人名義の振込先口座に関する情報
③申請時に添付する書類
下記の書類をスキャンしたものや撮影したものをデータとして添付します。
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の属する事業年度の直前の事業年度の確定申告書別表一の控え、法人事業概況説明書の控え
・年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入がわかるもの
・法人名義の振込先口座の通帳の写し
6.個人事業主の持続化給付金の申請
①申請方法
令和2年5月1日から令和3年1月15日の期間内に、持続化給付金のホームページより電子申請を行います。原則は事業者自身でインターネットに接続して行う電子申請ですが、申請サポート会場にて補助員による電子申請の入力サポートを受けることも出来ます。
②申請時に必要な情報
下記の情報が電子申請に必要です。
・屋号、雅号
・業種
・申請者住所
・申請者氏名
・生年月日
・連絡先
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月
・2019年の事業収入
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入、2019年の前年同月比で事業収入が50%以上減少した月と同月の月間事業収入
・申請者本人名義の振込先口座に関する情報
③青色申告者が申請時に添付する書類
下記の書類をスキャンしたものや撮影したものをデータとして添付します。
・2019年分の確定申告書第一表の控え、所得税青色申告決算書の控え
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入がわかるもの
・申請者本人名義の振込先口座の通帳の写し
・運転免許証、個人番号カード等の本人確認書類
④白色申告者が申請時に添付する書類
下記の書類をスキャンしたものや撮影したものをデータとして添付します。
・2019年分の確定申告書第一表の控え
・前年同月比で事業収入が50%以上減少した月の月間事業収入がわかるもの
・申請者本人名義の振込先口座の通帳の写し
・運転免許証、個人番号カード等の本人確認書類
7.持続化給付金の支給時期
持続化給付金の支給は申請から2週間程度で登録の口座に入金される予定です。複数回の受給は出来ません。また持続化給付金は他の給付金や協力金、各種補助金等との併給が可能です。
8.持続化給付金の会計処理
持続化給付金が支給された際の会計処理は下記のように行います。①入金時の仕訳
持続化給付金が入金された場合、その支給金額を雑収入とて会計処理を行います。持続化給付金を利用して給与や地代家賃の支払い等の経費の支出があった場合も、持続化給付金と相殺せずに総額で仕訳を行います。例えば6月30日に10万円が支給された場合の仕訳は下記の通りです。
6月30日 預金10万円/雑収入10万円
②消費税の処理
課税事業者が雑収入を計上する際は、消費税の税区分に注意をする必要があります。持続化給付金は、サービスの提供や商品販売等の対価として支払われるものではないため、消費税の課税の対象外です。売上や他の雑収入である課税売上と分けて会計処理や、消費税の納付税額の計算、申告書の作成が必要です。
③法人税の取り扱い
持続化給付金を受け取る事業者が法人である場合、雑収入である持続化給付金は売上や他の雑収入と同様に法人税法上の益金として取り扱われます。よって法人税の課税対象となります。しかし持続化給付金を受け取った事業年度の利益がマイナスである場合は、課税法人所得は0円として計算がされるため、法人税は課税されません。
④所得税の取り扱い
持続化給付金を受け取る事業者が個人事業主である場合、雑収入である持続化給付金は売上や他の雑収入と同様に所得税法上の収入として取り扱われます。よって所得税の課税対象となります。しかし持続化給付金を受け取った事業年度の利益がマイナスである場合は、課税所得は0として計算がされるため、所得税は課税されません。
9.まとめ
持続化給付金の内容とその会計処理についてご紹介致しました。給付金の使用用途が事業全般に広く使用することが認められていることから、他の補助金や協力金等よりも非常に受けやすい支援策でしょう。新型コロナウイルス感染症の影響により経営が悪化した事業者には是非給付金の申請を検討して頂ければと思います。
また持続化給付金の申請には過年度の申告書類の添付が求められています。書類に不備があると給付金が受け取れない可能性があるため、日頃の会計処理を適切に行うことは非常に重要です。持続化給付金の受取りの際もこちらの会計処理をご参考になさってください。
ご不明な点がございましたら、身近な専門家に相談されることをお勧め致します。